ヒアルロン酸注入による豊胸術の問題点

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ヒアルロン酸注入による豊胸術の問題点

ヒアルロン酸注入による豊胸術の方法
ヒアルロン酸による、いわゆる「プチ豊胸」なるものが流行っています。この方法は、ヒアルロン酸をバストの皮下脂肪層に注射して盛り上げる方法です。当然、ヒアルロン酸を注射した量だけ、バストの体積が増える為、理論的にはたくさん注射すればするほど、豊胸効果が得られるということができます。注射のみで手術を必要としないことは、バストグロウと同じく、非常に手軽に豊胸術を受けることができるという、便利な面があります。ヒアルロン酸は吸収される物質ですので、後々まで残らず、安心と言うのが、この方法を売りにしているクリニックの謳い文句です。しかし、ヒアルロン酸は吸収されても、表面上は全く痕が残ってはいないのですが、それが占めていたスペースの痕は、しっかりとバストの中に存在します。また、それを繰り返せば、その痕も数が多く、大きさも大きくなってきます。ヒアルロン酸が吸収されるときには、一般的には加水分解と言う、体内の血中酵素の働きによって、小さな分子に分解されて、血液によって流されていくとされています。そのような反応が終了した後、そこにはヒアルロン酸が存在したスペースが塞がった状態になるのですが、それは傷が塞がるのと同じように、瘢痕(傷の組織)が形成されているということができます。つまり、ヒアルロン酸が占めていたスペースの痕と言うのは、瘢痕組織であるということができるのです。したがって、ヒアルロン酸注入による豊胸術を繰り返すということは、バストの中に多くの瘢痕を作るということであり、それはやはり、詳細なことを言えば、外見上は分からない状態でありながら、自然なバストから少しずつ遠のいていくということです。
 
ヒアルロン酸注入による豊胸術は、果たして自然なのか?
ヒアルロン酸とは、人間の皮膚や関節など、様々なところに存在する物質です。当然のことながら、脂肪組織にも存在します。ただし、脂肪組織の構成成分としては、あまり大きな割合を占めているとは言えず、真皮のヒアルロン酸含有量である10%を大きく下回り、1%以下の場合も多いようです。そこで問題になるのは、ヒアルロン酸をバストの皮下脂肪に注入した際には、「あるべきところに、あるべき量で、あるべきものが存在しない」という点です。つまり、許容範囲を超えた量と濃度を示すものに対しては、人体はそれを異物として認識する場合があるということです。異物に対する人体の反応については、シリコン・バッグ・プロテーゼや壊死に陥った脂肪の例と、基本的には同じ反応を示します。つまり、異物の周辺には、主としてコラーゲンを成分とした、カプセルと言う膜が発生し、それが異物を取り囲んで人体から隔離しようとする反応が進行していくのです。実際に、ヒアルロン酸を片胸に付き50㏄注入された患者さんで、このような異物を取り囲むカプセルができている方がいます。そして、そのカプセルが拘縮し、バストが硬くなっているのです。
 
決して自然な仕上がりとは言えない、ヒアルロン酸注入による豊胸術
ヒアルロン酸注入による豊胸術では、注入したヒアルロン酸の周囲にカプセルが形成され、硬く変形したバストが出来上がることも、稀ではありません。それはつまり、前述のように、注入されたヒアルロン酸を、人体が異物と認識してしまっているということです。「ヒアルロン酸は元々人体に存在する成分なので、安心です。」とは、この豊胸術のキャッチフレーズですが、実際には、人体のあるべきところに、あるべき濃度と大きさで、ヒアルロン酸が存在してこそ、「元々人体に存在する成分なので、安心です。」と言えるのです。それ以外の場合、つまりは大量のヒアルロン酸が一塊になって存在している場合には、それは異物と同じことなのです。
 
