顎を短く・小さく3

受け口手術の段修正

「中抜き」の手術は、前述のように、顎の短縮効果については、安全性やリスクを考慮すると、限られた効果しか得られないことがあります。そこで最近は、顎の骨の先端を単純に切り取ってしまう手術法も行われるようになってきました。

この、顎の先端を単純に切り取ってしまう術式の良い点は、顎の骨の短縮効果を、できるだけたくさん出したい時に、中抜き手術よりも有利であるということです。さらにその他に、顎の先端の形を、比較的自由に選択できるということです。例えば、「顎を小さくしたいけど、同時に尖らせたい」「顎を引っ込めて、丸い輪郭にしたい」などです。

しかし、この手術法は、顎先の筋肉を、骨膜を含めて骨からはずしてしまいます。そのため、切り取った骨の箇所にスペースが残り、そのために切り取った骨の量に対して、顎を短くする効果が少なくなります。その効果とは、約50%といったところです。例えば、骨を10㎜切り取っても、顎の短縮効果は5㎜ということです。そこで、手術で顎先の骨を切り取った後、すぐに筋肉を骨に縫合して、スペースを残さないようにします。そうすれば、顎先にスペースを残すことなく、切り取った骨の量に対して十分な、顎の短縮効果を獲得できます。

では、「中抜き」ではなく、このような手術法を採用する場合は、どういった場合かということです。
一つ目は、下あごの骨の中の、神経の走行が比較的低い位置にあり、それを切断しないようにすれば「中抜き」では十分な量の骨が切除できない場合です。また、歯根が非常に深く長く顎の骨の中に埋まっている場合も、「中抜き」では十分に骨を切り取れないのですが、神経よりも下のほうまで歯根が伸びている場合というのは非常に稀なことですので、大多数の症例では、神経の走行に関係した症例ということになります。したがって、術前検査でレントゲンやCTを撮影して、下顎の骨の中の神経の走行を術前にチェックしておくことは、手術法の選択にも関与する重要な検査ということになります。
二つ目は、前述したように、顎の先端の形にリクエストがある場合です。中抜きの場合には、基本的に、顎の先端の骨の「移動」ですので、顎の先端の形はそのままです。しかし、この手術法の場合には、顎の先端の形を、骨の切り取り方によって造ることができます。
三つめは、中抜き手術をした場合に、術後の輪郭が、患者さんの望むものにならない場合です。中抜き手術は、基本的に、顎の先端を移動させる手術です。したがって、下顎骨の横のほうの、顔面の輪郭の幅は、そのままです。そこで、場合によっては、輪郭が四角くなってしまいます。単純切除の場合には、この、輪郭の幅に影響する部分と、顎先の骨との、形の連続性を造れますので、ある程度は、このような、輪郭の不適合を予防できます。しかし、顎先を大きく切除した場合には、エラの前方の手術を追加する必要がある場合があります。