アメリカでは乳房縮小術が傷病保険の給付対象になることも。しかし、安い保険は給付対象にはならない。

アメリカ人の巨乳は、日本人の巨乳とはスケールが違う。Gカップ、Hカップくらいでは、巨乳のうちに入らないくらいで、Jカップなんて言う人もざらにいる。


そんなアメリカの巨乳女性を悩ませているのが、巨乳関連症状(macromastia-associated complaints)と言われるもので、頚部痛・頭痛・乳房の痛み・不眠・背部痛・腰痛・肩こりなどがあり、また、ブラのひもが肩に食い込んで、それがまた痛みを助長するといったものだ。豊胸を考えている人たちにとっては、一度でいいからそんな体験をしてみたいと思うかもしれないが、実際は、なかなか辛いものがあるようだ。
そこで、それらの症状の治療として、乳房縮小術というバストの手術があるのだが、これがアメリカでは傷病保険の給付対象になることがある。アメリカには、日本の公的健康保険のようなものはなく、AFLACやALICOなどの保険会社が健康保険を運用しているため、一律に給付・非給付といったものではない。当然、掛け金が安い保険は、給付の対象にはならない。しかも、患者の求めに応じてどんどん給付すれば、それだけ保険会社の利益を圧迫するので、給付対象となるのは、リーマンショック以降、非常に狭き門となっている。
http://pennstatehershey.org/healthinfo/surgery/13/100189.htm
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この乳房縮小術ですが、日本では全額自己負担で受けざるを得ません。この費用を、できるだけ抑えたいのが、本音ではないでしょうか?そこで、アメリカの保険会社がどのように、この乳房縮小術への保険金給付を節約しているかを、検討してみるといいでしょう。それは、前述のように、アメリカの保険会社は、給付を抑えないと、利益が圧迫されるため、どうにかして給付を抑えようとするからです。つまり、乳房縮小術を受けなくても、他に費用のかからない方法があれば、そちらをまず、試してみることから始めるのです。
一般的に、乳房肥大症は、肥満と密接に関連していると言われます。標準体重を上回る女性の場合、それを下回る女性よりも、乳房肥大症の割合が非常に多いのです。そこで保険会社は、まず、乳房肥大の場合には体重のコントロールを提案します。すなわちダイエットです。体重のコントロールをしっかりと行うことで、乳房肥大の大部分が解消されます。さらにダイエットは、血中コレステロールなどが低下し、動脈硬化性の疾患、すなわち心筋梗塞や解離性大動脈瘤などの発症率の低下を得ることができ、保険金の給付がさらに節約できます。
つまり、日本においても、乳房肥大症の治療費を安く上げようとするならば、すぐに乳房縮小術の手術を考えるのではなく、まず考慮すべきは、体重のコントロール(ダイエット)だということです。手術費用を安く上げようとして、美容整形・美容外科のクリニックを、手術費用の安さで選択し、思わぬ合併症で、現状の回復不可能な状態になるリスクを考えると、頑張ってみるべきではないでしょうか?
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全身的に肥満している患者さんの場合には、まず、ダイエットを頑張ってみることは、手術を回避でき、しかも健康状態の改善にもつながるため、価値のあることです。しかし、ダイエットに成功しても、まだ、乳房の肥大が治らず、またバストが大きい状態の場合があります。また、痩せているのにバストが大きい場合もあります。これらの場合に初めて、乳房縮小術が、 アメリカでも傷病保険の給付対象になります。したがって、日本では、この場合にこそ乳房縮小術を考慮して、手術に踏み切るといいでしょう。
ダイエットを成功させたのに、バストのサイズが小さくならない場合や、もともと痩せているのに、バストが大きい場合とは、どのような状態なのでしょうか?それは、乳房が、乳腺優位の状態です。乳房は主に、脂肪と乳腺でできています。それぞれの割合は、個人個人によって異なります。ある人は脂肪80%で乳腺20%、ある人は脂肪30%で乳腺70%、という具合にです。前者の場合には、ダイエットによって非常に有効に乳房縮小効果が得られます。しかし、後者の場合には、ダイエットしても、そんなにバストのサイズは変わらないでしょう。したがって、後者の場合には、手術を受けなければならないわけです。
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