先進国で、ヒアルロン酸注入による豊胸術が許されているのは、日本だけ。
バストに豊胸目的で注入されたヒアルロン酸による副作用は、日本ではあまり表に出てこないのですが、ヨーロッパ(EU)諸国では、この豊胸術は、既に2010年に禁止されています。
その理由が、やはり、ヒアルロン酸の異物としての反応です。日本よりも早くからヒアルロン酸注入による豊胸術が行われ始めたEU諸国では、バストに注入されたヒアルロン酸に対して、異物に対する反応と同様の反応が、早くから観察されていました。実際に、ヒアルロン酸の周囲にカプセルができて変形するという副作用もありました。
バスト豊胸術用のヒアルロン酸がEUで発売される前までは、ヒアルロン酸の年間使用量の目安と言うのがあり、それが年間約35mlまでと言うことでした。しかし、豊胸術用のヒアルロン酸で、年間35mlというのは、量としてはかなり少なく、十分な豊胸効果を獲得するには程遠いものでした。また、この年間35mlという目安は、アレルギー反応の多かった、牛コラーゲンの注入材料の基準をそのまま持ってきたものでした。そこで、科学的根拠が乏しいこともあり、規制当局は、その基準を外したのです。ちなみに、注入用牛コラーゲンに対するこの基準は、人体が牛コラーゲンに感作されて、アレルギー反応が発生するようになるようにならないようにするためと、牛コラーゲンによって自己免疫疾患が発病しないようにするためのものでした。このように、年間最大使用量の規制が外されたヒアルロン酸は、EUで大量に豊胸術に用いられるようになったのです。そして、多くのバストの変形や硬化などの副作用を発生させ、豊胸術に対して使用を禁止されるに至ったのです。
 
ヨーロッパ(EU)諸国での、ヒアルロン酸豊胸禁止の本当の理由
異物反応と同様の反応が、ヒアルロン酸に対して観察されたというのは、事実なのですが、実はこの反応は、もっとややこしいことになったのです。
どういうことかと言うと、ヒアルロン酸が液体状の注入物であったことが、この災いをもっと深刻なものにしたのです。それは、液体状であれば、周囲の組織に潜り込み、そこに食い込むように存在するからです。そのような状態で異物反応が発生すると、その箇所には、炎症反応と同時に、肉芽腫の発生が多くみられます。事実、ヨーロッパ(EU)諸国での、ヒアルロン酸豊胸禁止の本当の理由は、この肉芽腫の発生だということです。通常の異物に対する反応としての、周辺部に対するカプセルの形成やその他の慢性的な炎症に関しては、原因になっている異物を取り除くことで解決できます。事実、ヒアルロン酸には、それを溶かして水のようにさらさらにしてしまう、ヒアルロニダーゼという薬剤がありますので、それを注射して、量が多い時にはカプセルの中から注射器で吸い出すか、カプセルに穴を開けておけば、体内に吸収されてしまいます。しかし、肉芽腫を形成してしまうと、ヒアルロニダーゼは肉芽腫の中に十分に入って行かず、したがって、原因であるヒアルロン酸を溶かすこともできません。治療は、肉芽腫ごと手術的に切り取ってしまうしかありません。
このように、ヨーロッパ(EU)諸国での、ヒアルロン酸豊胸禁止の本当の理由は、ヒアルロン酸に対する異物反応からカプセル形成して乳房が変形したことだけではなく、肉芽腫の発生によって、乳房が変形し、手術的に治療が必要になった患者さんの頻発によるものです。
 
