このほど、新しい？脂肪吸引のパワーカニューレとして、「チックルリポ（Tickle Lipo)」というのが、アメリカで発売になった。
なぜ、「？」付きなのかというと、アメリカでは新しいが、日本では全く新しいものではないためです。2000年の東京での国際学会で、Lipomatic（ライポマチック）という名前で既に発表されていて、ポルトガルの医師が使用経験を説明していたのです。それを聴いた私は、展示ブースを探したが見つからず、ベルギーのメーカーに直接問い合わせを出しました。そして、日本では第1号機を購入し、使用していましたが、約1年くらいの使用の後、使用を中止しました。10年前の話です。その後も、Vibroliposuction（バイブレーション脂肪吸引）として、いろんな学会で発表されていました。
中止の理由は、以下の通りです。
１）Vibloliposuctionという名の通り、バイブレーションがかかります。そのバイブレーションが、術者の手にも伝わるため、繊細な操作には不向きだったこと。
２）バイブレーションに耐えるために、カニューレが太いため、皮膚の穴が大きくなる。
３）ハンドピースが重く、やはり繊細な操作が不可能であったため。
ここで、なぜ、アメリカでこの器械が、「新しい」のかということですが、それは、メーカーがベルギーの会社であることから、今までEUを中心にセールス活動をしていたためでしょう。そのため、アメリカのFDAの承認を取るのに出遅れたのが、現実と思われます。上記の理由で、当院では使用を中止して8年以上経ちますが、アメリカ人向けの大雑把な手術には、時間や労力の節約といった点からは、評価されるかもしれません。ただし、これも、PALやVaser（ベーザー）と同じく、カニューレの先端が動く器械です。脂肪吸引ならず、死亡吸引にならないように注意して使用する必要があります。アメリカが常に全て最新というのは、全く当てはまりません。
http://www.prweb.com/releases/2010/11/prweb4752304.htm