AACSの”Surge”が送られてきました 2

Surgeの記事の中で、前回お伝えした”Damage control “と言う記事の他に、もうひとつ目を引く記事がありました。と、いうよりも、今号のメインの企画です。内容としては、「修正手術」のことです。題名は、THE REVISION DECISION という、ちょっとひねりの効いた言葉となっています。


(以下、記事からの抜粋)
American Academy の調査では、回答者のうち、85%のドクターが修正手術を行ったことがあり、23.5%のドクターが、自分の手術項目の中では修正手術が大きなパーツを占めていると回答している。よくある修正手術は、脂肪吸引、豊胸術、フェイスリフト、上眼瞼手術、腹部形成術などである。
48.9%の回答者が、もっと患者さん側の期待を叶えるために修正手術を行うと答えているのだが、77%の回答者が、最初の手術について、手術手技の問題を指摘している。
さらに、回答者のうち70%は、自分の行う修正手術は、他の医師の手術の修正手術であるとしている。
初診時に、患者さんと医師はしっかりとディスカッションをするのだが、いよいよ治療方針が決定すると、患者さんの頭の中では、ディスカッションの内容は忘れ去られ、自分の期待のみが膨らんでいく傾向がある。さらに、医療行為の特性として、治癒過程や結果を100%予見できないのが現状である。不満足な結果を以て、修正手術を希望する患者は、やはり過剰な期待をしていた場合や、結果が思わしくない場合などがある。
どちらにしろ、患者に対して前医を非難するような発言をすることは好ましくない。それは、医療行為の特性としての不確実性を無視した行為だからだ。修正希望患者については、とにかく、患者を救うことに全力を傾けることだけを考えるべきだ。
(以上、抜粋翻訳終了)
日本でも、「後医は名医」とよく言われます。前に診察・処置を行った医師よりも、後から行った医師のほうが、前の医師による処置・手術の結果を観察できる分、情報量が多く、しかも核心的であるからです。したがって、前医を非難する言葉を患者に言うことは、品性に欠ける行為であると、私は思っています。
また、「医師と患者は信頼関係」が大切とよく言われます。患者さんは医師を信頼したからこそ、治療を任せるわけですが、これと反対の事も言えます。医師も、患者さんを信頼しているからこそ、治療を引き受けるのです。術後の注意事項をちゃんと守ってくれるか?患者さんの期待は、自分が理解している通りなのか?治療の内容について、理解しているかどうか?こういったことが、患者さんに対する医師の信頼なのです。上記にある、「ディスカッションの内容は忘れ去られ、自分の期待のみが膨らんでいく」と言うことは、医師からの信頼を裏切る形となります。このような、医師からの信頼に応えることのない、患者サイドの医師への一方的な信頼は、「信頼関係」ではなく、一方的な「依存」です。このようなことがないように、診察はしっかりと受け、その内容を、都合のいいことばかりではなく、デメリットについてもちゃんと覚えておくようにしましょう。
surgeimage.jpg