幹細胞移植で小腸組織再生=マウス実験で成功

幹細胞は抗原性が少ないのではないかということは、臨床経験から多少は予測はしていた。とはいえ、この場合には小腸上皮とともに移植しているか、あるいは多少の上皮への分化が進行した細胞も移植されている。そうすると、同種他家組織が生着したことになるのか、あるいは、幹細胞以外の細胞は死滅し、局所において初期の抗体性免疫が消費されているうちに、幹細胞に対して免疫寛容が成立するのか?どちらにしても、幹細胞からどの段階まで分化すれば、宿主の免疫システムによって排除されるのか?この研究成果は、大きな拡がりを持つ。今後の研究が待たれる。
そしてこれが、他の組織でも可能だとしたら、美容整形・美容外科分野への応用も可能になる。例えば豊胸などは、血液バンクなどのように脂肪バンクがあれば、痩せた人でも、そこから脂肪を購入すれば、脂肪注入が可能になるということだ。
以下、転載
幹細胞移植で小腸組織再生=マウス実験で成功-東京医科歯科大
東京医科歯科大の研究チームは、マウスから取り出して培養した小腸の幹細胞を、別のマウスの大腸に移植し、小腸組織を再生させることに世界で初めて成功したと発表した。論文は16日、米科学誌ジーンズ・アンド・デベロップメントに掲載された。
 同大の中村哲也教授らの研究チームは、マウスの小腸表面から、幹細胞を含む上皮細胞を取り出して培養。その細胞を、大腸の上皮組織を欠損しているマウスに移植し、経過を観察した。
 その結果、移植した小腸上皮細胞は、別のマウスの大腸の欠損した部分に定着。幹細胞が働いて、新たな上皮を再生させていた。
 再生組織を詳しく調べたところ、大腸にあるにもかかわらず、もとの小腸の特徴を維持していることも判明。中村教授は「小腸の性質を保つものは何か。遺伝子の発現パターンなどを調べることで、細胞の運命を変える技術への端緒になると思う」と話している。(2014/08/16-07:10)