頬骨(後ろを小さく・前は盛り上げる)

20歳代女性のモニターさんです。頬骨の、特に横への張り出しを気にして、受診されました。手術法は、上記の、頬骨の前・後両方の手術に準じて、切開を加え、頬骨弓を内側に動かすとともに、平坦な顔面を立体的にするため、前方には、少しだけ盛り上がりを作るように、頬骨を動かしました。

この手術で、側方を引っ込めて前方への盛り上がりを造るというのは、ひとえに、骨の切り方にかかっています。特に、頬骨弓の前方の骨の切り方が、重要です。ここの切り方、つまりは場所と方向を間違うと、前方への盛り上がりができないばかりか、側方の盛り上がりが前方に移動しただけの状態を造ってしまいます。そしてその場合には、頬骨が原因で広かった顔の幅は、ほとんど変化せず、逆に目立ってしまうことになってしまいます。

この手術の計画

計画としては、前方を少しだけ盛り上げ、側方は引っ込める。

 

盛り上げるといいところ

ここが盛り上がると、立体的で、スッキリとした輪郭と印象が得られる。

 

盛り上がってはいけないところ

ここを盛り上げてしまうと、顔の横幅が変わらない。逆に粗野な印象に。

 

間違った骨切りと、正しい骨切り

顔面の骨の形の、個人差はあるが、凡その骨切り線。向かって左が、間違った骨切り。頬骨弓の外側のほうを、縦に切ると、骨片の縁が盛り上がり、盛り上げたくないところが盛り上がる。
向かって右が、正しい骨切り。これだと、頬の前方を盛り上げることができる。

 

間違った骨切りの結果

骨切りの方向・箇所を間違うと、 このように、盛り上げたいところではなく、それよりも外側が盛り上がり、顔の幅が大きく見えるようになる。

 

ここで、頬骨弓は、どれだけ内側に動かしても良いものかと言えば、そうではありません。頬骨弓の内側は、側頭筋と言って、所謂、こめかみの筋肉の通り道となっています。物を噛んだ時には、ここに、下顎骨の筋突起が入ってきます。したがって、頬骨弓は、これら側頭筋や下顎骨筋突起に、干渉しない程度の移動に留めておくことが必要です。また、頬骨弓の移動後に、骨片同士の接触が少なすぎると、安定性が悪くなり、このこともまた、咀嚼に際して、障害になります。したがって、頬骨の手術で、できるだけ大きな効果を出そうとすると、頬骨弓のどの部分を引っ込めるように手術を計画するかということが、大切なことになってきます。

限定解除要件
副作用・合併症:咀嚼時の違和感・一時的に眉が動かしにくくなる
費用:頬骨手術90万円+麻酔20万円=110万円