強力脂肪溶解注射の長期経過(太もも+ヒップ)

強力脂肪溶解注射の長期経過です。太ももとヒップに10か所の強力脂肪溶解注射を行い、2年以上が経過しています。

脂肪溶解注射であれ、脂肪吸引やその他の脂肪除去法であれ、局所的な皮下脂肪の除去技術です。その効果については確実なものがありますが、持続性については、これまで、多くの方が疑問を持っていたと思います。しかし、これらの写真を見ていただければ分かる通り、当院の強力脂肪溶解注射については、最低でも2年の効果を確認できるでしょう。しかも、当院総院長自身も腹部にこの強力脂肪溶解注射をしており、その効果の永続性を実感しております。これらの事例から、当院では、強力脂肪溶解注射の効果は、永久なものと考えております。


では、強力脂肪溶解注射の、2年以上の効果については、未だ不明で、3年目から再び皮下脂肪が付きはじめるということかと言うと、そうではありません。

それは、当院総院長自身の腹部が証明していることであります。総院長は、この強力脂肪溶解注射を、約8年前(2005年)に、受けています。注射の方式としては、自身の腹部の左側のみに、強力脂肪溶解注射を行い、右側については、何もせずに放置しています(実際は、わき腹にはゼルテックを試してみた)。すると、左右の腹部の皮下脂肪の厚さは、約1.5㎝の左右差を残したままなのです。術前には、左右差はほとんどなかったことを考えると、この差は、強力脂肪溶解注射の効果が、約8年間、持続しているということができます。

他院で脂肪溶解注射を受けたのに、元に戻ってしまったと言って、当院を訪れる方が、結構な割合でいらっしゃいます。

その原因を考察してみると、大きく2つの可能性があるようです。
一つは、脂肪溶解注射の中でも、脂肪組織を破壊せず、一つ一つの脂肪細胞を小さくするだけの種類の注射であった可能性です。脂肪細胞は、体内の余分なエネルギー(カロリー)を蓄える働きがあります。したがって、食生活や運動の習慣を以て、体重を厳密に維持しないと、一旦、脂肪溶解注射で小さくなった脂肪が、再びエネルギー(カロリー)を蓄えて、再び大きくなるのです。そして、その後に節制して体重を元に戻したとしても、このタイプの脂肪溶解注射を受けた場合には、処置を受けたところの脂肪組織は、処置前の状態に戻ってしまいます。つまり、体重の変動があると、元に戻ってしまうということです。このことは、脂肪溶解注射に限らず、高周波を使用した痩身機器や、皮下脂肪を凍らせる方法などでも、同じことが言えます。

しかし実際には、皮下脂肪を凍らせる痩身機器については、事情がちょっと複雑です。

この機器の場合には、実際に脂肪細胞は死滅します。しかし、処置後1年もすると、元の状態に戻ってしまいます。これは、再生医療的考察で、説明が付きます。皮下脂肪を凍らせる機器は、水と中性脂肪の、凝固点(氷る温度)の違いを利用するものです。これは、脂肪細胞に豊富に含まれる中性脂肪を凍らせ、脂肪細胞を破壊すると言うもので、その時には水は凍っていないため、脂肪細胞以外の細胞は、破壊されないということです。つまり、凍傷を起こす寸前に、脂肪細胞だけが死んでしまい、皮膚や筋肉の細胞は、安全に残存させることができると言うものです。しかし、この、「脂肪細胞のみが死滅する」といった面が、術後の後戻りを発生させる原因にもなってしまいます。

