皮下脂肪の垂れ下がりがある腹部の強力脂肪溶解注射

腹部全体に、強力脂肪溶解注射を受けたモニターさんです。この症例で、注目すべきは、臍の周りの「たるみ」です。

一般的に、脂肪溶解注射とは、皮下脂肪組織に直接注射をすることによって、その皮下脂肪組織を溶解(融解)させて、減量を図るものです。したがって、一般的な脂肪溶解注射は、皮下脂肪組織の厚みが薄くなるだけで、たるみに対する効果は期待できません。むしろ、風船の中身の空気を抜いてしまう形になるため、たるみが増強されてしまう形になります。しかしながら、当院の強力脂肪溶解注射は、たるみに対しても効果を発揮する処方が可能です。それは、注射を行う個所や、注射液を拡散させる層、さらに、注射液の含有成分の割合を変化させることで、たるみに対する効果を出すことができるからです。実際には、皮膚に近い層に、注射の薬液を拡散させることになるのですが、その量を間違えないことが、非常に大切なことになります。


強力脂肪溶解注射の「たるみ」除去効果については、これらの症例写真が実際の効果を良く表していると思います。

強力脂肪溶解注射で「たるみ」を取る際には、通常の脂肪溶解を目的とする場合よりも、少しだけ皮膚に近い層に、薬液を拡散させます。この時には、非常に微妙な匙加減が必要で、あまりに皮膚に近いところや、皮内に注射してしまうと、皮膚に対するダメージが発生します。そして、そのことから、以前よりもたるみが出てしまったり、最悪の場合には、皮膚自体に穴が開いてしまうことも、予測できます。当院の強力脂肪溶解注射ではないのですが、実際に、アメリカにおいて、脂肪溶解注射を受けた後、皮膚に穴が開いてしまった症例の報告もあります。これは、その穴のパターンから推測すると、やはり皮内に薬液が注入された結果であるということができます。この症例報告の存在により、アメリカでは、脂肪溶解注射を許可することに対し、FDAが非常に慎重な態度を取っています。

強力脂肪溶解注射で「たるみ」を取るというコンセプトは、「たるみ」というものの性質と原因を理解していないと、良い効果を得ることができません。

たるみの原因は、大きく分けて、皮膚自体の余りと、皮下組織の脆弱化です。皮膚自体の余りについては、その原因は、老化によるものの他、腹部に関しては、急激な肥満や妊娠なども関係してきます。つまり、引っ張り伸ばされた皮膚が、伸びてしまって、元に戻らなくなってしまった状態です。老化による皮膚の余りは、その中のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの、弾力性を保つための物質が減少して発生するものです。また、これらの物質の、皮内からの減少は、引っ張り伸ばされた皮膚が、伸びてしまって、元に戻らなくなる大きな原因でもあるのです。したがって、高齢者が急激に太って、そこから元の体重に戻った場合や、高齢出産などの場合には、たるみが出やすいということができます。

もう一つの原因としての、皮下組織の脆弱化というのは、皮下脂肪組織が柔らかくなってしまったことです。

「柔らかくなってしまったこと」というのは、やはり「弾力性を失ってしまった」事と言い換えることができます。皮下脂肪組織は、皮膚と筋肉との間に存在し、その中には脂肪細胞の他、コラーゲンを主体とする繊維状の、脂肪細胞を取り囲む隔壁を有しています。この隔壁からコラーゲンが減少し、皮下脂肪組織自体から弾力性が失われ、それが筋肉と皮膚の間に、重力による「ズレ」を生じさせて、たるみに繋がると言ったものです。

当院の強力脂肪溶解注射は、これらの繊維状の脂肪組織内の隔壁を通して脂肪細胞を破壊するだけでなく、この隔壁内コラーゲンの含有量を増加させます。

つまり、脂肪溶解作用と同時に、皮下組織内の繊維状の隔壁内のコラーゲン含有量を増加させることによって、「柔らかくなってしまった」脂肪組織に弾力性を持たせ、重力によって生じる、筋肉と皮膚の間の「ズレ」の発生を減少させます。そのことで、いわゆる「たるみ」を解消させる作用を発揮します。この作用は、たるみの要素の中の、「皮下組織の脆弱化」という側面について、それを解決するということで、お腹などのたるみに対して、有効な手段の一つと言うことができます。

しかし、強力脂肪溶解注射でお腹などの「たるみ」を取りたいときに、注意すべきことがあります。

それは、たるみが存在する処のみではなく、その周辺にも、強力脂肪溶解注射を行わないと、十分な効果が望めないということです。それは、強力脂肪溶解注射が、皮膚そのものの面積を縮めるものではなく、皮下組織の強化によって、間接的にたるみを取って行くものだからです。つまり、たるみが出ている箇所の皮下組織が強化されたとしても、その周囲の皮下組織が強化されていないと、皮下脂肪と皮膚の重みが今まで通り加わり、その箇所を重力の加わる方向に引っ張ります。すると、いくら皮下組織が強化されていても、それを支えきれずに、たるみが発生します。従って、強力脂肪溶解注射でたるみを取りたいときには、たるみが気になっている場所と、少なくともその直上の箇所にも、強力脂肪溶解注射を行うことが、大切なことになります。