マイヤーズカクテル点滴療法

マイヤーズカクテルとは、アメリカのDr.ジョン・マイヤーズが開発した、ビタミンとミネラルによる点滴療法のことです。このマイヤーズカクテルは、元来、栄養素を大量にバランスよく投与して、人間本来の治癒力を高める、自然療法とも言うべき治療法です。
マイヤーズカクテルで投与されるビタミンやミネラルなどの栄養素は、気づかないうちに慢性的な不足に陥っていると言われているものです。特に欧米化した現代人の食生活や、ストレスの多いライフスタイルにおいて、その傾向が顕著であると思われます。
当院のマイヤーズカクテルでは、そのような成分を組み合わせ、点滴で直接体内へ投与し、効果の確実性を発揮させます。

副作用が少なく、いろんな症状に効くアンチエイジング効果

マイヤーズカクテルは、健康の回復を通して、疲労回復、体力強化、免疫力強化などの効果を発揮します。そしてそれらは、副作用のないアンチエイジング効果へと繋がることが期待できます。さらに、線維筋痛症、慢性疲労、パーキンソン病などの困難な病状にも画期的な効果を発揮し、治療薬の減量やその効果を助ける働きを表します。

マイヤーズカクテルの有効成分

ビタミンC (アスコルビン酸)

4200㎎

ビタミンB1 (チアミン)

100mg

ビタミンB2 (リボフラビン)

2mg

ビタミンB3 (ニコチン酸アミド)

40mg

ビタミンB5 (パントテン酸)

104mg

ビタミンB6 (ピリドキシン等)

104mg

ビタミンB12 (ヒドロキソコバラミン等)

1mg

グルコン酸カルシウム

300mg

硫酸マグネシウム

1200mg

なぜ、南クリニックはマイヤーズカクテルを推奨するのか?

現在、美容点滴療法として、いろいろなビタミン注射や栄養注射が、様々なクリニックで行われています。それらのほとんどが、美白などの美容効果を発揮する成分を、1種類または数種類混合して行われています。しかし、よりそれらの美容効果を強く発揮させるためには、全身の細胞に、それらの成分を受け入れることのできるだけの素地が必要だということです。つまり、全身の細胞が、本当に健康で正常な機能を十分に発揮して働いていることで、これらの美容成分が十分に効果を発揮するということなのです。そして、その全身の細胞の機能を、十分に健康で正常な状態にするのを助けるのが、マイヤーズカクテルということになります。したがって当院(南クリニック)では、点滴療法は、このマイヤーズカクテルを基本として、それに各種の有効成分をオプション設定することにしています。

 

マイヤーズカクテルの歴史

アメリカはメリーランド州ボルティモア市で開業していたDr.ジョン・マイヤーズ(Dr. John Myers )は、喘息・慢性疲労・うつ病などの患者に対し、30年以上にわたり、ビタミンやミネラルの点滴療法で治療していました。その治療法は一定の効果が実証され、当時、国民健康保険が存在せず、処方薬が高価なアメリカにおいて、安価で自然かつ副作用のない治療として評判になっていました。その後、Dr.ジョン・マイヤーズ(Dr. John Myers )が1984年に他界したため、マイヤーズカクテルの処方は消滅し、わからなくなってしまいました。しかし、アメリカの高価な医療費に対抗して、今世紀に入ってから、このマイヤーズカクテルが再び注目されるようになりました。実際、アメリカホリスティック医学協会元会長のDr.アラン・ゲイビー( Dr.Alan R.Gaby )が、マイヤーズカクテルを医学的エビデンスに合わせて改良・再現して、外来で15000件の点滴療法を実施しました。それが、現在のマイヤーズカクテルとして、多数の医療機関にて行われています。現在では、全米で1000人以上の医師が、このマイヤーズカクテルを治療に応用しています。

 