脂肪を凍らせて脂肪組織を薄くする機器は、当院の強力脂肪溶解注射と違って、脂肪細胞以外の脂肪組織の構成成分を破壊しないため、元に戻ってしまうということなのです。

これは何度も強調してきたことなのですが、脂肪組織は脂肪細胞のみでできているのではなく、細胞だけでも、前脂肪細胞や幹細胞など、その中に中性脂肪を持っていない細胞も、多数存在するのです。また、細胞間マトリックスと言って、細胞の再生や、組織の成長の足場になる物質・構造物も含まれています。脂肪組織の中の、これらの構成要素は、細胞成分の最終産物である脂肪細胞が存在しないだけで、その他の構成成分は全て正常な状態で残っているということになります。脂肪細胞は、幹細胞が分裂と分化を繰り返し、前脂肪細胞を経て生成します。従って、脂肪細胞を凍らせて死滅させても、細胞間マトリックスを足場として、幹細胞やそれが途中まで分化してできた前脂肪細胞が、脂肪細胞を再生してしまうと考えられます。これが、この機器の最大の弱点である、術後の後戻りと言うものの原因であると考えられます。

脂肪溶解注射と違い、高周波を使用した機器の場合には、その温熱作用によって、脂肪細胞を含む、脂肪組織内の代謝を向上させることで、脂肪組織を減量します。

また、高周波には、脂肪組織内や皮膚の、水分を豊富に含むコラーゲン繊維を伝わって、その中のコラーゲンを増生させる働きがあります。また、高周波の通ったコラーゲン繊維は、その分子配列を変え、全体としては縮みます。この働きにより、皮膚のたるみの治療などに用いられることも多いのですが、脂肪組織に対しては、この「縮む」という作用が、脂肪組織を縮める作用として働きます。さらに、熱に対して弱い脂肪細胞も、一部は死滅します。しかしながら、細胞間マトリックスとしてのコラーゲンの繊維を強化するということは、理論的には、やはり脂肪細胞の増生を助けるということになります。従って、脂肪溶解と称して、脂肪細胞を少しとはいえ死滅させたにもかかわらず、1年足らずで元に戻ってしまうことになります。

当院の強力脂肪溶解注射は、脂肪吸引やプラズマリポなど、手術形式の処置を除けば、その効果の大きさといい、持続期間と言い、他のどの処置をも凌駕していると言えます。

その理由としては、やはりその効果の大きさでしょう。当院の強力脂肪溶解注射は、他院で行われている脂肪溶解注射で、3回から5回かけて達成できる状態を、1回の処置で達成できます。この効果は、脂肪組織を凍らせる機器や、高周波機器でも、複数回の処置を必要とするものです。また、その効果の持続性についても、前述のように8年の持続を確認していますので、1年位で元に戻ってしまうようなものではありません。現在、痩身機器として、皮下脂肪の減量に効果があるとして、様々な新しい器械が登場しています。しかし、いかにコンピューターを内蔵して、新しいエネルギー・ソースを使用していたとしても、短期的かつ少ない効果であれば、その存在意義も全くないと言っていいでしょう。当院の強力脂肪溶解注射は、それらの機器からすると、古い方法です。しかし、新しいものが常に良いとは限らないことを、証明しているモノであるということができます。

新しい機器や注射の開発は、これまで、どうしても脂肪細胞にのみターゲットを絞った物になりがちでした。

しかし、脂肪組織と言うものは、脂肪細胞のみでできているのではありません。脂肪細胞は、肉眼では確認できないほど小さなものです。それらが5~6個集まって、コラーゲンを主成分とする膜に包まれ、塊となります。その塊が、再び5~6個集まりり、同じようにコラーゲンを主成分とする膜に包まれています。これを繰り返して、やっと目に見える、いわゆる「脂肪の粒」といった状態で、肉眼で確認できます。そして、これらの膜の中に、前脂肪細胞や幹細胞などが含まれていて、ダメージを受けた脂肪細胞や、細胞間マトリックスとしての膜の再生を行っています。つまり、効率よく脂肪組織を減少させ、その効果を長持ちさせる脂肪溶解法を実現するには、これらの脂肪細胞を包んでいる膜に対して、脂肪細胞と同様に、何らかの働きかけを行う必要があるということです。その方法は、現時点で知る限り、当院の強力脂肪溶解注射以外には存在しないということができます。