ウルトラV-リフト セミナー

昨日、ウルトラV-リフトのセミナーに参加してきました。会場は品川。10時半の新幹線で名古屋を出発。新幹線内で駅弁をブランチとして食べながら、目的地へ向かう。


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ちょっとヘビーなブランチ。この弁当は「名古屋三昧」と言って、名古屋名物が少しづつ入っている。でも、とんかつがミソじゃなくてソースだった。「腹が減ってはなんとやら」と思ったものの、食べると眠気が・・・。静岡あたりから一寝入り。新横浜で目覚めて、無事品川着。いつもの渋谷への移動よりも、1時間ほど遅い新幹線だったが、休日なのでやはりレジャー客が多い。通路を大声でしゃべりながら歩く田舎のお姉ちゃんたちは、騒がしいMr. and Miss Childrenと、酔っぱらったリーマンブラザーズに次いでウザいことがよくわかる。そうだ!こんなおネエちゃんたちは、「Twisted Sisters」と命名しよう。
品川駅からは歩いてすぐの会場なので、地方からのアクセスも便利。主催者のIryokiさんの、気が回るところである。品川なら、羽田からのアクセスも京急1本だ。
講師は韓国ソウルの皮膚科医、Dr. Kwon Han-Jin。旧知の間柄なので、セミナー開始前に少し会話する。相変わらず、バイタリティーあふれるDrで、上海のMIPSという学会からの帰りだという。
講演の後、実技。
手技自体は非常に簡単。ただ単に針を刺して、再び戻して抜くだけ。それだけで吸収糸(溶けてなくなる糸)が皮下に入る。なるほど、さすがアイデアマンのKwon先生である。
さらに、針が細いので、クリームの表面麻酔だけで施術可能。
さらにさらに、いわゆる針灸のセッティングでOK。感染などはしない。
さらにさらにさらに、施術直後からリフトアップ効果が出現する。
効果の持続は、吸収糸がなくなってしまうのが約6か月なので、1年くらいということだ。さっそく、当院でもモニターさんを募集して、取り入れたいと思う。しかし、つるつるで引っ掛かりのない吸収糸を埋め込んだだけで、なぜ、施術直後からのリフトアップ効果があるのか?
「ウルトラVリフト」というのは、どんなものなのかというと、次のようになります。
施術概要
1) クリーム麻酔を塗るだけで、注射による局所麻酔なしで施術可能
2) 消毒は注射の時と同じで、脱脂綿にしみ込ませた消毒薬で皮膚を拭くだけ
3) モノフィラメントの吸収糸(PDS)を皮下に挿入
4) 冷却処置をして、ほてりとむくみを抑える
効果
1) 直後から引き上げ効果を体感できる
2) 引き締まりや引き上げ効果は、約1年間持続する
3) 美肌効果もある
そこで、それぞれについて、自分なりに理論づけをしていきたいと思います。
1)クリーム麻酔を塗るだけで、注射による局所麻酔なしで施術可能
これは、針が細いことで説明が付きます。そもそも、皮膚の中で一番痛覚が強いところは、皮膚の表面、真皮の上の方だと言われています。
そこに麻酔が効いていれば、あとは針が通ってもあまり疼痛を感じないということです。しかし、針が太いと、あくまでも顕微鏡単位での細かい話ですが、麻酔が効いていない真皮の深いところも針先で切ってしまうのです。そうすると痛いということになります。
また、このウルトラVリフトは、針が真皮を通り抜けるのは一瞬で、そのあとは皮下脂肪層や筋肉層になります。特に皮下脂肪層は痛覚に対しては鈍感なところなので、細い針なら問題なく無痛でしょう。針治療を受けたことがある方は、思い出してみていただくと、よく分かると思います。ウルトラVリフトは、あの針治療のような細い針を使っているのです。
2)消毒は注射の時と同じで、脱脂綿にしみ込ませた消毒薬で皮膚を拭くだけ
これも針治療と同じです。しかし、当然のことながら、針自体は使い捨てで、完全に滅菌済みです。
3)モノフィラメントの吸収糸(PDS)を皮下に挿入
手術用の縫合糸は、大きく分けてモノフィラメントとブレードというのがあります。モノフィラメントとは、糸が一本の棒のようなものです。したがって、表面がツルツルしていて、糸としては折れ曲がりにくい性質があります。釣り糸を思追いだしてみていただくと分かりやすいと思います。それに対してブレードというのは、細い繊維を編んで作った糸。表面には細かい凹凸があり、折れ曲がりやすい性質です。モノフィラメントが釣り糸ノン代表なら、裁縫の糸がブレードの代表です。ウルトラVリフトはモノフィラメントの糸を使用します。表面がツルツルしているので、非常に挿入操作がスムースです。そして、PDSの吸収糸を使用しますので、術後約半年で糸はなくなり、異物を残さない治療となっています。
