脂肪溶解注射とは、脂肪組織を小さくする注射です。

脂肪溶解注射には、従来の脂肪吸引のような、スポンジや、ヘビーな下着による圧迫は不要です。処置時間は1回たったの5分程度で、しかも仕事の休みも不要です。
処置当日から入浴もできます。脂肪溶解注射は、文字通り注射のみで、手術をしないため、皮膚には1ミリの傷も残りません。脂肪組織そのものが溶けるので、効果や持続性は、従来の脂肪吸引と同様です。この脂肪溶解注射、現在、世界中で大流行しています。常に患者様の肉体的負担を考え、世界中の最新技術を取り入れる、南クリニックが、2003年7月に、日本で初めて診療に取り入れた技術です。
 
手順:まず、医師の診察を受け、説明を受けます。記録用の写真を撮影したあと、脂肪を取りたい部分に、ペンで印をつけ、脂肪溶解注射を開始します。処置後は、印を落としたら、すぐに帰宅できます。(処置後の生活制限は一切ありません。)

強力脂肪溶解注射とは?

従来の脂肪溶解注射は、効果を実感できるためには最低3回の処置が必要でした。
しかし、この脂肪溶解注射は強力な脂肪組織破壊作用があるため、従来の脂肪溶解注射3回分の効果が1回の注射で獲得できます。

この強力脂肪溶解注射は、脂肪溶解に働く主成分としてのフォスファチディルコリンをはじめとして、薬剤が効率よく脂肪細胞に作用し、そして全体として脂肪組織に対して減量効果を大きく出せるように、各種薬剤を当院で特別に調合したものです。注射の方式も、一つのエリアに何回も針を刺す注射を必要とすることもなく、一回の針刺しで、一つのエリアを賄うことができるようになっています。

強力脂肪溶解注射と、普通の脂肪溶解注射との違い

強力脂肪溶解注射とは、その名の通り、脂肪溶解注射の強力版です。他院で行われている普通の脂肪溶解注射の、3から5回分の効果が、1回の処置で可能です。
この強力脂肪溶解注射は、脂肪溶解作用のあるフォスファチディルコリンを主成分として、それを水溶化させるためのデオキシコール酸や、脂肪細胞にそれらの成分が良く届くようにするための、体内酵素の一種を混合して注射液を作成し、その注射液を一塊にして、対象の箇所に注射します。
これまでの、他院で行われてきた普通の脂肪溶解注射は、フォスファチディルコリンを主成分としているのは確かなのですが、その他の成分は、L-カルニチンやビタミンB群、カテコール・アミンなど、脂肪細胞内の中性脂肪の代謝を助けるものを混合しています。これらの効果については、中性脂肪の代謝を助けるため、脂肪細胞の中身が減少し、フォスファチディルコリンで破壊された脂肪以外の脂肪細胞の体積は減少し、脂肪溶解注射の効果を助けることにはなります。しかし、注射によって、フォスファチディルコリンとそれらの成分は、十分に脂肪細胞に行き渡らないという欠点があります。この欠点によって、その効果が小さいということが言えるのです。そしてその欠点を補うために、注射の手技上、一か所に対してたくさんの回数の針の刺入を行い、少量づつ、いろいろな個所に薬剤をばら撒くということを行っています。しかしそれでも、薬液が十分に脂肪細胞に行き渡らないという欠点は補うことができず、脂肪溶解注射としての効果は、非常に限定的なのが現実です。また、中性脂肪の代謝を助ける成分によって、見かけとしては強く出たように思われる効果についても、脂肪細胞そのものの死滅を伴っていないため、次第に、脂肪細胞の大きさが元に戻ってくるにつれ、元に戻ってしまいます。つまり、他院で行われてきた普通の脂肪溶解注射は、脂肪細胞に対して十分に薬剤が行き渡らないため、脂肪細胞を破壊する効果が小さく、それを補うために、多数回少量づつの注射を行うことと、中性脂肪を燃焼させる薬剤の混合で、一時的なスリミング効果を演出しているにすぎないのです。しかもそれらが、効果を十分に発揮していないため、同じ個所への注射を、2週間から1か月おきに複数回、繰り返す必要があるということなのです。
ところが、当院の強力脂肪溶解注射は、主成分であるフォスファチヂルコリンが、脂肪細胞によく届くように設計された注射液を使用します。従って、L-カルニチンやビタミンB群、カテコール・アミンなど、脂肪細胞内の中性脂肪の代謝を助ける混合は、全く必要ないため、これらを使用していません。また、注射の手技にて、一か所に対してたくさんの回数の針の刺入を行い、少量づつ、いろいろな個所に薬剤をばら撒くということも、必要がないため、行いません。つまり、当院の強力脂肪溶解注射の効果は、正味、脂肪組織と脂肪細胞が破壊されたことによるものであり、その効果はこれまでの脂肪溶解注射よりも強力で、元に戻るようなものではないということです。さらに、何回も針を刺して注射を行う必要もなく、一回の針刺しのみで、薬液の注射が可能であるということなのです。

