ピコレーザーは、衝撃波で 刺青 の色素をより細かく粉砕します。また、青・緑にも対応する、730nmハンドピースを装備。これまでの青・緑対応の785nmハンドピースよりも強力な波長です。
なぜ、刺青 にはピコレーザーなのか
ピコレーザーとは、従来のQスイッチレーザーよりもパルス幅が短く、より短時間に強いエネルギーを照射することができるレーザーです。そして、より短時間にエネルギーを照射することで、刺青 の色素にはより強い衝撃波が作用し、大きな塊になっている刺青 の色素をより細かく粉砕し、リンパ流や白血球・マクロファージによって取り去られやすくする作用があり、治療回数を減少させることができるためです。
皮膚の構造
人間の皮膚は、表層から大きく表皮と真皮に分かれていて、表皮の部分は細胞の入れ替わりが活発で、さらに傷を負っても跡かたなく治ってしまいます。しかし、表皮の奥にある真皮になると、細胞や細胞外マトリックスの入れ替わりが表皮に比べてゆっくりだったり、年単位でないと入れ替わってしまいません。刺青は、この真皮の部分に、人為的に色素を埋め込んでいる状態です。
刺青 がある状態では、皮膚の中はどうなっているか?
刺青には、様々な大きさ(サイズ)の色素がランダムに入り混じって、真皮に存在します。
刺青を入れると、小さな塊の色素は白血球・マクロファージに貪食(取り込まれ)され、その部分から取り去られてしまいます。また、それらの一部は真皮の繊維芽細胞に貪食されて真皮に残り、刺青 の色柄を形成します。ただし、線維芽細胞も寿命があり、細胞が死滅すると色素を出してしまいます。それが、年数と共に刺青が薄くなる原因です。
しかし、線維芽細胞に貪食されていない色素があり、それらは細胞間物質(細胞間マトリックス)に大きな塊として存在します。 そして、その大きな塊の色素(直径30μm以上の塊)はサイズが大きすぎるため、白血球・マクロファージや線維芽細胞にも貪食されず、移動もしないで、真皮や皮下脂肪などの局所に留まり、やはり刺青の色柄を構成し、薄くならずに残ります。
従来のQスイッチレーザーでの 刺青 除去の場合
そこで、Qスイッチレーザーを照射すると、色素は熱を持ち、小さな塊の色素を持った線維芽細胞は破壊され、色素は飛び出し、線維芽細胞の残骸もろとも、白血球・マクロファージに貪食され、皮膚から取り去られていきます。
しかし大きな塊は、熱を持ちはするのですが、発生する衝撃波が弱いため、レーザーを当てても周辺が少し欠けるだけで、大きさは未だ白血球・マクロファージが貪食できるほどは小さくならずに、その場に残ったままとなります。つまり、取れずにそのままそこに残るということです。そして、Qスイッチレーザーを繰り返し何度も照射することで、大きな色素の塊は少しづつ小さくなり、最終的には小さな塊となって、白血球・マクロファージなどに貪食されて、刺青が消えるということになります。
ピコレーザーでの 刺青 除去は?
それに対して、ピコレーザーを照射した場合には、もちろん色素を持った線維芽細胞は破壊されて、その中の色素は皮膚から取り去られます。そして、大きな塊で細胞間物質(細胞間マトリックス)に存在する色素は、レーザーを吸収すると強い衝撃波を発生し、色素の塊をより小さく粉砕します。小さく粉砕された色素は、リンパ流に乗って取り去られる部分も多く、さらに線維芽細胞や白血球・マクロファージに貪食されやすいため、残った部分も色素がより薄くなり、治療回数を少なくすることができます。