成長再生豊胸

年齢とともに、バストの張りがなくなったことと、元々小さなバストが、少しでも大きくなれば、ということで、処置を受けたモニターさんです。写真は術後1カ月の状態ですが、正面からのこれらの写真では、少し分かりにくいかも知れませんが、バストには張りが出てきています。

成長再生豊胸の場合には、何かを挿入したり、注入したりする豊胸術とは異なり、自分の乳腺と脂肪を成長させる方法ですので、何cc入れたから、その分だけ大きくなるというものではありません。したがって、大きさが出るのは個人差があり、およそ、50ccから100ccといったところになります。また、バストの成長は、約1カ月以上かけて徐々に発生しますので、自分では気が付きにくいこともあります。

前回の記事でもお知らせしたとおり、成長再生豊胸は、何か人工物を注入したり、手術で何かを挿入する方法ではありません。患者さん自身の皮下脂肪と乳腺を、成長因子によって、自然に大きくする方法です。したがって、CTスキャンやMRI、マンモグラフィーなど、どんな検査を行っても、豊胸術の痕跡すら残らない方法です。それは、人工物で大きくする方法ではないため、人工物そのものがまったく存在しないからです。
それに対して、バッグを挿入する手術の場合には、CT、MRI、マンモグラフィーなどで、バッグが検出されます。脂肪注入の場合には、そういったことはないのですが、シコリなどや、脂肪の塊ができてしまった場合には、そういったものが、検出されてしまいます。サブQなどのヒアルロン酸の注入の場合には、やはり注入したヒアルロン酸が、影として検出されるでしょう。また、ヒアルロン酸を多く含んだ脂肪組織は、通常の脂肪組織とは違った影として、検出されます。特に、組織内の水分量をよく反映するMRIでは、ヒアルロン酸が多く含まれた脂肪組織は、水分も多く含んだ組織として認識されるので、周囲の脂肪組織とは違った形で描出されます。 

脂肪増殖注射をバストにすると、この、成長再生豊胸と同じ効果があるのでしょうか?答えは、NOです。成長再生豊胸も、脂肪増殖注射も、成長因子を使用して、患者さん自身の組織を増殖させることには変わりありません。しかし、脂肪増殖注射は、脂肪組織の増殖に特化させた形での注射です。しかも、顔面の脂肪増殖用に開発されたもので、ワンセット1回の注射で、約5から10ccの脂肪の増殖を目標にしています。つまり、脂肪増殖注射は、顔面の老化や輪郭形成を対象にしており、増殖しすぎないようにも、設計されています。したがって、これをバストに注射しても、バストの大きさとしては全く変化がない状態にしかなりません。
それに対して成長再生豊胸は、皮下脂肪と乳腺を増殖させるように、設計されています。また、顔面と違って、脂肪や乳腺の増殖に関しては、増殖しすぎると言う心配がないため、増殖しすぎないようにとのことは、行っていません。乳腺とその周囲にある皮下脂肪層の両方が増殖するため、脂肪増殖注射よりも多くのボリュームを期待できます。逆に、成長再生豊胸を顔面に注射すると、全く効果が出ないか、脂肪が増殖しすぎて、注射した部分がボッコリと膨らんでしまうことにもなりかねません。

この成長再生豊胸は、前述の通り、皮下脂肪と乳腺の両方を増殖させる働きのある注射です。そして、これらの働きは、成長因子が担っている役割です。この成長因子ですが、全てを成長因子の薬剤で賄おうとした場合、非常に大量の薬剤が必要で、それに伴って、莫大な材料費がかかります。そこで、それらの一部を、患者さん本人の血液から取り出して使用します。そうすることで、薬剤にかかわる費用が節約でき、費用的には比較的受容可能な線にまで、抑えることができます。そのため、術前には採血が必要となります。採血の量としては、1回の処置に付き、300ml必要です。この採血の負担から、人体がほぼ完全に回復するのに、4週間が必要です。したがって、2回目の処置を希望される場合には、1回目の処置から約1ヶ月の間隔が必要となるのです。

前述のように、成長再生豊胸は、乳腺と脂肪を増殖させて、バストアップを図る注射です。したがって、どんな検査をしても、豊胸の痕跡すら残さないと言う、将来にわたっても非常に安心できる豊胸術です。しかしながら、欠点もあります。それは、効果に個人差があると言うことです。
たとえば、バッグを挿入する手術の場合、100ccのバッグを挿入すれば、必ず100cc分の体積で、乳房の体積が増えます。しかし、成長再生豊胸の場合には、成長因子の働きで、自分の乳腺と皮下脂肪を増やす方法ですので、100ccの乳房の増量を図って処置を行ったからと言って、必ず100ccのバストアップが可能であるとは言えないのです。その個人差の原因としては、やはりまだ不明な部分が多く、何とも言えない状況です。
このような状況の成長再生豊胸ですが、この、効果の個人差をできるだけ解消すべく、当院では今でも改良に取り組んでいます。既に、一部の改良は成功し、その成果を診療にフィードバックしています。