4)冷却処置をして、ほてりとむくみを抑える
針で皮膚を何回も刺すのですから、当然、皮膚自体のむくみや、それに伴うほてりが出ます。知人以外の他人から見れば、腫れているという認識は出ないほどですが、これもしっかりと抑えます。
以上のように、ウルトラVリフトの施術手順は、美容針・美容鍼灸のテクニックに非常によく似ています。
直後から引き上げ効果を実感できるというのが、ウルトラVリフトの所謂「売り」の一つでもあります。これは、皮膚・皮下脂肪層(皮下組織)・筋肉といった、3つの構成要素に対する作用を分けて分析・考察する必要がありそうです。
当然、ウルトラVリフトの効果は、それらを総合したものですが、効果の理由を考察するときには、やはり分析的にならざるを得ません。
糸が皮下に入っていくので、まず、皮下(脂肪)組織に対する作用を考察してみます。この作用については、糸自体の硬さと針で刺す行為によって、皮下組織が糸の挿入前よりも硬くなり、皮膚と骨との間の「ズレ」が少なくなるということだと考えます。この作用については、大きく分けると、糸の硬さによる作用と針による操作による作用に分けられます。
この処置はモノフィラメント(単繊維)の糸を使用します。糸の硬さと言う点では、モノフィラメント(単繊維)の糸の場合には、ブレード(編糸)に比べて、同じ材質であっても曲がりにくい性質があります。処置に使用するのは非常に細い糸ですから、硬さを感じることはないのですが、同じ太さの皮下組織やブレードの糸と比較すれば硬いということができます。このように、周囲の組織よりも硬い糸が中に入ることによって、皮下組織全体としては硬さを増すという具合です。これは、簡単に模擬実験ができました。コンドームの中に、消臭ビーズを裁縫用の糸で数珠状に連ねて、少し余裕を持たせて入れてみて、指で横向きに持ってみます。すると、コンドームはビロンと下方向に曲がってしまいます。次に、その中に釣り糸を6本、長軸方向に通してみました。すると、下方向への曲がりが減少したのです。つまり、糸によって中身の硬さが変化したということができます。お気づきのとおり、コンドームが皮膚、消臭ビーズを皮下組織に見立てての実験です。また、非常に細い針で挿入するとはいえ、皮下組織への刺激という点では、これが0というわけではありません。やはり組織内にはむくみが発生していると考えられます。これは、実際には「腫れ」と言う、皮膚を拡張してしまうほどの物ではなく、非常に軽度なものです。しかし、そこには多少の刺激が加わり、それに反応したむくみは、まったく介在していないとは言えないでしょう。模擬実験上では、糸を通したコンドームに、伸びて体積が変化しない程度に水を入れた状態です。そうすれば、やはり下方向への曲がりはもっと少なくなります。このように、ウルトラVリフトの皮下組織に対する施術直後の作用は、一言で言うと、「皮下組織を硬くすることで、たるみの原因のずれを生じさせない」ということだと考えています。
次に、筋肉に対する作用ですが、これについては、針灸の中の「美容針」の原理が作用していると言えます。しかし、「ツボ」を狙う針灸とは少し違って、もう少し運動生理学的な原理ではないかという感じがしています。
ウルトラVリフトの初期の効果は「美容針」の原理だということですが、これは、筋肉の運動生理学を元にした原理です。
運動生理学的効果と言うのは、少し基礎医学的な話になりますが、筋肉の動きというものです。そもそも筋肉は、筋膜や筋肉の繊維に電流(電気)が流れることで、収縮します。電気が流れることで、筋肉の細胞の中と外の電位が変化し、それに伴って収縮したり、弛緩したりするのです。電位とは、どれだけ+側か、どれだけ-側かということです。そしてその電位は通常、ナトリウムやカリウムなど、イオンの濃度によって変化するわけです。たとえば、細胞の外側に+イオンが多いと、内側は-電位を帯びるし、反対だと内側は+電位を帯びるという形になります。
筋肉に関しては、電位の変化というものは、通常は神経から分泌される化学物質(神経伝達物質)によって起こされます。しかし、何らかの外的な刺激が加わることによっても、これを起こすことができるのです。例えば、筋肉を叩いたり、突き刺したり、筋肉に薬剤を注射したりすることです。これらの行為で、筋肉細胞やそれを取り巻く細胞、さらにそれらを取り巻く細胞外マトリックスが非常に微妙に傷害され、そこからイオンが流出し、筋肉細胞の外側の電位が変化するのです。
