美容整形 Cosmetic surgery

美容整形

美容整形 Cosmetic surgery

美容外科の俗称。しかしながら、「美容外科」という診療科名(標榜科)としての呼称よりも歴史は長く、戦前から、容姿を整える外科として、「美容整形」と言う言葉が用いられていた。そして、1972年に、「形成外科」が正式な診療科(標榜科)名として、国会決議を経た医療法の改訂とともに、当時の厚生省によって認められると、美容形成(外科)と称する診療所も登場してきた。さらに1978年に「美容外科」が正式な診療科(標榜科)として認められると、正式には「美容外科」と、俗称としての「美容整形」が、併存するようになって、今日に至る。

1978年に、それまで広く用いられていた「美容整形」という名称ではなく、正式な診療科(標榜科)名が「美容外科」となった経緯としては、医療法改定の際の法案審議会において、「整形外科」の学会などの学術団体や医師会内の整形外科医たちから、本来の「整形外科」と、「美容整形」という名称が紛らわしいとの意見があったためとされている。実際のところ、美容整形診療を行っていた診療所のほとんどが、「整形外科」を診療科(標榜科)として掲げていた。「美容外科」を正式な診療科(標榜科)名として承認するかどうかといった審議会が山場を迎えた際には、当時の日本美容外科学会会長の梅沢文雄氏が、「美容整形」という診療科名(標榜科名)を諦め、「美容外科」での法案通過を承諾したとされる。

このような、「紛らわしい診療科(標榜科)名」というのは、たしかに公衆の誤解を招く場合がある。たとえば、口腔外科。これは口の中の外科として、あくまでも外科の一分野と位置づけるのか、それとも、歯科の一分野として位置づけるのかというものである。実際のところ、口腔外科は歯科の一分野なのだが、このままの口腔外科という名称だと、外科の一分野で、歯科医ではなく医師の分野と言う誤解が生じる可能性がある。結局、この口腔外科の件は、必ず最初に「歯科」を冠し、「歯科口腔外科」として、正式に診療科(標榜科)となった。

「美容外科」が診療科(標榜科)となった際に、一つの問題が持ち上がった。それは、国際学会・形成外科との関係である。一足先に正式な診療科(標榜科)となっていた形成外科は、正式な診療科(標榜科)となる時に、その中に美容を含まないということが、前提条件で、審議会・国会を通過していたのだった。しかし、アメリカにおいては形成外科(Plastic surgery)は、美容外科(Aesthetic surgery)をその中に含んでいた。当然のことながら、当時の高いポストにいた医師たちは、自身のアメリカ留学の体験などから、美容に対して、自分たちの形成外科と言う専門性の中に、これを含むということを主張するグループが存在した。そして、整容外科研究会なるものを立ち上げ、活動していたのだった。

一方、日本美容整形学会は、「美容外科」が正式な診療科(標榜科)名となるのと前後して、日本美容外科学会(JSAS)と改称し、活動を継続していた。この日本美容外科学会(JSAS)は、多種多様な診療科にバックグラウンドを持つ医師たちによって構成され、形成外科出身の医師も多く在籍していた。

そうしたところで、アメリカの形成外科学会の分科会であるアメリカ美容形成外科学会が主体となり、国際美容形成外科学会が立ち上がることになった。そして、日本においては、日本美容外科学会(JSAS)がこれに加盟するべく、手を挙げたのだった。しかしながら、この国際美容形成外科学会(ISAPS)はあくまでも形成外科の分科会という位置づけである。国際美容形成外科学会(ISAPS)は難色を示した。そこで、形成外科医たちのグループである整容外科研究会が、日本美容外科学会(JSAPS)と改称し、形成外科学会の分科会のふりをして、国際美容形成外科学会(ISAPS)に加盟してしまった。これが、日本美容外科学会(JSAS)の、本家日本美容外科学会(JSAS)と形成外科系日本美容外科学会(JSAPS)の分裂となった。この日本美容外科学会(JSAPS)が、和名では日本美容形成外科学会ではないのは、正式な診療科名が美容形成外科ではなくて、「美容外科」であることと、当時、あくまでも形成外科は美容を含まないといった立場を崩さない形成外科医が多数派であり、形成外科学会の分科会として認められなかったこと、さらに、美容形成外科は形成外科との混同を招くとされたからだと言われている。

ところで現在、「美容外科」が正式な診療科(標榜科)となってから既に30年以上を経過している。そしてその間、診療科(標榜科)表示に関する規制緩和の流れの上で、正式な診療科(標榜科)の前後に、その診療所や病院の診療内容を示す語句を付けて表示することが認められるようになった。つまり、美容内科、美容皮膚科などが、表示可能になったのである。その流れからすれば、「美容外科」という診療科(標榜科)名と言うのは、外科をベースにした美容医療と言うことになり、美容整形外科を名乗ったほうが、通りがいいと思えるようになった。また、美容医療自体も、外科的な技術を使用するものばかりではなく、内科的、皮膚科的アプローチも増加し、それらの知識も必要とされることが多い。そろそろ、「美容外科」という診療科(標榜科)名も、制度疲労に伴う寿命に達したのかもしれない。


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