強力脂肪溶解注射 Ver.7 (2013.3より)

患者さまの皆さんに非常に好評の、通常の脂肪溶解注射3回分の効果が1回で獲得できる、南クリニックの強力脂肪溶解注射は、総院長が発明以来、毎年改良を行い、バージョンアップを重ねてこのたびVer7が登場しました。これまでのバージョン6との違いは、薬剤の配合が違うのはもちろんのこと、注射の方法や術後の経過など、多くの改良点を盛り込みました。
まず、薬剤の配合ですが、これはこれまでの強力脂肪溶解注射と、主成分そのものは変わりありません。しかし、強力脂肪溶解注射の「強力」たる由縁である、脂肪組織内での薬剤の染み込みを促進する薬剤の配合比と種類を変化させ、これまで以上の効果を獲得できるようにしたものです。それによって多くの脂肪組織に、脂肪溶解作用のある薬剤が到達し、効果の促進が図られました。
次に注射の方法です。当院でのこれまでの強力脂肪溶解注射は、脂肪溶解作用のある薬剤を、目的の範囲にまんべんなく拡散させるために、目的の部分にたくさんの回数に分散させて注射を行ってきました。今度の強力脂肪溶解注射Ver7は、脂肪溶解作用のある薬剤の浸透がいいため、注射の回数は1か所の範囲(10cmX10cm)につき、注射は1回です。
強力脂肪溶解注射Ver.7の術後の経過ですが、まず第一に、これまでの強力脂肪溶解注射と比較すると、内出血が非常に少ないことが挙げられます。これは、同じ面積に対しての脂肪溶解注射注射の回数が、これまでは1か所の範囲(10cmX10cm)につき、平均28回だったのが1回になったことで、毛細血管からの出血が大幅に減少したためです。 
第2に、脂肪溶解効果が出現するのが早くなりました。理由は様々な要素が考えられるのですが、一番の理由は、脂肪溶解効果がさらに大きくなったため、途中経過の状態でも皮下脂肪の厚みが減少したのがわかるようになったためでしょう。また、注射の方法が、前述の通り、内出血の少ない方法となったため、腫れなどが少ないことも一つの理由でしょう。
以上をまとめると、強力脂肪溶解注射Ver.7は、
1)これまでの強力脂肪溶解注射以上の効果
2)内出血などの術後経過が穏やか
3)効果の出現が早い
と、言うことができます。

脂肪溶解注射の詳しい解説

脂肪溶解注射とは、文字通り、注射によって脂肪を溶解して除去します。方法は、目的とする部分の脂肪層に、直接注射によって脂肪を減少させる薬液を注入します。

これまでの脂肪溶解注射では、ある程度の広さに、充分に薬液を拡散させるために、少量ずつたくさんの回数に分割して注射します。使用する針は、30~32ゲージといった非常に細いものを使いますから、注射時の痛みは軽度です。ちなみに当院の方法は、1回の注射液の量は12~48cc。それを24~96ポイントに分割し、約1、2cm間隔で注射していました。勿論、処置部位によって違いがあります。