アメリカでは、ヒアルロン酸を豊胸目的に使用することはなかった。
FDAによる注入用ヒアルロン酸の承認が遅かったアメリカでは、豊胸用のヒアルロン酸も発売されることもなく、その手技自体も存在しませんでした。
FDAによる注入用ヒアルロン酸の承認が遅くなったのは、その安全性や効果についての治験がなかなか進行しなかったという事情があります。その裏には、アメリカの製薬企業大手イーライ・リリー傘下にあったコラーゲン・コーポレーションの圧力が働いたという話もあります。当時、アメリカでは、コラーゲン・コーポレーションの注入用牛コラーゲンが、しわ取りの注入治療に対して唯一、FDAの承認を獲得していました。そしてコラーゲン・コーポレーションは、次の製品として、人間の皮膚からコラーゲンを培養して、アレルギー反応の多い牛コラーゲンではなく、人間コラーゲン製剤を発売する準備をしていた段階でした。それに対して、注入用ヒアルロン酸は、コラーゲンよりもシワ取り作用が長期に及び、しかもアレルギーの発症率が0.1%と、牛コラーゲンの3%と比較すると非常に低いものでした。注入用ヒアルロン酸を始めて世に送り出したのは、スウェーデンのQ-MED社で、Q-MED社はアメリカでのFDAによる承認獲得に動いていたのですが、アメリカの国内企業に対抗製品がある為、承認に向けての手続きがなかなか進まなかったとされています。つまり、Q-MED社はスウェーデンの会社で、アメリカのコラーゲン・コーポレーションから見れば、「外資」になります。まだ、現在のようにWTOなどの国際的な関税・非関税障壁を扱う自由貿易協定を推進する機関などが、活発に活動していなかった時代です。FDAも、自国の製薬産業を保護する立場で仕事をしたのかもしれません。
 
脂肪注入と同じく、マンモグラフィー検査でも不具合が生じる。
肉芽腫とは、慢性的な弱い炎症を伴った、コラーゲン繊維と白血球の集まりです。慢性炎症が長期に亘ると、そこには石灰化が生じます。
炎症が発生すると、白血球の働きにより、そこではたくさんの種類のサイトカインが働きはじめます。その、サイトカインが細胞に作用するときに、カルシウムイオンが細胞内に出入りし、細胞の活動を調整します。これは、神経細胞が痛みや筋肉の動きを制御するときと同様のメカニズムです。炎症が痛みを伴うのは、痛みを発生する物質の作用と同時に、サイトカインの働きとカルシウムイオンの働きでもあります。慢性炎症の場合、これらカルシウムイオンの細胞内外への移動が、断続的に発生し、周辺の組織が炎症によって酸性化していることから、炭酸イオンとカルシウムイオンが結合し、石灰化とその沈着が進行します。この石灰化が、マンモグラフィーによる乳がん診断の阻害要因になります。ヒアルロン酸注入後のマンモグラフィー撮影は禁忌ではありませんが、注入したヒアルロン酸や、それによって発生したこのような石灰化は、画像診断上、乳がんの所見を発見するのに邪魔になるばかりか、特に石灰化においては、乳がんの所見と間違えられることもあり得ます。
 
「ヒアルロン酸はいずれ体内に吸収されてしまって、跡形なく、なくなるから安全」という神話
ヒアルロン酸は体内に元々存在する物質であるというのは、事実です。そして、吸収されるということも、また、事実です。しかし、バストに対して、豊胸効果が得られるほど、大量に注射された場合には、必ずしも、そういうわけにはいかないということは、頭に入れておくべきことです。
実際に、異物として認識され、その周辺にカプセルができると吸収されません。肉芽腫になれば、それも吸収されるというよりも、腫瘍状に増殖すると言ってもいいでしょう。石灰化を伴えば、これは決して消失することはなく、乳がんの診断の妨げになります。このように、ヒアルロン酸の豊胸目的でのバストへの注入は、決して手放しで安全と言うわけにはいきません。むしろ、ひとたび問題が発生すれば、その対処には、乳房の切開を伴うような手術を必要とする場合も少なくない方法です。ヒアルロン酸注入による豊胸術は、決して手軽で、最悪でも早く元の貧乳に戻るだけというものではありません。最悪の場合には、バストには切開創の痕が残るものであるということは、念頭に置いておいたほうがいいでしょう。


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