腕を細くするために、腋、腕、肩などに、強力脂肪溶解注射を施行したモニターさんです。
腕の太さは、年齢とともに増加する傾向があります。年齢とともに体重が減少している場合でも、腕が太くなってきたと表現する方が多い傾向にあります。それは、「腕が太い」と言った時に、その原因が、たるみにあることが、大きな要素と言うことができます。つまり、診察してみると、手を腰に当てたときには、横から見ると腕が細く、腕をわきに下すと、腕が太くなるという現象が、見られる方が大半なのです。これは、腕の周径は変化していないか、あるいは皮下脂肪そのものは、若い時よりも減少している可能性があるにもかかわらず、腕の皮膚のたるみが、腕を太く見せてしまっているのです。
たるみによって、腕が太くなる現象は、腕を両脇に下したときに、その発生が顕著に表れます。
それは、腕にたるみが出ているのと同様に、腋にもたるみが出ているためです。たるみと言うものは、皮膚の伸びだけが成因ではありません。皮下組織である皮下脂肪の脆弱性が、皮膚をたるませるという側面があるだけでなく、皮下脂肪の脆弱性そのものが、皮下脂肪を重力によって下の方に移動させるといった要素もあります。さらに顔面などは、その下にある筋肉の脆弱性の発生も加わり、筋肉・皮下脂肪・皮膚の、骨を除く全てが、重力に従って下の方に移動します。同様のことが、腕や腋にも発生しています。つまり、若い時には、きっちりと腋の中にあった皮下脂肪が、抑えになっていた皮膚が伸びて、それが下がっていく余裕が発生し、しかも下垂するような脆弱性も発生し、土台になる筋肉も緩む。そうして、腋の皮下脂肪が、腕を押し出す場所に移動してくる。すると、腕を両脇に下したときに、やはり弛んだ腕の皮膚と皮下脂肪が、腋の脂肪層に押し出されてしまい、腕が太くなってしまうという原理です。
では、どのようにすれば、この腕の太さを治療できるかということになります。
脂肪溶解注射や脂肪吸引などで中身の脂肪を除去し、体積を減少させるというのも必要です。しかしながら、腕の皮下脂肪組織を減少させるだけでは、十分な効果を得ることはできず、逆に、余った皮膚が、腕を両脇に下した状態では、腋の脂肪に押し広げられて、より太い腕を作ってしまうことがあります。したがって、腕を細くしたい時には、皮下脂肪の除去のみを考えるのではなく、皮膚の余りの事に関しても、治療が必要であるということができます。また、腋の部分の脂肪を除去するということも、腕を細くするためには重要な治療と言うことでもあります。
皮下脂肪を除去することと、皮膚のたるみを除去するという、両面作戦での治療方針が、腕を細くするには欠かせないものであるということができます。
皮下脂肪を除去し、かつ、皮膚のたるみを取り除くという治療のうちで、最も効果があるのは、アーム・リフトという方法です。アーム・リフトは、肘の内側から脇の下までの皮膚と、その下にある皮下脂肪を一塊にして切り取り、そして縫い合わせてしまう手術です。顔のたるみ取りにある、フェイスリフトの腕版だと考えていただければいいでしょう。これは手術ですから、当然のことながら、切開線は傷として残ってしまいます。しかし、その効果の大きさから、アメリカではここ10年の間に、約70倍の手術件数の増加が、統計上、確認されています。気になる傷痕ですが、腕の内側全てから脇の下まで、非常に長い物であります。しかしながら、アメリカの白人の場合には、傷がきれいに治る傾向がありますので、気にする人はあまりいません。しかし、日本人を含む有色人種の場合には、そうはいきませんので、当院では、傷をほぼ腋に中だけに限定した、オリエンタル・アーム・リフトを、強力脂肪溶解注射同様に、独自開発しました。アーム・リフトのいいところは、その効果の大きさだけでなく、腋毛の生える部分の皮膚を、一緒にほぼ全て切り取ることができるということです。そうすれば、腋の脱毛や、腋臭・多汗症の手術が全く必要なくなります。手術の効果は本当に絶大なものがありますので、日本でも、アーム・リフトも、腕を細くする方法の一つとして定着してくれることを、願って止みません。
しかしながら、やはり切開手術となると、回復期における日常生活の制限は避けて通れません。
そこで、次の手段として、プラズマリポによる脂肪溶解を準備しています。プラズマリポは、レーザーのような光線で、脂肪組織を熱融解させるものです。しかし、そのレーザーとの違いである、拡散光という性質から、脂肪組織を融解させる作用とともに、皮膚に対しても効率よく光線が照射され、皮膚の引き締め効果を発揮します。効果としては、アーム・リフトには敵いませんが、軽度のたるみや、比較的若い患者さんの場合には、良い効果が発揮できます。このプラズマリポを組み合わせることによって、アーム・リフトの切開線を短くし、腋の下だけに限定させ、効果を、従来の切開線の長いアーム・リフトと同等にまで引き上げたのが、当院のオリエンタル・アーム・リフトです。もちろん、プラズマリポのみの処置でも、前述のような患者さんの場合には、大きな効果が望めるのですが、より大きな効果を出したい場合には、腋の皮下脂肪に対しても、この処置を行うことを、お勧めしております。それはやはり、腋の皮下脂肪が、腕の皮下脂肪と皮膚を押し出し、腕を太く見せてしまうという原理が存在するためです。
術後のダウンタイムのことを考えるなら、やはり脂肪溶解注射と言う選択になるかと思います。
プラズマリポと言えど、やはり手術であることには変わりありません。術後は一晩の間の圧迫固定と、入浴の制限が存在します。アーム・リフトの場合には、切開線が長いため、それ以上の制限があります。そこで、皮下脂肪を減量させる方法として注目されるのが、脂肪溶解注射と言うことになります。しかし、脂肪溶解注射は通常の場合、読んで字のごとく、たるみに対してはその効果が微弱、または皆無と言っていいものです。つまり、脂肪溶解注射は、その主目的である皮下脂肪の減量にだけ働き、皮膚に対しては働きがないということです。
当院の強力脂肪溶解注射は、その成分と、注射する深さを工夫することで、軽度ではありながら、皮膚のたるみにも有効なものになっています。
そのため、皮膚のたるみが関与している、腕を細くする処置においては、その効果を大きく発揮させることが可能です。しかし、皮膚を縮める効力自体は、プラズマリポなどには敵わないため、より広い範囲での処置が必要であると言えます。なぜならば、狭い範囲で皮膚を縮めるより、より広い範囲で皮膚を縮めたほうが、伸びてしまった皮膚が縮まる面積としては、より大きなものとなるためです。したがって、この、強力脂肪溶解注射での、腕を細くするための処置を受ける際には、腕の部分だけでなく、肩や腋の部分までの処置を、お勧めしています。幸いにもと言っていいかどうか分かりませんが、これらの部位については、年齢とともに希望者が増加してくる部分でもあり、加齢とともに、いわゆる「肉が付きやすい」部分と言うこともできますので、予防的に皮下脂肪を減少させ、皮膚を縮めておくことは、今後を考えると、非常に有用な処置であると考えられます。