各種の新しい素材や、再生医療から派生した技術を取り入れ、研究して、先進性のある美容医療を提供します。

形成外科をはじめとした外科的な手術のみならず、注射・内服といった、内科的な要素も取り入れて、総合的に美容医療の技術をプロデュースします。

従来の方法よりも、効果が長持ちしたり、腫れなどのダウンタイムが少なかったり、痛みが少なかったりといった、患者さんにとって、何らかの価値のある方法を、常に模索します。

近年は、美容外科・美容整形ではなく、美容医療

美容医療とは、今や、従来の美容外科や美容皮膚科だけでなく、従来の各診療科の、横断的な知識やマインドを必要とする、総合的な医療分野ということができます。

美容医療は、長年、美容外科が担ってきました。美容外科とは、美意識を重点に、人体の外見の改善を目指す外科の一分野です。機能と外見の正常化を目指す形成外科よりも、美的観点を、より重視しているという違いがあります。しかしその方法としては、形成外科の技術を応用することが多く、形成外科医としては、美容外科を形成外科の一部とすることもあります。実際に、目の形や、鼻の高さや形、シワとり、タルミとりなど、造形的な要求を満たすために、手術と言う方法を使用する限り、それが本道とも言えます。

形成外科が今のように発展する前は、各診療科の医師たちが、それぞれの分野で美容外科手術を行っていました。例えば、二重瞼は眼科、隆鼻術は耳鼻科といった具合です。そしてそれらが美容整形として、一般に認知されていました。そしてその後、それらの医師たちの中から、美容外科を専業とする集団が現れ、美容外科医となっていきました。一方、形成外科の成り立ちを見れば、戦傷外科の中の、欧州での顔面外傷の治療から始まり、米国ではベトナム戦争で火傷を負った兵士や軍属を治療する、一般外科の一分野として、発展しました。脳外科や心臓外科などのような、外科の中の専門分野となったのです。日本では、一般外科・眼科・耳鼻科・整形外科・口腔外科などの診療科が集まって、形成外科ができたという経緯があります。このように、美容外科も形成外科も、臓器別ではなく、その手術法などの技術・マインドを軸として成立した診療科と言えます。しかし、1970年代に形成外科が標榜認可となり、1980年代に美容外科が標榜認可となると、日本美容外科学会は、形成外科系とその他に分裂し、同名の学会が2つ存在する事態になり、今日に至っています。

しかし、2000年代に入ってからレーザー機器が進歩し、フィラーやボトックスが使われるようになると、皮膚科からの美容医療への参入が増えました。美容皮膚科という診療科の標榜も、可能になっています。それと同時に、美容点滴やサプリメントなども進歩して、内科的なメニューも増加しました。また、2010年代には、再生医療が外見上の老化に対して有効なことから、一部の造形的な治療が、外科的な手術のみに頼ることなく行えるようになり、さらにボトックスやフィラーなどが、厚生労働省の認可を受けると、ほぼ全ての診療科が、美容医療に関係・参入してくるようになりました。このように、今世紀に入ってからは、美容外科で扱う治療も、外科的な治療の比率は減少し、形成外科をはじめとする外科系の診療科の、特異的な守備範囲が減少してきています。

もちろん、美容医療は外見の医療ですから、造形的な要素はその中心です。したがって、形成外科は再生医療や他科の要素も取り入れながら、今後も、美容医療の中心的存在ではあり続けるでしょう。しかし、手術を前提とした外科的なマインドだけでは、美容医療の中心部だけ、つまり一部しかカバーできないということです。つまり、今や、美容医療は、特定の診療科が専門的に行うものではなく、再生医療のように、専門横断型の医療として、今後も発展していくものだと思われます。そしてその前段階として、形成外科が、手術に留まらずに、他科の要素を吸収して美容医療に応用するように、他科も、それぞれの守備臓器から、美容医療のほうに技術を応用するようになっていっているのが、美容医療の現状です。