受け口の手術と同時に、顎を短くして後ろに移動

あごを短くする手術とともに、受け口の手術を行ったモニターさんの症例写真です。口元の引き締まった雰囲気で、形態的に非常に良い状態になりました。

手術法としては、受け口の手術とともに、顎の先端の骨を切除し、前に突き出した顎の先端を後ろに移動させ、しかも短くしています。受け口の手術と、所謂、U-カットという形での、顎の短縮術です。受け口の手術は、左右両側の、前から4番目の歯を抜歯し、その部分の歯槽骨を切除、前歯6本を歯槽骨と共に顎の骨から外し、切除した歯槽骨の部分を利用して、後ろに引っ込めて固定しています。顎の先端については、先端から約7㎜の幅で骨切除を行い、周辺をなだらかに修正した後、周辺の筋肉を骨に縫合しています。術後は、術前の状態に比べて、顔面の長さが短くなり、口元が引き締まった状態になることで、より知性的な顔つきになったということができます。口元や顎の部分については、目や鼻と違って、パーツそのものの美しさと言うよりも、むしろその改善によって、顔全体の印象の変化を出すことができます。

受け口の手術や、エラの手術などは、当院では基本的に全身麻酔で行います。全身麻酔を使用する理由はいくつかあります。受け口の手術の場合には、切開は口の中の粘膜の部分になります。そして、そこから骨に到達して、下あごの骨を切除したり移動させたりします。手術に際しての出血量は多くはないのですが、骨を切る操作を伴うため、それに際しての振動や音など、精神衛生上よくないことも多い手術になります。

歯科医院にて、虫歯で歯を削る処置を受けたことのある方は多いと思います。最近の歯科医院は、麻酔の注射などもできるだけ痛くないように工夫され、比較的快適に治療を受けることができるようになってきています。しかし、あの、モーターが回る時の高周波音と、歯を削る時の細かい振動の感覚など、どうしても、不快な感じが全くなくなるというものではないと思います。受け口の手術の際には、歯そのものではなく、そのより奥深いところの骨と言うことになるため、これらの感覚はもっと大きなものとなります。また、この手術で全身麻酔を使用する理由は、上記の精神衛生上のこと以外に、手術操作そのものの特性と、注射による局所麻酔では、麻酔を十分に効かせることができないということもあります。

第一に、注射による局所麻酔は、骨の中に麻酔ができません。骨は、一番表面には骨膜と呼ばれる膜によって囲まれていて、その下には白くて硬い、一般的に骨と呼ばれる部分である、硬い骨皮質があります。

さらにその下には、骨髄と言って、神経や血管の豊富な部分があります。つまり、骨髄を中心にして、その周辺を骨皮質が取り囲み、さらにその上を骨膜が取り囲んでいる状態です。肉まんにサランラップがかかっている状態に似ています。そしてそれらの構造の中で、神経が存在して痛みを感じるのは、骨膜と骨髄です。骨皮質には神経がなく、麻酔をしなくても痛みを感じることはありません。そして骨膜は、局所麻酔の注射によって麻酔薬を浸潤させれば十分に麻酔できます。しかし、骨髄については、その中の神経や血管の走行が複雑で、実際には無秩序に走行しているといってよく、注射で局所麻酔を効かせるのは困難な部分です。例え骨髄を局所麻酔薬で充満させることができたとしても、その血流が豊富な関係上、注射された麻酔薬は血流によって流されてしまい、ものの30分と麻酔が効いていないのが確認されています。つまり、骨の外側は局所麻酔ができても、骨の中心部は麻酔が効かないと言うことなのです。したがって、手術の痛みをとるには、全身麻酔が必要です。

2つ目として、受け口や顎の手術は、骨を切る際に、たくさんの水を降りかけながら手術を行うということです。骨を切る手術機械には、ドリルやボーンソー、超音波キューサーなど、今やいろいろなものが出回っています。

しかし、これらのすべてに共通することは、切る骨と器械の先端との間に、必ず摩擦が発生するということです。摩擦が発生すると、そこには熱が発生します。この熱はかなりの高温に達することもあり、その状態で手術を続行すると、骨熱傷という、骨の火傷を引き起こし、骨の壊死を発生させ、術後の感染や骨癒合の遅延の原因になります。また、この受け口の手術で骨熱傷が発生すると、近隣の歯が抜け落ちてしまうことにもなります。そこで、この骨熱傷発生の原因である、骨と器械との摩擦熱を取り、これらの合併症を防止するために、生理食塩水を降りかけて、冷却しながら手術を行うことが、標準的な術式として定着しています。超音波キューサーなどは、スイッチが入ると、自動的に生理食塩水を噴射する構造になっています。そうすると、口の中には出血とともにたくさんの水があふれる形となります。当然それらは、歯科処置の時のように吸引しながら、手術を行うわけです。しかし、歯科処置のように少量の水では、発生する熱を取り去るには不足ですから、その何倍もの量の生理食塩水を使用することになり、多くは喉の奥のほうにも入っていきます。そうすると、その水で喉の刺激を受けることになり、咳の反射が発生して「むせる」ことになってしまいます。

美容外科手術に限らず、手術で用いられる麻酔のうち、一言で「全身麻酔」と言ってもその中には方法がいろいろあります。まず麻酔は、全身麻酔と局所麻酔に分けることができます。

全身麻酔と局所麻酔とは、読んで字のごとくなのですが、簡単に言うと、患者さんの意識に影響を及ぼして手術中に眠らせるのが、全身麻酔。手術を行う部分の痛みを取り、基本的には意識に影響を及ぼさない麻酔を、局所麻酔と言います。そして全身麻酔の中でも、浅い麻酔で、自分で呼吸をさせたままの麻酔と、しっかりと深い麻酔で、呼吸を確保しての麻酔があります。
前者はよくリラックス麻酔だとかいう形で紹介されているのですが、この麻酔は、実はその深さの調整が難しく、浅いと手術の途中で患者さんが無意識のうちに動いてしまい、手術の妨げになります。また、深すぎると呼吸が停止して、大きな事故に発展してしまいます。さらに、麻酔の効果が、術後約2時間してから再び戻ってくることが多く、これもまた事故につながることが多いようです。実際、国内ばかりでなく、海外でも、この麻酔による事故は多発しています。また、気道を人工的に確保していないため、受け口の手術に使用した場合には、気管内に前述の水や血液が流れ込み、水で溺れたような状態になってしまいます。
受け口の手術に使用する麻酔は、後者の、しっかりと深くかけて呼吸を確保する麻酔です。この麻酔が、本当の意味での全身麻酔と呼ばれるもので、通常、手術を行う医師とは別に麻酔医を準備して行われます。この麻酔での呼吸確保は、気管内挿管と呼ばれる方法で呼吸を確保して、手術中はそれを人工呼吸器で調節します。気管内挿管とは、気管の中にチューブを通して、しっかりと肺の中に酸素と気体状の麻酔薬が送られるようにすることです。口から気管の中にチューブを通す場合を、経口挿管。鼻から通す場合を、経鼻挿管と言い、口の中から手術をするような、この受け口の手術などには、経鼻挿管が利用されます。このように気管内挿管を行うことで、受け口の手術では、水や血液の気管内への流入が防止され、さらに深い麻酔をかけることができるため、手術中に患者さんが動くこともなく、手術自体の安全性も高いものとすることができます。

限定解除要件
副作用・合併症: 唇の一時的な痺れ
手術費用160万円+全身麻酔17万円+術前検査3万円:総額180万円