マイヤーズカクテルの詳しい内容とその作用原理

マイヤーズカクテルは、ビタミンB群(B1,B2,B3,B5,B6,B12)・ビタミンC、さらに、Ca(カルシウム)とMg(マグネシウム)などのミネラル成分がバランスよく含まれています。マイヤーズカクテルの、他のビタミン点滴や美容点滴などと大きく異なる点は、Ca(カルシウム)とMg(マグネシウム)という、ミネラルが大量に含まれていることです。これは、ストレスによって失われやすいマグネシウムを補給することにより、疲労感を改善することができるためです。

Ca(カルシウム)は、厚生労働所の発表している日本人の栄養摂取量を見ても、所要量を下回っているミネラルです。これは乳製品や動物性たんぱく質の摂取不足が原因とされています。しかし、それらを食物から摂るように留意したとしても、乳製品や肉・魚にはP(リン)が入っており、腎臓でのCa(カルシウム)の排泄を増加させるため、摂取量を賄ったとしても、体内で働くCa(カルシウム)の量は少量に過ぎません。そして、Ca(カルシウム)の不足は、精神的安定を損ない、不眠や睡眠を浅くする症状を呈するとされています。そこで、マイヤーズカクテルには、大量のCa(カルシウム)を含有する設計になっています。

Mg(マグネシウム)は、ストレスによって腎臓からの排出量が増加し、体内から失われやすいミネラルです。Mg(マグネシウム)が不足すると、疲労、スタミナ減退、筋力低下、骨粗鬆症、骨や歯の弱体化、筋肉痛(肩こりなど)、血栓、動脈硬化、イライラ、うつ、集中力の低下、不安感、神経過敏、手足のしびれ、ふるえ、心臓発作の危険性増大、腎臓結石、こむら返りを起こしやすい、など、Ca(カルシウム)の不足と同様の症状を呈します。これは、Mg(マグネシウム)がCa(カルシウム)と共同して、人体の色々な機能を調節しているからなのです。マイヤーズカクテルで、ストレスによって失われたMg(マグネシウム)を補給することは、Ca(カルシウム)を補給することと同様に、健康と美容にとって大切である理由の一つです。

マイヤーズカクテルにビタミンB群が大量に含まれるのは、人間の日々の活動に必要なエネルギーを、スムーズに産生させるためです。人間は、3大栄養素と言われる、炭水化物・タンパク質・脂質から、様々な代謝経路を経由して、最終的にはATPという形に変換し、日々の活動のエネルギーとして利用します。そしてそのATPなのですが、一日に産生する量は体重が60㎏の成人で80kgと、莫大な量となります。ビタミンB群は、3大栄養素をATPに変換する代謝経路の様々な部分で使われているため、ビタミンB群を大量に補給することで、エネルギー産生をスムーズに行い、幹細胞をはじめとする全身の細胞機能を十分に発揮し、美容と健康を獲得できます。これが、マイヤーズカクテルに大量のビタミンB群を含んでいる理由です。このマイヤーズカクテルに含まれる大量のビタミンB群だけを、注射で補給するのが、いわゆる「ニンニク注射」と呼ばれているモノです。

そしてビタミンCですが、これについてはここで言うまでもなく、いろんな美容・健康作用があります。そしてそれらの作用の根幹をなすのが、ビタミンCの抗酸化作用です。この抗酸化作用は、肌を含む炎症の悪化を防ぎ、細胞のDNAに傷が入るのを防止します。

このように、マイヤーズカクテルの成分は、それぞれ単体による美容・健康に対する作用もしっかりと存在するものなのですが、これらをマイヤーズカクテルと言う形にして組み合わせることで、相乗作用が発揮できます。つまり、1+1=2ではなく、3や4になるということなのです。

 

マイヤーズカクテルを基にした、当院の各種強化メニュー

マイヤーズカクテルW(美白強化型マイヤーズカクテル)

