シリコンバッグ挿入手術の限界とバスト・グロウ

美容整形
美容整形・美容外科 南クリニック > これまでの豊胸術の問題点 > シリコンバッグ挿入手術の限界とバスト・グロウ

シリコンバッグ挿入手術の限界とバスト・グロウ

シリコンバッグ挿入による豊胸術は、1960年代から行われている、豊胸術の中でも長い歴史のある手術です。それまでの豊胸術は、シリコンオイルをバストに対して直接注射するものでした。その方法は、肉芽腫の発生や、皮膚の壊死などの問題が発生し、バストを変形させてしまったりしました。さらに、結果として、乳房切断などと言うことにもなった症例も多く出現しました。また、当時のシリコンオイル自体の性質にも問題があり、不純物が多いものに関しては、その不純物の発がん性もあり、危険な方法であるということが、定着していきました。そこで、外側が固形のシリコン膜で覆われた、豊胸用シリコンバッグが登場し、直接注射していたシリコンオイルを、人体から固形の膜で隔てるということになったのです。
 
このシリコンバッグですが、50年以上の歴史の中で、様々な改良が加えられて、現在に至っています。まず、中身のシリコンについては、不純物を最小限に絞ることで、漏れたときの人体への影響を少なくしようというものです。1990年代に、シリコンバッグによる発がん性が疑われた頃、その中身は、生理食塩水や、トリグリセライドという油(大豆油)、ハイドロジェル(PVPやCMC)になりました。また、2000年代に至っては、このシリコンは、グミのような粘ちょう性を持たせることによって、外側の膜が破損しても、外部に漏れないようになりました。また、そうすることで、万が一、シリコンが外側に漏れても、それが拡がって行かないようになったのです。
 
豊胸術で使用されるバッグ・プロテーゼの歴史は、以下のようになります。
1960年代初期よりバッグプロテーゼによる豊胸術が始まる。

1960年代初期 人工乳腺と呼ばれているため本来は、乳腺下法が一般的である。当時 生理食塩水バッグと、シリコンバッグが使用されていたが、触り心地が良いため、シリコンバッグが多く使用されていた。

1992年以降   アメリカで、シリコンバッグは発癌性の疑いが出たため、FDAによって、アメリカでは使用中止となる(ヨーロッパでは使用されていた)。アメリカのFDAによる、シリコンバッグ使用の凍結政令のため、生理食塩水バッグが再び多用される様になったが、触り心地が悪いため、大胸筋下法が始まった。
シリコンバッグ内部のシリコンジェル(シリコンオイル)の、生理食塩水以外の代用品として、ハイドロジェルバッグ、のちにCMCジェルバッグが誕生する。さらに、イギリスでは大豆油を使用したトリルーセント・バッグも登場する。アメリカでは、生理食塩水バッグ以外はFDA承認がなく、使用されなかった。

1990年代中盤 コヒーシヴシリコンの誕生により、乳腺下法が再度、可能となった。シリコンバッグ・生理食塩水バッグ・ハイドロジェルバッグ・CMCジェルバッグ・トリルーセントバッグは、どれも中身が液体であるため外へ流れ出す危険性があるため、固体であるコヒーシヴシリコンが誕生する。

1999年11月1日 バッグの研究がなされる中、1999年11月に、シリコンの発癌性が否定され、アメリカのFDAはシリコンバッグによる豊胸術を再び承認し、シリコンバッグが再び使用可能となる。これ以降、コヒーシヴ・シリコン・バッグ・プロテーゼが、豊胸用バッグ・プロテーゼのゴールド・スタンダードになる。
1992年のシリコンバッグ発がん性疑い事件の真相は、破損したシリコンバッグから流出したシリコンジェル(シリコンオイル)が、肉芽腫を形成し、マンモグラフィーでの画像診断上、その陰影が邪魔をして、乳がんの発見が遅れたというものが、真相であった。

2001年 ハイドロジェルバッグ・CMCジェルバッグ・トリルーセントバッグは、感染の可能性や、漏れた場合に大きな腫れがある等、体内での代謝・排泄に疑問があるため、ヨーロッパでも使用禁止となる。これでアメリカばかりではなく世界的に、豊胸術用のバッグ・プロテーゼはコヒーシヴ・シリコン・バッグ・プロテーゼが、豊胸用バッグ・プロテーゼのゴールド・スタンダードになった。

2012年    フランスのPIP社による、豊胸用バッグ・プロテーゼの内容物と外膜についての、性能擬装が発覚する。工業用シリコンを使用していた。
 
手術法についても、改良が試みられてきました。このシリコンバッグ挿入豊胸術は、初期のうちには、乳房の下の、乳房下線という溝状のシワから、乳腺の下に挿入するのが、標準的な手術とされていました。しかし、拘縮の問題と傷の問題がクローズアップされるにしたがって、腋のシワから大胸筋と言う筋肉の下に、挿入する位置が変化してきました。この傾向は、一時、アメリカでシリコンバッグの使用が制限され、中身が生理食塩水に替わった時に、最盛期を迎えました。そしてその後、シリコンバッグの使用制限が解除され、バッグの表面の構造も拘縮を起こしにくいものに変化した時に、再び筋肉の下から、より表面に近い乳腺の下に挿入するのが主流となりました。現在は、症例によって、筋肉の下か上かを使い分けることになっています。
 
