アームリフトについて~Aesthetic surgery journalより

例によって、Aesthetic surgery journalが送られてきました。アメリカの、形成外科系美容外科の医学雑誌で、比較的Conservativeな記事が多いのですが、その中で、比較的私の興味を引いたのは、この、アームリフトについての論文です。


アームリフトとは、ここではBrachioplasty(上腕形成術)として掲載されているのですが、いわゆる二の腕の若返りの方法です。加齢とともに、二の腕も、顔面と同じように歳をとります。顔面の場合には、フェイスリフトで若返りを図るわけですが、二の腕の場合には、この、Brachioplasty(上腕形成術)をおこないます。どちらも、たるみとりの手術であることには変わりありませんから、私は、フェイスリフトに対して、アームリフトと呼んでいます。
日本では、アームリフトは今まではあまり話題になることもありませんでした。日本人の場合、よほど肥満した人や、そのあとで激やせした人以外は、あまりこの手術の対象にならないからです。それは、東洋人特有の皮下脂肪の付き方が影響しています。東洋人の場合、上半身に肉がつきにくく、下半身を中心に肥満していく傾向があるのです。したがって、年齢を重ねても、二の腕の皮膚の余りは、欧米人ほどではなく、この手術の対象にはならなかったのです。
しかし、昭和50年代以降、食生活の欧米化とともに、日本人の腕も太くなるようになりました。そして、その頃に欧米化した食生活を送った人々の間で、やはり欧米人と同様の問題が発生してきています。つまり、若いころに二の腕に皮下脂肪を貯め込んだために、加齢とともにその皮下脂肪が少なくなってくると、皮膚が余って垂れ下がってくるのです。気をつけの姿勢の時に、腕が太くなるのは、こういった原因です。
その、アームリフトの手術法の一つが、今回の号で、論文として紹介されていました。
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その、アームリフトについての手術方法ですが、要約すると以下のようになります。
1)二の腕の内側を脂肪吸引する。
2)二の腕の内側の肘近くから、腋を通って胸の横にかけて、ジグザグに切開する。
3)余分な皮膚を取り除く。
ここまでは、従来のアームリフトと同じ。ここからが、オリジナリティーがある。
4)腋の後にできたジグザグの角を、前に回してきて、大胸筋と三角筋が接する筋膜に縫合する。
つまり、後ろから前に、皮膚を皮弁として回してくるのである。このことによって、術後、傷が縮んでも、腋に水かきが付いたようにならず、しかも、腋のツッパリを防ごうと言うものである。
5)皮膚を縫合して終了。
やはり、この手術の最大の合併症である、腋の部分の水かき状の変形を防ぐには、傷をまっすぐにしてはいけないということ。そのためには腋のくぼみはしっかりと作成しないといけないということである。
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そこで、この方法と私のオリエンタルアームリフトの比較をしてみます。
1)二の腕の内側を脂肪吸引する。
~オリエンタルアームリフトでは、プラズマリポを併用押します。プラズマリポで、余分な脂肪を除去すると同時に皮膚を縮め、切開線を短くすることができます。
2)二の腕の内側の肘近くから、腋を通って胸の横にかけて、ジグザグに切開する。
~オリエンタルアームリフトでは、腋の皮膚のみを、紡錘形に切開します。二の腕の中間部分は、プラズマリポで皮膚が縮められますので、肘近くや胸の横にまで切開は加えません。
3)余分な皮膚を取り除く。
~オリエンタルアームリフトでは、プラズマリポで腕の皮膚は縮められていますので、腋の皮膚のみを切除します。
4)腋の後にできたジグザグの角を、前に回してきて、大胸筋と三角筋が接する筋膜に縫合する。
~オリエンタルアームリフトでは、腋にZ形成術を行います。Z形成術を行うと、腋のくぼみが明瞭に作成できます。
つまり、オリエンタルアームリフトの場合、プラズマリポを併用することで、皮膚の切開線を腋の中だけに止め、傷ができるだけ露出しないようにしつつ、腋のくぼみをしっかりと作成することができます。傷が目立たない欧米人向けの大胆な手術を、東洋人向けに傷を目立たなく改良した手術が、オリエンタルアームリフトというわけです。