受け口手術~顔面全体に及ぶ美容効果

受け口の手術を受けたモニターさんです。術後は口元に締りが出て、への字に結んでいた口がVの字に結ばれるようになり、引き締まった顔つきに変化しています。

受け口の手術は全身麻酔で行います。手術法としては一般的に、4番目の歯(第一小臼歯)を抜歯しします。その後、その抜歯した隙間の部分の下にある骨を切除し、前歯と犬歯をつけたまま、横向きに骨を切ります。横向きの骨の切開は、切除した骨のあった部分と繋げます。その後、犬歯と前歯は、骨ごと後方に移動させます。きちんと予定の位置に移動したら、骨を固定して、犬歯と第二小臼歯の根元をワイヤーで結び、傷を縫合して終了します。基本的には、切開は口の中ですから、表面からは見えません。また4番目の歯は、歯科矯正治療の際にも抜歯することが多く、一般的には、咬合(かみ合わせ)にあまり影響のない歯であるとされています。

受け口の手術は全身麻酔で眠っている間に終了します。そのため、手術に際して前もって検査が必要になります。

検査は、血液検査、レントゲン、心電図と咬合模型です。血液検査にはB型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIVなどの感染症関係の検査の他に、赤血球・白血球・血小板数などの血液学的検査、肝機能検査、腎機能検査、血液凝固機能検査などが含まれます。血液学的検査は、主に貧血やその他の手術に影響する血液学的異常を検査します。この受け口の手術自体は、出血量が平均200ml以下と、骨の手術の割には出血の少ない手術です。しかし、高度の貧血などは、たとえ少ない出血であっても、安全性を低下させることになりますので、きちんと検査で確認します。肝機能検査と腎機能検査は、全身麻酔の際に使用する薬剤をきちんと解毒して排出できるかどうかの検査です。また、手術に際して止血機能において最も重要なのが、血液凝固機能検査です。骨の手術の場合、骨髄からは、ある程度の出血があります。骨髄からの出血というのは、血管からの出血とは違い、断面全体から、じわっと染み出すような出血です。このような出血は、ボーンワックスや、コラーゲン繊維でできた綿で止血しますが、これらは骨の癒合を妨げますので、使用は限定的になります。したがって、自然に血液が固まって、止血される機能が重要です。

術前検査としてのレントゲン検査は、全身麻酔のためには胸のレントゲン検査を行います。受け口の手術の場合には、顎のパノラマ撮影というレントゲン検査も同時に施行します。

胸のレントゲン撮影は、気管の太さ・心陰影(心臓の影)の形や大きさ・肺の異常の発見などが主な目的です。気管の太さに関しては、手術中に気管の中に通して呼吸を確保するためのチューブの太さを決めるためです。心陰影は、心電図検査とともに、心不全の前兆や先天性心疾患などのスクリーニングに役立てます。これらの疾患は、麻酔をかける時に十分な注意が必要な疾患で、その異常の程度に応じて麻酔薬の濃度や呼吸の補助について、独特のノウハウがあるからです。

手術そのものに関する術前検査は、顎のレントゲン検査と咬合模型の作成があります。これらはどちらも歯科にて行います。

顎のレントゲン撮影は、顎の骨の形態と歯の状態、特に歯根の状態を検査します。方法としては、パノラマ撮影や、CTスキャンを使用します。下顎の骨の中には、下顎神経と言って、エラの上方の内側から顎の骨の中に入る神経があります。この下顎神経は、骨の中で枝分かれしながら、5番目の歯の下にあるオトガイ神経孔という穴から出て、オトガイ神経となります。これは、下唇に向って伸びている感覚神経です。顎のレントゲン撮影は、主にこのオトガイ神経孔の位置と、歯根(歯の中で歯肉や骨に隠れている部分)の位置との関係を、術前に前もって観察しておくために行います。これによって、4番目の歯以外の歯根を傷つけて、歯が抜けてしまうのを防止し、オトガイ神経の切断による唇の麻痺を防ぐ助けとするのです。

咬合模型は、いわゆる「歯型」と呼ばれるもので、受け口の手術以外にも、義歯の作成やインプラント手術の前にも作成することがあります。

受け口の手術は下顎の骨の手術なのですが、この咬合模型は、上顎を含む、口腔内にある歯牙のすべてを網羅するように作成されます。そして、この模型は咬合器という器具に取り付けられます。咬合器とは、模型を取り付けることで、人間のかみ合わせを再現する器具です。咬合器に取り付けられた模型は、手術時の予定を考慮して4番目の歯の部分で切断され、一度、術後の歯並びの完成状態を、再現します。その際には、歯を噛み合せたときに、きちんと噛めているかどうかを検討し、手術で前歯をどれくらい動かべきなのかを検討します。この作業で、目的に合致した状態になるまで、移動距離や方向を再現していくのです。その後、この模型を利用して、手術の時に使用する「スプリント」というものを作成します。これは手術中、下顎の骨を動かした後、骨を固定する前に上の歯にはめ込んで下顎と噛み合せ、予定の位置に対してできるだけ正確に下顎の骨を固定するために使用します。

医療広告限定解除要件
副作用・合併症:下唇の痺れ
費用:手術80万円+麻酔・検査20万円=100万円