ところで、「メソセラピーと脂肪溶解注射はどう違うの?」といった、質問をよく受けることがあります。これらを、全く別物と主張している医師がいますが、厳密にはメソセラピーから脂肪溶解注射が派生したのが真実です。つまり、脂肪溶解注射は、メソセラピーという、大きな治療方法のカテゴリーの中の一つであるということ。例えて言うなら、プチ整形の中の、ヒアルロン酸注射と言ったところです。

脂肪溶解注射の歴史

メソセラピーは、1952年、フランスのDr.Pistorによりはじめられました。その方法は、症状がある箇所に対して、直接治療薬を注射することにより改善を図るというものです。現在の適応は、慢性疼痛、しわ、たるみ、しみ、傷の治療、脱毛症、皮下脂肪など。 それぞれの症状や部位によって薬剤の調合を変え、一定の効果を獲得できるまでに改良されてきました。そのメソセラピーの改良過程で、南米において、フォスファチジル・コリンが、局所の脂肪除去に有効であることが発見されました。文献の上では、スペインの美容外科学会誌の2003年8月号に、スペイン語で、Dr.ルチアーナ オリヴェーラが発表したのが最初のようです。そして、国際美容形成外科学会の公式雑誌2003年11月号に掲載された、Dr.パトリシア リッテス(Patricia Guedes Rittes,M.D)氏の論文が、このメソセラピーの中の1つの方法を、「脂肪溶解注射」として全世界に広めたと言えます。

現在の脂肪溶解注射に使用する脂肪溶解作用のある薬液の主成分は、上述のとおり、フォスファチジル・コリンです。これは、大豆に多く含まれる、レシチンという栄養素の一部でもあります。クリニックによって、これをそのまま使用するところや、甲状腺ホルモン・ビタミン・アミノ酸・交感神経刺激薬などを混合してカクテルを作って使用するところなど、様々です。どうしてクリニックによって違いがあるのかというと、この方法が論文として発表されてからまだ日が浅く、たくさんの医師たちが、現在より効果的な方法を模索して改良を重ねているためです。そして、そうしているうちに、2017年に、アメリカのFDAが、脂肪溶解注射の薬液を承認しました。薬剤名はカイベラというもので、これはフォスファチジル・コリンではなくデオキシコール酸というのもです。これは、フォスファチジル・コリンが水に溶けないため、水溶液化するために、添加剤として使用されていた成分です。このデオキシコール酸には、細胞を破壊する性質があり、脂肪溶解注射としてフォスファチジル・コリンとともに注射されると、脂肪細胞を破壊して、効果を出すというものです。つまり、脂肪細胞が破壊されていたのは、フォスファチジル・コリンの作用ではなく、この、デオキシコール酸の作用だったということです。しかし、デオキシコール酸で破壊された脂肪細胞からは、中性脂肪が流出します。この中性脂肪の代謝を、フォスファチジル・コリンは助けます。したがって、フォスファチジル・コリンも、全くの無駄というわけではありません。そこで、このフォスファチジル・コリンとデオキシコール酸の合剤は、今でも多くのクリニックで使用されています。

現段階では、1回に除去できる脂肪の量では脂肪吸引にかなわない脂肪溶解注射ですが、近いうちに脂肪吸引の完全な代用となるかもしれません。脂肪溶解注射のメリットは、なんと言っても処置当日から生活制限がないことです。同じ脂肪を取る方法である脂肪吸引は、術後、入浴をはじめ、一定の生活制限があります。それに対して脂肪溶解注射の場合、当日の入浴も可能で、ガーゼや圧迫用のコルセット、ガードル等の着用も不要です。デメリットは、1回に処置できる範囲が限られていることと、除去できる脂肪の量が脂肪吸引に比べると少ないため、広い範囲で大量の脂肪を除去するのには不向きであることです。しかし、脂肪溶解注射でも、ゆっくりと回数を掛けて根気強く処置を受け続ければ、かなりの量の脂肪が除去できます。当院での実際の診療現場でも、「よし!脂肪を取るぞ!」と気合を入れて一気にやりたい人は、脂肪吸引。「すこしづつでいいから、楽をしたい」と言う人は脂肪溶解注射、といった具合です。