インフルエンサー・マーケッティング

インフルエンサー・マーケッティングって、何ですか?という質問がありましたので、ここで、私の知識と企業の広告・広報担当者から聞いた話を、総合して解説しておきます。

インフルエンサー・マーケッティングとは、有名人に、ツイッターやブログなどで、商品やサービスを紹介させる、宣伝・広告の方法のことです。その有名人には、ツイッターで呟いたり、ブログで紹介したりすると、いくばくかの報酬が手に入ります。つまり、有名人によるネット上の口コミを利用した、宣伝・広告の手法のことです。また、ブログには、アフィリエイト機能をいうのを盛り込むことで、収益を上げます。アフィリエイト機能とは、そのブログを経由して、実際に商品を購入したり、サービスの入会手続きをしたりすると、自動的にスポンサーから、報酬が指定口座に振り込まれる仕組みのことです。つまり、インフルエンサー・マーケッティングとは、有名人に口コミをさせるという、宣伝・広告の方法です。

美容外科・美容医療とのかかわりあい

そこで、このインフルエンサー・マーケッティングと美容外科・美容医療業界との関わりなのですが、医療機関の広告規制と大きく関係しています。近年、クリニックのウェブサイトも広告規制の対象となったためです。クリニック側としては、自院の優位性を強調できなくなったため、広告か広告でないか判定できない、ネット上の口コミに注目するようになりました。そこで、より効果的な口コミを狙って、インフルエンサー・マーケッティングをするようになったのです。

口コミの有用性

「口コミと広告の、どちらを信用しますか?」と訊かれて、広告と答える人はいないでしょう。広告には、広告であるというバイアスがかかっていて、悪いことは載っていないということを、皆が知っているからです。では、口コミというのはどうかというと、悪事千里を走るということわざ通り、悪いことやマイナスイメージのほうが、早く、大きく伝わりやすい傾向があります。そこで、口コミで良いことがあれば、それを信用してしまうのです。つまり、悪いことのほうが多いのに、そこに良いことが混じっていれば、信頼性が高いということで、それに飛びつくわけです。しかし、一言で口コミといっても、その信頼性には、それぞれランクがあります。

元々、口コミとは?

インターネットが、まだ存在しない時代には、口コミというのは、それなりに信頼性があり、その真偽を判断するのが、比較的容易でした。それは、匿名性があまりなかったためです。よく知っている人の言うことは、知らない人の言うことよりも、信用できるということです。そして、単なる知り合いよりも、心許せる友人の言うことのほうが、信用できます。また、知人であっても、普段から信用のない人の言うことは、信用できないでしょう。このように、口コミというのは、匿名性がなく、誰が、どういった立場でどう言ったかが、大切なのです。では、現在のネット上の口コミとは、どんな位置づけかというと、匿名性があるので、あくまでも宣伝と同列だと思ったほうが良いでしょう。「誰が、どういった立場で、」という、最初の、「誰が」が既に抜け落ちているからです。また、口コミを装って、同業のライバルを悪く書いたり、口コミを自作自演したりする業者もあります。宣伝・広告なら、その出稿元(出所)はすぐにわかるのですが、ネット上の口コミは匿名性が高いため、捜査機関でなければ、出所がわかりにくいのが、実情です。

口コミの信用性

美容医療業界だけではなく、その他の業界も、似たり寄ったりです。飲食店を集めたサイトや、検索エンジンのサイト、有名どころのSNSや写真投稿サイトなど、口コミを装ったインフルエンサー・マーケッティングや、宣伝・広告でいっぱいです。SNSのアカウントやブログなどは、フォロワーをつけて取引されています。また、それらサイトやSNSで、悪い投稿があれば、良い評価にしますという営業メールがやってきます。これも、業者の自作自演の可能性が、捨てきれません。今やネット上の口コミは、宣伝・広告の一手段であり、金銭の授受を伴う商取引と言っていいでしょう。