アームリフトとは?
アーム・リフトとは、皮膚が伸びて、いわゆる振袖状になった二の腕に対し、皮膚を切り取って、形を整える手術です。ブラキオプラスティーとも言われます。年配になっても、肩や腕を出す服装で人前に出ることが多い欧米では、比較的ポピュラーな手術です。そして、年配の方だけでなく、高度の肥満者が多い米国では、胃のバイパス手術が多く行われていて、その後の激ヤセに伴って、二の腕の皮膚が余って醜状を呈するため、このアームリフトを受ける患者さんが多くいます。
ところで、我が国ではどうかと言うと、これまではあまり人気のある手術ではありませんでした。理由としては、年配になった時に、露出の多い服装をする機会がなかったことや、高度の肥満者が少なく、激ヤセに伴う二の腕の皮膚の余りを気にする人が少なかったからです。また、白人とは違って、傷が目立ちやすい傾向にある日本人にとって、肘の近くまで傷ができる、欧米人向けのアーム・リフトには、どうしても踏み切れないものがありました。
欧米での、従来のアームリフト
ショートスカー・テクニック
ところが近年、このアームリフトが注目を集め、当院でも手術を受ける人が増加傾向にあります。理由の一つは、高度の肥満者 に対する胃のバイパス手術が、日本でも普及し始めたことです。そしてもう一つの理由は、若い人でも、腕が太いと感じる人が増えたことでしょう。特に、腰に手を当てて肘を浮かせると、腕の太さは細いのですが、気をつけの姿勢で腕を横に下ろすと、腕が太いということです。さらに、当院では、ショートスカー・テクニックと言って、傷の長さが短く、ほぼ腋の下の部分のみだけの手術法を採用しているため、傷に対してのハードルが低くなったためです。
腕の太さは、筋肉と皮下脂肪の厚みの合計なので、筋肉が細く、皮下脂肪の厚みが少ない場合、腕は細くなります。したがって、腕を細くしたいという場合、基本的にはまず、脂肪吸引などで、腕の皮下脂肪を除去することが、第一選択となります。しかし、皮下脂肪の厚みは薄いにもかかわらず、腕を細くしたいという場合には、大抵は、「腰に手を当てて肘を浮かせると、腕の太さは細いが、気をつけの姿勢で腕を横に下ろすと、腕が太い。」というパターンです。その場合には、やはり腕の皮膚を処理する必要があります。腕の皮膚が、その中身の筋肉や脂肪に対して、余っているということです。例えて言うなら、ピチピチの長袖Tシャツではなく、腕周りのゆったりしたブラウスを着ている状態だということができます。ゆったりブラウスをピチピチTシャツに仕立て直してやることで、気をつけの姿勢で、腕を体の横に下ろしても、腕がそんなに太く見えなくなるのです。
ショートスカー・テクニック
スーパー・ショートスカー・テクニック
ショートスカー・テクニックの所で述べた、「腰に手を当てて肘を浮かせると、腕の太さは細いが、気をつけの姿勢で腕を横に下ろすと、腕が太い。」というパターン に効果を発揮する、もっと傷が少ない方法が、このウルトラ・ショートスカー・テクニックです。
腕を下ろすと腕の太さが気になるという患者さんですが、よく観察してみると、それらの方のほとんどが、太さが気になるのは、腕の上のほうで、腋の横に相当する部分です。
ほとんどの方が、矢印で示した、この部分の太さを気にしている。逆に言えば、この部分以外は、特に改善の必要性を感じていない。
その場合、肘の上から二の腕の中部までの太さは、脂肪吸引・脂肪溶解注射などの皮下脂肪の除去や、表層脂肪吸引で皮膚を縮めるのみで対応可能なことが多く、その部分の皮膚の切除は必要ないと言えます。その場合、この方法が、手術の効果が大きいにもかかわらず、傷も少なくて、受け入れられやすい術式だと言えます。
スーパー・ショートスカー・テクニック
症例写真
アームリフトという手術は、読んで字のごとく、フェイスリフトの腕版です。
腕を細くしたいという希望の患者さんが、夏になると増えます。当然のことながら、脂肪吸引やプラズマリポ や脂肪溶解注射が適応になるのですが、もうひとつ、手術のメニューとして、「アームリフト」というものがあります。欧米では、結構ポピュラーな手術で、効果は絶大なのですが、腋から肘近くまで、腕の内側に傷が残るため、日本人には徹底的に敬遠されてきた手術です。
しかし、ここに来て、このアームリフトが、の日本でも見直されつつあります。ショートスカーテクニックと言って、傷が腋の下だけに限定される方法が開発されたからです。このショートスカーテクニックですが、どのようにするかというと、
1)脂肪吸引で腕や腋の皮下脂肪を取り除きます。
2)腕や腋の皮膚を引き締めるために、表層脂肪吸引と言って、皮膚の直下に極細のカニューレを使用して、皮膚を縮めます。
3)腋の皮膚を紡錘形に切り取り、ジグザグに縫い合わせます。
このショートスカーテクニックのキーポイントは、2)の皮膚の引き締めを行うことと、3)の段階で、皮膚を引っ張る方向を変えることで、皮膚の切除が腋の下のみで可能になったことです。
この手術は、皮膚のたるみによって腕が太く見えている人に、絶大な効果を発揮します。具体的には、急激なダイエットによって皮膚がたるんでいるため、腕だけがなかなか細く見えない人。年齢とともに、次第に腕が太くなってしまった人(年齢によって、皮膚のたるみが出てきたため)です。つまり、ピチピチのTシャツを着ていた状態から、ダブダブのブラウスに着替えてしまった状態を想像するといいでしょう。
