金の糸美容術の副作用？

約1年くらい前であったか、形成外科学会の地方会で、SK病院のDrが、「金の糸を以前に受けた患者さんに、レーザーを照射したら、顔が真っ黒になった」といった発表をした。

その後、彼女は実験を行い、「金箔にレーザーを照射したら、金箔は黒く変色した」「レーザーを照射した真皮内に、黒い色素の粒が発見された」そうである。しかし、真皮の中の色素の粒は、金であるということは、確かめていないらしい。
本当のことであれば、大変なことである。しかし、私は、これらの結果を信用していない。実際、うちの患者さんで、金の糸を入れた人の中で、レーザーを照射した人もいるが、黒くはならなかったし、うちで使用している金の糸にレーザーを照射しても、変色しなかった。また、もし、これが本当なら、金歯が歯肉に接する形で、虫歯が補綴されている患者さんも、レーザーが禁忌となる。
何が違うのだろうと、考察してみたが、まず、実験に使用した金の純度の問題がなかっただろうか？一般に販売されている金箔は、純度が必ずしも９９．９９％ではないのである。そして、純度の低い金の糸や金箔なら、中に銀をかなりの分量、含んでいるので、レーザーで黒くなるであろう。実際、銀イオンの多い井戸水を飲み続けた人の皮膚が、変色した例がある。
したがって、金の糸美容術自体は、純度が高い金の糸を使用している限りは、術後にレーザーを照射しても、安全であると考えている。