ウルトラVリフトというのは、これらの行為の中で、まさに針を突き刺す行為にほかなりません。針を刺されると、筋肉はそこで非常に微細な傷害を受けるわけですが、その時に筋肉細胞や筋膜に、この電位変化が発生するわけです。そこで、ウルトラVリフト施行時の直後の変化についてですが、針を刺した瞬間に、その部分には大きな電位変化が現れるものと推測されます。
しかし、大きな電位変化で筋肉が収縮することによって、直後の引き上がり効果が得られていると考えるのは少し早計です。それは、筋肉は、あまりに大きな力で収縮することで、筋肉が自分自身の力で切れてしまうということがあるからです。しかし、そこは人体がうまくできているところで、ある程度の収縮が起こるとフィードバックがかかって、今度は筋肉を弛緩させるようになるのです。ウルトラVリフトで針を刺して糸が挿入された瞬間には、大きな電位変化が生じますので、しばらくの間はこのフィードバック機構が働いて、むしろ、筋肉は弛緩する状態になります。術後すぐにホウレイ線が浅くなるのは、ホウレイ線を作る筋肉(大頬骨筋・小頬骨筋)の一部が弛緩し、ホウレイ線の引き込みが浅くなるためだと思われます。また、顎の輪郭がはっきりするのは、広頸筋が、このフィードバック作用によって、ツッパリをなくすためだと思います。これらのことは、術後すぐの症例を注意深く観察すると気づくことです。例えばホウレイ線の場合、術後すぐにシワが浅くなっている症例では、ホウレイ線が浅くなりつつ、少しだけ内側に移動し、口角はほんの少しだけ下がっているのです。これらの現象は、ほんとうに術後早期に観察されるのみで、その後は針ではなく、糸による慢性的な刺激による電位変化の時期に入りますので、今度は筋肉の持続的な収縮が獲得でき、逆に口角は上がってきて、ホウレイ線は浅くなりつつも、術前と同じ位置に戻ります。この、糸による持続的な刺激がうまく得られるように、糸は長いものではなく、短い「ショートスレッド」を用いているのだと思います。
前述の美容針的な直後の効果ですが、大変興味深い症例を経験しましたので、報告します。
こちらのモニターさんは、40代の男性の方なのですが、当初、エラに対してボトックスの注射を希望して受診しました。しかし、年齢的なものと、たるみも気になるということで、ボトックスをエラに注射すると、たるみが出ることが予想されました。そこで、ウルトラVリフトをエラの筋肉ともみあげ付近に施行することを提案した次第です。
エラの筋肉に対するウルトラVリフトは、エラの筋肉の攣縮による縮小を目的に、そしてもみあげ付近については、筋肉の縮小に伴うたるみ発生の防止を目的に行ったものです。そうすると、施術直後には、ご覧のとおり、既にエラの部分の筋肉が縮小し、顔の幅が小さくなったのです。
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顔面の表情筋は非常に薄くて細いので、筋肉そのものの体積変化を観察することは不可能です。しかし同じ顔面の筋肉でも、このえらの部分の筋肉は非常に分厚く、ウルトラVリフトによる筋肉の体積変化を観察することができます。このモニターさんの症例を見ていただければわかりますが、ウルトラVリフトは、それを挿入した場所のごく狭い範囲の筋肉には、直後に麻痺を生じ、その周囲には筋肉の攣縮(縮み上がること)が発生するという、前述の予測が正しいことを確かめるに至ったわけです。

「ウルトラV-リフト セミナー」への5件のフィードバック

  1. 匿名希望 より:

    ハードスケジュールお疲れ様です。
    お弁当にその土地も名物が入っていると、観光客には嬉しいですね。
    施術直後からの効果出現や、痛みや感染などのリスクが少ない点はいいですね。
    興味があります。

  2. うさぎ より:

    すごいものが、開発されたんですね!!

  3. 一児の母 より:

    すごく単純でかつ簡潔な感じに思えますが、それでもリフトアップ効果があるなんて・・・信じられないけど、本当なんですね。スゴイです。

  4. k より:

    クリーム麻酔で施術が可能なんですね。

  5. dazzle より:

    クリーム麻酔だけでいいなんて驚きですね。

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