回想 第17回国際美容医学会議

以前のブログ記事を整理していたら、思い出深い写真が出てきました。海外で成長再生豊胸を発表した時のものです。演題としては、「成長因子を使用した、手術なしでの豊胸術」です。

思えば、もう4年前になります。国際美容医学会議という学会ですが、ほぼ、地中海沿岸諸国と南米諸国からの参加が多い集まりです。内容は、形成外科・皮膚科は勿論、他の臨床科目から基礎医学研究まで、美容に焦点を当てて、様々な分野の発表がありました。当然、5つもある会場は、早朝から夜まで、びっしり3日間の日程でした。学会公用語はイタリア語と英語。冒頭の挨拶だけイタリア語で、あとは英語で発表したのが、懐かしく思えてきます。なぜ、私がイタリアの学会で発表なのかと言うと、実は、私は、ヨーロッパ美容外科協会の、アジア地区担当理事だからなのです。

かなり古いホテルでの開催なのですが、イタリアでは、建物は古いほうがいいそうで、何回もリノベーションして使い続けることに、価値を見出すそうです。確かに、学会会場のホールも、宮殿の広間のような装飾が施されていました。服飾デザインや家具などは、斬新なものが発表される印象があるのですが、建物に関しては、ある意味、かなり保守的なようです。そういえば、料理に関しても、食材や調味料の産地や生産者を一度決めると、なかなか他の物を使わないそうで、これも保守的。そこで、美容医療に関してはどうなのかと言うと、これも、イタリアは保守的で、臨床としての発表は勿論ですが、基礎医学の発表も多く、新しいタイプのフィラー(注入材)やレーザーなどは、ほとんどが、スペインや南米のドクターたちからの発表でした。それにしても、大学の生化学や病理学の先生方が、美容医学の学会で発表やレクチャーをするというのは、日本ではあまり目にすることがありません。中には、レーザーや高周波などのセクションで、工学部や理学部の先生方のレクチャーも多数あり、大変参考になりました。

そんな中、私の成長再生豊胸の発表は、かなり斬新なものでした。臨床関係の先生のみならず、病理学の先生からも、たくさんの質問をもらい、発表後には、多くのディスカッションを行いました。ちなみに、演題にはPRPとありますが、これは、正確なデータを発表するために、古い初期のバージョンの成長再生豊胸を発表したためです。現在の成長再生豊胸は、成長再生豊胸Fも、成長再生豊胸Wも、PRPは使用していません

そして、海外の学会での楽しみの一つは、旧友との再会です。

ヴェローナ大学形成外科教授で、自分のオフィスで開業もしている、ロヴァッティ先生。5年ぶりの再会でした。親戚ではありません(笑)。高周波の出るカニューレを使用した脂肪吸引で、部分痩せと同時に、ボディーの皮膚のたるみを取る手術の大家。個人的なディスカッションで、盛り上がりました。

ミラノ大学臨床教授で、ミラノで開業している、オッデニーノ先生。彼とも5年ぶりの再会ですが、もう15年以上の盟友。鼻の手術の大家で、今回は、ヒアルロン酸フィラーによる塞栓症についての発表とレクチャーでした。印象に残っているのは、塞栓発症時の対処についての発表。ヒアルロニダーゼの注入について、フロアーから、「未承認薬剤の注入なのだが、法的問題はないか?」との質問に対して、「患者を救えるのであれば、違法ではあるが、躊躇しない。それで刑罰を受けても、私は本望だ。」との答え。久々に、サムライを見ました。
彼も、親戚ではありません(笑)。

そのオッデニーノ先生と、カイロ大学形成外科教授のエル・ハディディ先生とともに、ディスカッションをしながら、夕食の一コマ。エジプトでは、ヒアルロン酸などのフィラーと脂肪注入が、しわ取りや輪郭形成などでの比較対象で、同じくらいの処置費用なので、患者さんにそれぞれを提示して、選んでもらうのだとか。確かに、エジプトの経済状態からすると、フィラーは高価な医療材料なのです。

さて、そろそろ、成長再生豊胸について、新しくいろんなデータが集まってきましたので、来年くらいには、再び、欧米の学会にチャレンジしてみたいと思っています。