日本美容外科学会会報の脂肪吸引に関する記事 自分なりのレビュー

先日、日本美容外科学会会報(いわゆる、形成外科系美容外科学会)の最新号が届きました。その中で、私の旧友である広尾のプラザ形成外科・ロバート・カツヒロ・クレ先生の、アメリカでの脂肪吸引事情のレビューが目に留まりました。
ざっと目を通しただけなのですが、私なりに思ったことを少し。


1)アメリカでの調査結果として、脂肪吸引による死亡率は0.02%である。これは、交通事故の死亡率である0.16%と、有意な差はない。
~大柄で大量の脂肪を吸引するアメリカ人患者で、しかも日本人医師に比べて手技が粗雑なアメリカ人医師にして、この死亡率は「低い」とみるべきだと思う。つまり、脂肪吸引そのものは、比較的安全な手術ではないだろうか?
2)もしもの時には患者を入院させる病院と契約していること。
~これは、日本では困難なこと。美容整形で死亡吸引を行っている医師のうち、どれくらいの医師が、病院との契約をしているだろうか?個人的につながりを持っていて、「何かあったら頼む」と言えるくらいではないだろうか?
3)5Lを超える大量脂肪吸引は、ハイリスクなため、術後、入院管理が必要。
~女性でも体重が60kg~80kgあるアメリカ人で5Lである。体重40kgから50kgの日本人には、3Lがリミットではないだろうか?ちなみに、彼は文中で省略しているが、この5Lという数字は、原文では「Supernatant fat」、つまり、吸引した脂肪が貯留したビンを1時間静置したあとの脂肪量なので、ビンにたまった量全てではない。Superwetの方法で手術した場合、およそ3から4分の一が薬液なので、日本人患者では、総量で約4Lから5Lまでは外来手術可能と思われる。
4)イソジンは乾くまで色を落とすな。アメリカでは色を落としたりしない。
~賛成である。うちでも、色は落とさない。色を落とす薬剤は、ハイポアルコールなのだが、これには「アルコール」という名前が入っているにもかかわらず、殺菌力がほとんどない。
5)術前に、抗生物質の点滴をすること。
補足として、手術前30分には開始した方が、脂肪組織の薬物濃度が十分に上昇する。
やはり、形成外科系の美容外科学会の機関紙なので、総じて形成外科医以外は脂肪吸引をすべきでないといった感じが否めないレビューではあるが、ほとんどの形成外科医は、トレーニング中に脂肪吸引の経験がないことにも触れている。脂肪吸引の安全対策を非常によくまとめた記事であった。

「日本美容外科学会会報の脂肪吸引に関する記事 自分なりのレビュー」への3件のフィードバック

  1. k より:

    脂肪吸引ってすっごく興味がありますが、それなりのリスクがあることも理解しないといけませんえ・・・

  2. 一児の母 より:

    リスクは針やメスを体に入れる以上、ゼロではありませんよね。
    医師と十分に話すことが大事だと思います。

  3. 匿名希望 より:

    それらリスクも十分に理解した上で、処置を受けた方が良いですよね。

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