ビタミンCを10gに増量し、トランサミン・グルタチオン・プラセンタを追加した処方です。
ビタミンCは、高濃度で摂取することにより、強い抗酸化作用を発揮します。抗酸化作用とは、よく「体の錆を落とす」と言われるもので、老化の原因である酸化作用を抑制するものです。また、この酸化作用と言うのは、異常な炎症にも関与しています。ビタミンCは、この抗酸化作用により、アトピーや乾燥肌・肌荒れの改善、皮膚でのメラニン合成の抑制によるクスミの改善、コラーゲンの生成促進による皮膚の弾力性強化と傷の治癒促進、皮脂の分泌コントロール正常化などによって、美白・美肌作用が得られます。このような美白・美肌作用は、ビタミンCの経口摂取では不可能な量を体内に入れる必要があるため、点滴にて行う必要があります。(10g以上のビタミンC点滴をご希望の方は、ご相談ください。対応可能です。)
トランサミンとグルタチオンは、メラニンの生成過程の一つを直接ブロックするもので、強い美白作用が確認されています。トランサミンは実際にシミの治療などに、内服薬や外用剤として用いられています。このトランサミンの注射用製剤を用いるのが、このマイヤーズカクテルWです。プラセンタは皮膚のターンオーバーを早くすることにより、これまでの間に皮膚に蓄積したメラニンを、皮膚から押し出す作用があります。また、プラセンタもグルタチオンも、肝臓の機能を正常化させる働きとともに、トランサミンとともに皮膚の炎症に対する効果も大きく、肌荒れやニキビなどにも効果を発揮します。

 

マイヤーズカクテル Q&A

Q1:マイヤーズカクテルは、ニンニク注射の効果もあるのですか?

A1:勿論、ニンニク注射の効果もあります。

そればかりか、それ以上の効果を望めます。マイヤーズカクテルには、いわゆるニンニク注射と言われているものの成分であるビタミンB1(チアミン)を含んでいます。したがって、その効果的にはニンニク注射の効果も併せ持つものです。当院のマイヤーズカクテルには、ニンニク注射2本分のビタミンB1(チアミン)が含まれています。そして、ビタミンB1(チアミン)も他のビタミン同様、その他のビタミンとバランスよく組み合わせて同時に摂取することで、その効果が倍増します。そのため、マイヤーズカクテルの効果は、ニンニク注射2本を注射するよりも、もっと大きな効果があると言うことができます。

 

Q2:マイヤーズカクテルWで、ビタミンCを25グラムまで増量して、がんに効く点滴のようにできますか?

A2:可能です。しかし念のため、検査を受けている方に限定しています。

ビタミンCを25グラムまで増量した高濃度ビタミンC点滴と言うのは、がん細胞を破壊するとされています。そこで、CTやMRIなどの画像診断では見つからないような、細胞単位での大きさのがんについて、予防的に高濃度ビタミンC点滴を、定期的に受ける方が増えています。しかし、いかに水溶性で中毒症状の無いビタミンCとはいえ、大量の点滴での摂取には、注意が必要です。その注意すべき点と言うのが、G6PD欠損症に関することです。G6PD欠損症というのは、G6PDという酵素を持っていない方と言う意味です。この酵素を持っていない方は、通常は何の支障もないのですが、高濃度ビタミンC点滴を受けたときだけ、溶血と言って、血液中の赤血球が壊れてしまいます。そこで、高濃度ビタミンC点滴を行う前には、このG6PDを持っているかどうかを検査します。しかし、当院は高濃度ビタミンC点滴でのがん治療は専門外ですので、G6PDの検査は行っていません。そこで当院では、この検査を既に受けたことがある方に限定して、ビタミンCを25グラムまで増量することを、お引き受けしています。

尚、通常のマイヤーズカクテルWに含まれる10グラムというビタミンCの量では、G6PD欠損症の方であっても、このような溶血は発生せず、美白効果を十分に獲得できますので、ご安心ください。

 

Q3:マイヤーズカクテルFやマイヤーズカクテルWに入っている、プラセンタとは何ですか?

