MIFAS part 8 第8回最小侵襲顔面美容形成外科 4

さて、いよいよ学会1日目。1日目は顔面解剖実習。解剖実習と言っても、医学生がやるような、系統解剖ではありません。あくまでも臨床解剖です。どういうことかと言うと、医学生の解剖実習は、神経系・消化器系・筋骨格系など、人体のそれぞれの臓器の系統に沿って解剖を進め、それらと他の系統との位置関係や形態を通して機能を学びます。つまり、人体の機能を形態を通して学ぶということです。しかし臨床解剖の場合は少し違います。
 


臨床解剖の場合には、あくまでも手術や処置の手順を念頭に、それらの技術の効果や手技を、実際の遺体を利用して確認し、診療に役立てることを主眼としています。つまり、死体で手術をして技術を向上させることと、その効果を検証するということ。
 
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私は招聘された講師と言うことで、一応、organizer。つまり、主催者ということに。因みに日本語で「講師」というのは、直訳するとlecturerですが、これは大学病院内の地位からすると「助手」。講師はassistant professorとなる。ここの病院は大学病院の一つで、そのシステムでは、consultant=assistant professor以上ということで、私はvisiting consultant=客員教授と言うことになっています。つまり、主催者の内部の人間と言うことに。
 
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コングレスバッグ(学会バッグ)。学会では、書類やプログラムなどを入れて持ち歩くバッグが、参加受付のところで配布されるが、これのデザインに、学会主催者のセンスが出る。学会場の外では大凡持ち歩けないような、恥ずかしいデザインのことも多々あるが、今回のコングレスバッグは、街中で普通に使えそう。
 
やはり宗教上の理由などもあり、死体自体は撮影禁止で、外からも見えないようにして実習が行われます。今回の実習室は、上の写真にあるとおりの、小グループがそれぞれのブースに分かれて、3人一組につき指導者が一人はいる形で行われました。ご覧のようにカメラなどの機材が搬入されていますが、これらの映像はライヴ中継で講義室に流されます。朝の8時に開始。
 
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進行としては、それぞれの手術項目について、まず、私が講義室にて講義を行い、その後、実習室に移動。実習室では、カメラの前で解説しながら死体に対して手術を行い、それを自ら解剖して、その効果を説明します。一通りの手順が終了したら、実習開始。私は各ブースを廻りながら、キーポイントを教えたり、質問を受けたりで、その日だけで1万歩以上の歩数を歩いた。
 
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今回の死体解剖実習は、死体の保存状態が非常によく、全く損傷の無い状態の頭頸部だったため、実際の手術にはかなり役に立つものだったと言える。参加者へのアンケートの内容を見ても、かなり良いフィードバックのスコアが獲得できた模様。
 
そして時間通り、夕刻の5時に終了。終了後は主催した耳鼻科の教室で、医局スタッフと出前弁当で会食し、おとなしくホテルに帰りました。