シリコンバッグ挿入による豊胸術の、現在でも完全には解決されていない問題点は、何と言っても「拘縮」の問題です。拘縮と言うのは、俗に言う、バストが固くなるという現象のことです。シリコンバッグ自体の硬さは、製品としては標準的なバストの硬さに沿うように作成されています。しかし、それが手術によって人体に埋め込まれると、その周囲にカプセルと言う膜が形成されます。このカプセルが、時間とともに次第に縮んできて、シリコンバッグを締め付けはじめます。この締め付けることで、シリコンバッグの中身の圧力が高くなり、バストに硬さを出してくる現象が、カプセル拘縮と言われるものです。拘縮も、それが進行すると、カプセルの締め付けによって、バストが変形することもあります。この拘縮と言う現象は、術後のマッサージやある種の投薬によって予防することが可能なのですが、どうしても完全ではありません。また、術前に拘縮の発生を予想することもできないというのが現状です。
 
シリコンバッグは、人工的な異物で、それも、比較的大きな異物と言うことになります。そこで問題になるのは、各種検査の問題です。シリコンは比較的X-線透過性がいいため、様々な病変のX-線診断については、あまり邪魔にはならないとされています。通常の健康診断などの、胸部X-線撮影などでは、バッグ自体が写ることが稀であるとされています。しかしそれは、あくまでも診断の邪魔にならないということであって、バッグ自体の存在が分からないということではありません。また、CTスキャンやMRIに関しては、豊胸用シリコンバッグは確実に写ります。逆に、シリコンバッグが写らないCTスキャンやMRI検査は、他の病変を見逃しているばかりか、検査を行っていないということであり、全く意味のない検査と言うことになります。
  
乳がんの早期発見と早期予防が普及してきて、最近はマンモグラフィーの健診を受ける方が増加しています。欧米では、日本よりも乳がんの発生率が高く、10年以上前から、マンモグラフィーによる乳がん検診が盛んにおこなわれていました。また、アメリカにおいては、豊胸人口は日本と比べ物にならないほど多く、そのため、マンモグラフィーに関しても、シリコンバッグ挿入後の患者さんに対するマンモグラフィーの撮影法と言うものも、医療従事者たちの間で、情報共有され、効率よく検査されてきました。しかし、本邦においては、少し事情が違います。たしかに、シリコンバッグ挿入後の患者さんに対するマンモグラフィーの撮影法というものは、一応、情報共有されていますが、アメリカで開発されたその方法では、日本人の患者さんには、検査精度を犠牲にしなければならない事情があります。
 
マンモグラフィーにおける検査精度を日本人が犠牲にせざるを得ない理由は、主に、アメリカ人と日本人の、バストの解剖学的な違いによるものです。一般的に、アメリカ人のバストは、皮膚が軟らかく伸縮性があり、また、皮下脂肪が豊富な傾向があります。それに対して日本人のバストは、アメリカ人と比較して皮膚が硬く、皮下脂肪が少ないと言えます。シリコンバッグ挿入手術後のマンモグラフィーの撮影法と言うのは、シリコンバックの上に存在する乳腺を、シリコンバッグを挟まずに圧縮して撮影するというものです。皮下脂肪が豊富で、シリコンバッグと乳腺の間にも豊富な脂肪層が存在する場合には、この方法で乳腺の大部分をカバーできます。しかし、多くの日本人女性がそうであるように、シリコンバッグと乳腺の間に脂肪層があまり存在しない場合には、シリコンバッグを挟まずにその上の部分を圧縮しても、乳腺の多くの部分が挟まれず、検査としてカバーできない状況になります。
  
シリコンバッグ挿入による豊胸術の問題点は、何と言っても、そのものが異物であるということが、根本的な原因です。
バストを、授乳機能抜きにして、そのセックスアピールやファッション性をその臓器機能と考えると、シリコンバッグは、かなり古くから存在する人工臓器であるということができるかもしれません。しかし、やはりそれは「人工」臓器であって、本物の臓器ではありません。本物ではなく人工であるが故に、拘縮やマンモグラフィーなど画像診断における問題が生じ、それらを容認できる場合にのみ、手術適応とすべきものだと思われます。
バスト・グロウにおいては、異物を使用してバストの体積をアップするというものではなく、あくまでも自分のバストを成長させる技術です。したがって、この「人工性」がないことから、シリコンバッグ挿入手術による豊胸術の問題点は、すべてカバーできるものとなっています。


シリコンバッグ挿入手術の限界とバスト・グロウ関連ページ

ヒアルロン酸注入による豊胸術の問題点
ヒアルロン酸を注射するたびに、バストの中には瘢痕組織が増えていく。瘢痕組織は、増加して大きくなると、不自然さが際立ってくる。EUでは、ヒアルロン酸を豊胸目的でバストに注入するのは、禁止されている。
脂肪注入は、医師の技量によって、しこりの発生率が大きく違う
脂肪吸引が始まったのと、ほぼ同時期に脂肪注入も始まった。つまり、脂肪注入と言う手技自体には、長い歴史がある。しかしアメリカで、しこりの発生とともに、乳がんとしての誤診を誘発したことから、一時期、完全に邪道とされた時期がある。
シリコンバッグ挿入手術の限界とバスト・グロウ
バスト・グロウは、シリコンバッグ挿入の人工性を最初から排除したもの。つまり、異物による体積の増量ではない。