A3:プラセンタとは、「胎盤エキス」と呼ばれるものです。

胎盤とは、妊娠中に子宮内に形成される組織で、そこから臍の緒が伸びて、胎児に栄養や酸素を供給します。これは哺乳類だけに存在する組織で、母体と胎児を物理的に繋ぐだけでなく、生命の誕生とその維持にとって欠かせない物質を大量に産生するという働きがあります。そしてそれらの物質は、新しい細胞をつくる遺伝子情報のシグナルを司るとされています。この胎盤は、洋の東西を問わず、紀元前から医薬品として注目され、様々な疾病の治療や健康維持とアンチエイジングに利用されてきました。そして近年、医科学の進歩とともに再生医療の振興の中、胎盤の薬効について詳しく分析がなされつつあり、その古来からの使用については、理にかなったものであるとの結論が示されようとしています。

このような胎盤のエキスのことが、一般にプラセンタと呼ばれているモノです。プラセンタは、化粧品やサプリメントとして販売されている製品は、豚か馬の胎盤が原料です。そして医薬品として医家向けに流通している製品は、ヒトの胎盤が原料です。この医薬品のプラセンタの製法は、胎盤提供者のスクリーニングとして、各種感染症検査や渡航歴調査が行われ、さらに製品製造過程においても、化学的処理・酵素処理・滅菌処理が行われます。したがって、生物製剤での最も注意が必要になる事項としての、感染症に関しては、まず、心配の要らないものとなっています。実際に、これまでの長い国内での使用経験上、プラセンタの使用に起因する感染症の報告は、一例もありません。

プラセンタの、以上のような長い使用経験とその歴史に裏打ちされた、安全性と薬効に優れたプラセンタですが、現在、わが国で流通している製剤には、ラエンネックとメルスモンがあります。両方とも厚生労働省による正規の医薬品としての承認があり、ラエンネックは肝機能障害、メルスモンは更年期障害に対して、適応症の承認を受けています。両者の違いというのは特になく、ラエンネックが更年期障害に効果が無いとか、メルスモンは肝臓には効かないといったものではありません。どちらの製剤も、更年期障害にも肝機能障害にも効果があります。厚生労働省の承認において、両者の適応症に違いがあるのは、承認申請時の事務手続き上の違いによるものだけです。

 

Q4:現在、治療中の病気があるのですが、マイヤーズカクテルで治療を行うことができますか?

A4:まずは、現在の治療は止めずに、マイヤーズカクテルでの治療を開始してください。

現在の主治医と相談して決めてもらうのが理想ですが、ほとんどの病気で、マイヤーズカクテルでの治療を併用できます。但し、次の病気の場合には、マイヤーズカクテルでの治療は禁忌となる場合や、慎重に進める必要がありますので、必ず主治医と相談してください。

1)甲状腺・副甲状腺疾患

これらの病気は、カルシウムの代謝に大きな影響を及ぼします。特に副甲状腺は、副甲状腺ホルモンの分泌を通して、血液内のカルシウム濃度を上昇させる働きがあります。マイヤーズカクテルは、カルシウムを大量に補給する処方の点滴ですので、副甲状腺疾患の場合、高カルシウム血症になることもあります。また甲状腺は、通常の甲状腺ホルモンとともに、血液中のカルシウム濃度を下げる働きがある、カルシトニンというホルモンを分泌します。このホルモン濃度も、甲状腺疾患時には変動することがあり、やはり、マイヤーズカクテルによるカルシウム補給が病勢に影響をあたえることもあります。

2)腎臓疾患

腎臓もまた、カルシウムの代謝に関係し、血液中のカルシウム濃度を調節する働きを持っています。この働きは、前述の副甲状腺ホルモンなどが腎臓に作用して、尿の中にカルシウムをどれだけ出せばいいのかを、調節するのです。したがって、腎臓は血中カルシウム濃度調節の最終ゲートともいうべき臓器であり、カルシウムを大量に補給するマイヤーズカクテル点滴の処方を用いる時には、腎臓が機能していることが、安全のために必要なことになります。