この手術のメリットは、何といってもその効果の大きさですが、そのほかに、以下の点があります。
1)ブラジャーの上の、脂肪の乗っかりも改善できる。
2)ワキガ・多汗症の治療が可能である。(腋の皮膚を切除するから)
3)「気をつけ」の姿勢での効果が絶大で、上半身の若返り効果が望める。
デメリットは腋の傷なのですが、それは、手術の効果や付随するメリットとのバランスを考えて、手術法を選択するといいでしょう。
一言で、「腕が太い」と言っても、脂肪がたくさん付いているのか?筋肉が太いのか?あるいは、皮膚が伸びていて、腕が太く見えているのか?など、原因は様々です。そして、それらの原因によって、対処法が異なります。
脂肪で腕が太い場合には、脂肪吸引脂肪溶解注射などが有効です。
筋肉の場合には、ボトックスの注射がいいでしょう。
そして、皮膚の場合には、この、アームリフトが適応になります。
日本ではこれまで、あまりなじみがなかったのですが、このアームリフトの歴史は古く、約20年ほど前には既にアメリカを中心として、欧米では普通に施行されていました。しかし、欧米でのアームリフトは、バストの横から、腋を通って、肘まで、長い傷ができるものです。このように、長い傷が、見えるところにできる手術であるため、日本では敬遠されてきた手術項目です。
しかし今は、傷をできるだけ小さくする方法が開発され、この手術を希望する患者さんも、かなり増えました。どこまで傷が小さくなったかと言うと、「腋の下のみ」です。傷は短いのですが、効果はしっかりと出せています。
写真のモニターさんは、肥満と痩せをくりかえしているうちに、痩せても腕が細くならなくなったことに気がつきました。それは、やはり、皮膚が伸びてしまったからです。また、ブラジャーの上に乗っかる背中の肉も気になり始めました。そこで、この手術に踏み切ったわけです。
日本人を含め、東洋人の肌質は、白人に比べて傷が目立つのは、不利な点です。だから、傷はなるべく小さくする必要があります。しかし、切除だけで皮膚の余りを取ろうとすると、どうしても傷が長くなってしまいます。逆に、傷の長さをを短くすると、皮膚の余りを十分に取ることができません。
そこで、表層脂肪吸引を使用します。表層脂肪吸引は、皮下脂肪を吸引して除去するだけでなく、皮膚を縮める作用があります。これを手術中に使用することで、傷の長さが短いにもかかわらず、十分な余剰皮膚の改善につなげました。
傷は、腋の下のみに、ジグザグに1本です。ジグザグにする理由は、術後、腕を挙げたときにツッパリを出さないようにするためです。
一般的に、傷は、その性質として、必ず、一定の縮みが発生します。腋を長軸方向にまっすぐ縦断する傷の場合、縮みが発生すると、腕と腋をくっつける方向に縮みます。すると術後、吊皮を持つ時など、腕を挙げることが困難になります。傷をジグザグにしておくことで、縮みが発生しても、腕を挙げることには、困難が生じません。
そして、腋の傷を、ジグザグにする理由が、もうひとつあります。わきの部分は、基本的に、中央がくぼんでいます。その部分を切除して、まっすぐに縫い合わせると、先程お伝えした通り、傷は縮むため、そのくぼみが消失してしまいます。もっとひどい場合には、腋の引きつりと同時に、ムササビのように、皮膚の羽ができたような形になってしまいます。このような合併症を防ぐためにも、腋の傷はジグザグにして、傷の縮みに伴う引きつりを回避しないといけないのです。
アームリフトの利点は、その絶大なる、腕を細くする効果だけではありません。腕が確実に細くなると同時に、以下の利点があります。
1)ワキガ・多汗症の治療
当院でよく行われるアームリフトは、皮膚の切除を、腋の部分だけに限定した、傷が少ない、東洋人向けのアームリフトです。皮膚を切除する程度にもよりますが、腋の皮膚の、ほぼすべてが切除されてしまいます。したがって、ワキガの元となるアポクリン腺・流れるような汗を出すエクリン腺・ワキガの再発の元になる皮脂腺の、3つの汗腺の全てが、皮膚とともに切除されてしまいます。したがって、再発のない、ほぼ完全なワキガ・多汗症の治療が可能になります。
2)腋の完全な脱毛
これも、上記と同じ理由で、完全に腋毛がなくなります。また、レーザー脱毛と違って、複数回の処置も、不要です。勿論、再発もしません。
3)ブラジャーの上に乗っかる肉がとれる
腋の皮膚をつまんでみると、背中の皮膚が少し引っ張られるのがわかります。したがって、アームリフトでは、背中の、腋に近い部分がリフトアップされます。そうすると、その部分の肉もいっしょに持ち上げられ、ブラジャーの上に乗っからなくなります。この部分の脂肪は、皆、そんなに分厚くはありません。しかし、意外と気にする方が多いのは、皮膚がたるんでいることで、ブラジャーのひもの上に乗っかり、ふくらんで見えてしまうからです。
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副作用・合併症:肥厚性瘢痕
費用・料金:55万円~88万円(両腕)