AACSの”Surge”が送られてきました 1

Surgeとは、純粋に医学的な雑誌というよりも、AACS(アメリカ美容外科学会)の会員向けに、診療上の問題点やその解決法のサポートをする雑誌として、会員に定期的に送られてくる出版物です。


今月の内容は、修正手術についてや患者管理、さらに診療上の法律相談まで、いつものように多岐にわたっています。今回は、前回のArtefilのような新しい材料の紹介はありません。
今号の中に、”Damage control – Managing Patients with Unrealistic Expectations is Vital”
「損害管理‐現実性のない期待をする患者の扱いは必須」という記事がありました。内容としては、不満足患者の管理法のようなものですが、こんな患者は要注意といった要約が付いています。その内容は、
1.いつまでも痛みを訴える
2.急性うつ症状の発現
3.家族に理解がない
4.一つの症状に対して先入観がある
5.話が長い
6.手紙やメールが長い
7.カルテの開示を要求する
8.待合室で他の患者としゃべる
9.術前には存在しなかったことを訴える
10.慢性的に予約を守らない
これらは、術後のことや術前からの事などが入り混じっているのですが、どちらにしろ、これらのことに当てはまる患者は、要注意患者としてマークしたほうがいいということです。日本では、診療上の経験として、同じクリニック内の医師やスタッフたちの間では共有されてきたことですが、このように記事として雑誌に掲載されるのは、アメリカならではのことです。
アメリカをはじめ欧米諸国では、日本のように、院長の指揮の元に、複数の医師が診療に従事することはありません。医師は個人として完全に独立して診断・治療に当たります。他の医師は、診療を手伝うことはありますが、基本的に最終判断とその責任は、主治医にあります。
簡単に言うと、日本は団体戦、欧米は個人戦です。そういった診療風土の中、各医師は個人的な繋がりがない限り、診療の上では孤立しやすく、このような出版物も人気が出るようです。
image_(4).jpg