アメリカン・ジャーナル9月号の興味ある記事

アメリカ美容外科学会誌に、非常に興味ある論文が掲載されています。脂肪吸引の論文なのですが、通常の脂肪吸引・レーザーを使用しての脂肪吸引・パワーカニューレでの脂肪吸引・超音波(ヴェーザー・ベーザーなど)での脂肪吸引・ボディージェットでの脂肪吸引を比較した論文です。


In Vivo Endoscopy of Septal Fibers Following Different Liposuction Techniques Reveals Varying Degrees of Traumatization
内容は、それぞれの脂肪吸引を行った後に、内視鏡で皮下を覗いてみたものです。そして、血管や神経などの線維がどれだけ残っているかを比較しています。これらの繊維がたくさん残っているほど、脂肪だけを選択的に取り去り、神経や血管などに不要なダメージを与えていないということになります。したがって、それだけ術後の痛みが少なく、回復も早いということです。
では、どの方法が一番優秀な結果(一番繊維を残している)だったかと言うと、レーザーを使用して脂肪吸引をした場合だということでした。次にはパワーカニューレ、そして通常の脂肪吸引、超音波(ヴェーザー・ベーザーなど)と続き、ワーストがボディージェットだったということです。
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この結果については、私は「やっぱり」という感想です。実は、他院で過去に「根こそぎ」と称してボディージェットを使って脂肪吸引を受けた患者さんたちが、当院に訪れ、脂肪吸引の術後の痛みや回復過程の長さをよく語ってくれるのです。私としては、「そんなに大変だったの?」という感想でしたから、この論文の結論は、非常に納得できるものです。それに対して、当院でプラズマリポで脂肪を溶かす手術を受けた患者さんは、皆さん、術後が楽なのに驚いています。また、当院での脂肪吸引も、術後が楽なのに皆さん感激します。つまり、ボディージェットや超音波(ヴェーザー・ベーザーなど)を使用することは、術者の負担を軽減することや、手術の時間を短縮するのには役立ちますが、術後の回復過程や痛みについては、何らメリットはなく、逆に負担が大きくなるということです。
何でも新しいものが、手術を受ける側にとって大きなメリットがあるというのが幻想であるということが、非常によくわかった論文でした。

「アメリカン・ジャーナル9月号の興味ある記事」への4件のフィードバック

  1. 一児の母 より:

    そこに着目して研究比較された方は、スゴイ情熱ですね。
    患者サイドとしてはありがたいですが、全国の先生達が読んでくれてるといいなぁ・・・

  2. k より:

    なるほど。やはり、術後のダウンタイムが大変だと嫌ですね・・・

  3. dazzle より:

    一般の方は、どうしても効果と費用を重点に置きますから、詳細まで知ろうと思わないでしょうね。

  4. 匿名希望 より:

    比較内容が一目瞭然ですね。

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