幹細胞脂肪注入豊胸術に用いられる、幹細胞分離を行う機器

幹細胞脂肪注入豊胸術は、幹細胞を脂肪組織から分離するときに使用する器械の名前で、いろいろな呼び名を、クリニック側が付けているのが現状です。それらの本質は、全て、脂肪吸引で取りだした脂肪組織から、幹細胞を取り出す作業を、オートマチック(自動的)で行うことです。幹細胞の分離を自動化することには、2つの意味があります。一つは、人的な省力化です。もうひとつは、分離できる幹細胞の安定化です。

人的な省力化については、人手を省けるということですので、理解は容易だと思います。工場で、手作業の代りに、工作ロボットを使用するのと同じことです。幹細胞の分離には、少なくとも1時間の時間が必要です。これは、脂肪吸引で取りだした脂肪組織に、薬剤を混入してから、この薬剤の反応が終了するのに、最低30分必要だからです。この時間は、このような器械を使用しても、これ以上の短縮はできません。しかし、器械に任せておけば、その間の1時間は、人手がいらないわけですから、他の患者さんの診察などに充てることができるのです。

分離できる幹細胞の安定化ですが、これも、工場で工作ロボットを使用するのと同じことです。たとえば、手作業で幹細胞を分離する場合、ある人がやると高濃度の幹細胞を分離できるが、別の人がすると、濃度が低い・・・・・などということが防止できます。そういった意味で、幹細胞を分離する際の、熟練度による品質のばらつきを少なくするのに、器械を導入する意義があります。

このように、省力化と安定性を目的として、幹細胞分離機器を導入するクリニックが多いのですが、問題点がいくつかあります。

1)TGI 1200
アメリカ製の器械。卓上型で、現在入手可能な機器の中で、最もコンパクトだと思われるもの。しかし、元々、心臓の血管や組織、または足の血管が詰まってしまう病気の治療に、脂肪吸引で採取した脂肪から、幹細胞を分離して使用する目的で作られたため、1回の幹細胞作成量が、豊胸術用としては不足している。また、一回の稼働に60分の時間がかかる。

2)セリューション(Celution,Cytori)
やはり、アメリカ製。一般的なレーザー機器ほどの大きさ。手術室でスペースを必要とすることと、やはり1回の稼働に2時間ほどの時間が必要で、しかも2台のセリューションがないと、効率的に運用できない。つまり、4時間が必要になるということ。サイズが大きいことから、処理能力(一度に取り出す幹細胞の量)という点では、優れていると言える。

3)リポマックス(Lipomax)
韓国の美容外科医がオーナー社長である、Medicanという会社の製品。オートマチックという点では、行程中に人の手が必要な部分がかなりある。しかし、最初から最後まで、シリンジ同士での試料のやりとりなので、手術室内での操作には、非常に便利。この機械での中間産物である、遠心分離した脂肪を、コンデンスファット(コンデンスリッチファット)という名称で、脂肪注入に使用することもあるが、これは、正確には幹細胞脂肪注入とは違ったものである。