怒涛の中国編　第2回ｱｼﾞｱ美容外科学会　2009.11.07　その４

中国は鄭州到着後3日目。昨日と同様に7時のはずのモーニングコールが6時半に鳴って、起床する。今日は朝一番の9時からの発表だと張り切るものの、寒波のせいで、部屋が冷え切っていてベッドからなかなか出られない。暖房が入っていれば、何のことはないのだが、やはり暖房は入らない。這うようにしてベッドから出て、とにかく風呂で身体を暖めることにした。やはりお湯は黄色い。

8時ちょうどにロビーに向かう。前日以上の寒波なのに、ロビーも暖房なし。フロントの従業員は、分厚いコートを着用して仕事をしている。「お前らも寒いんだろ！暖房入れろよ！」と思いつつ、ロビー内を一瞥すると、知り合いのフィリピン人のドクターが寒さにうちふるえていた。お互いに挨拶を交わして、彼の横に腰掛ける。バスを待つ間、2人はいつしか男同士なのに、恋人同志のように身体を寄せ合って寒さを凌いでいた。
前日と同じように、10分以上遅れて、路駐していたバスに乗り込む。バスに乗り込むと、早速出発。一路、学会場に。しかし、韓国人のドクターたちはタフである。寒さもスモッグもなんのその。学会のプログラムの勝手な変更にも特に怒らず驚かず。バスの中でも楽しそうにお互いに喋っている。それに引き換え、ヨーロッパ人・アメリカ人は、「Oh～　Shit！」という言葉の頻度が高い。
学会場に着き、発表するC会場に入ると、私のセッションの座長であるスイス人ドクターがいた。彼のセッションの座長は私である。エンドプラストの開発者であるDr. Alain Tenenbaumなのだが、彼もかなり参っているかと思いきや、さすがに寒いスイスに住んでいるだけのことはある。「寒い」とは一言も発しない。ただし、「おねえ」である彼は神経質である。食事は全く口に合わなかったようだ。
午前中の我々のセッションが終了して、昼食会場に向かう。時間通りの終了だったので、弁当はまだ温かさがあった。前日は弁当が冷めきった時間からの昼食だったので、少しうれしかった。中国の米は日本米や韓国米と同じく、短粒種で炊飯方法も同じで、ふっくらと炊き上げるようである。だが、不味い。水が悪いせいなのか、はたまた米自体がいけないのか、調理方法がいけないのか、わからない。チャーハンにしないと、この味はごまかしようがないと思われる。白米で出したのが敗因ではないだろうか？
その日の午後はライブサージェリー。手術の見学である。内容的には古典的であるため、お土産でも買いに出ようとホテルに戻った。フロントでデパートの場所を訊いて、徒歩で出かける。街中の人の流れは、比較的早く、歩く速度も都内とあまり変わりない。さらに、二人連れで横に並んでしゃべりながら歩いて、通行の邪魔になっている人は稀である。これだけは、素晴らしいと感じた。デパートに着くと、地下の食品売り場に直行した。フロアーの半分がスーパーで、残りの半分は漢方薬局と健康器具の売り場になっていた。超高級な天然物高麗ニンジン1本２万元、高級冬虫夏草１００ｇ３万元など、日本ではなかなかお目にかかれない代物もあった。また、経管栄養食品も売っていた。とりあえず、スーパーのお菓子売り場に向かう。お土産用として、中国製ビーフジャーキー、牛肉豆、ミルキーの中国版、豚肉フレークのマンゴー風味巻きなどを調達する。
ホテルに帰ってお昼寝しようとするも、寒くて寝られない。そうこうしているうちに、学会会場の国際会議場行きのバスが出る、６時近くになってしまった。準備をしてロビーに降りると、またいつもと同じ光景。バスは６時１５分に出発する。その日の夕食は、宴会である。ラウンドテーブルを８名で囲む中華料理である。品数約２０。だが、笑えるのは、そのうちの６つは、前日の夕食と同品目であった。肉類は少ない。スッポンが出てきた。でも、「どうしてスッポンをこんな味で料理するんだぁ？」という状態。ぶつ切りを醤油と八角で煮てある。スープはほとんどない。これがこの地方の味付けなのかと思いつつ、箸を進める。体育館のような会場。出席者約４００人の大宴会の光景は、たしかに圧巻ではあった。マオタイ酒は旨かった。グラッパに似た感じの、フルーティーな香りと飲み口は、デザートとの相性は抜群であった。隣の席で一緒だった百人町αクリニックの与座先生と、いろんな話をしながらマオタイ酒をチビチビやりつつ、宴会は約２時間で終了した。
そして再びバスでホテルに。マオタイ酒で暖まった身体が冷えないうちにベッドに入る。翌日はライブサージェリーの座長が控えていた。