シリアの学会へ 8 シリア・ダマスカス 学会講演に続いて手術のライヴ・デモンストレーション

学会の招待講演は、非常に良い反響のうちに終了し、さらに翌日の手術のデモンストレーションも、無事に良い結果を伴って終了した。


顔面のデモンストレーションの被験者は、何と地元の有力な女医さん。まあ、普段から芸能関係や政治的有力者・財界人などのVIPに対する手術には慣れているので、緊張した感覚は全くなかった。しかし、新しい手技を自ら体験してみようという向学心には、非常に感服した。後日聞いた話だが、手術デモンストレーションで私から顔面の手術を受けた翌日は、内出血もなく、むくみ程度の軽度の腫れが出た程度だったということだ。そして、彼女はその日から外来をこなしていたと言うことだから、大成功である。手術デモンストレーションは、地元の病院の手術室を借りて行われた。この病院は、日本で言うと「赤十字病院」。いわゆる日赤病院である。しかし、ここ、シリアではRed Crossとは言わない。なぜなら、シリアの政府はイスラム政府。Crossと言う言葉は、「キリスト教=十字軍」ということで、公の名称には使用できない。したがって、赤十字ではなく、ここでは「赤新月」と言うらしい。
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手術デモンストレーションは予定通り午前中に終了。その後、キリスト教徒である現地のプラズマリポのディストリビューターの社長に、ダマスカスの市内観光に案内してもらった。シリアはイスラム政府の国だが、人口の約10%はキリスト教徒である。キリスト教と言っても、カトリックやプロテスタントではなく、キリスト教発祥の地であるエルサレムが近いため、原始的で元々の教義に忠実なキリスト教であろう。