エラの角から前方まで3

しかしながら、この「アングル・スプリッティング法」が普及するにつれ、いくつか問題点が出てきました。そのうちの一つは、顎の骨の形がギザギザになってしまうことです。

このギザギザは、外見上はわからないのですが、歯科処置の際のレントゲン検査などでは、しっかりと検出され、歯科医を驚かせたりしました。このギザギザの原因は、術式そのものの性質にあります。この手術では、骨を斜めにスライスする際、線状に並べるようにしてドリルで骨に穴を開け、そこから骨用のノミを使用して、それらの穴をつなぐように骨を割って、切除する骨を取り除きます。そうすると、もうお気づきかと思いますが、切り取られた後の骨の縁は、のこぎりの歯のようにギザギザになるのです。
このギザギザは電動ドリルに付けたボール状のバーで削ってしまえば、滑らかになるのですが、口の中からの手術で、しかも奥の方にあるため、高速で回転する器具を使用するのは、危険な部位と言えます。無理に入れて使用すると、バーが周囲の肉を巻き込んでしまって、危険だからです。特にこの部分の近くには、手術中の頭の向きによっては、外頚静脈及びその枝があり、バーで巻き込んで傷つけると、止血が困難です。
さらに、このギザギザは、削って滑らかにするのが、結構難しいとされます。どういうことかと言えば、骨を斜めに切っているため、この部分は、骨の厚みが非常に薄く、削りすぎて、エラがなくなってしまう、あるいは、エラが前方に移動して、エラの角が口の横に来てしまうということです。こういったリスクを回避するには、削って滑らかにしないほうが、外見上は綺麗です。
以上のような理由から、この手術は、顎の骨の形がギザギザになるという問題を残したままとなってしまったのです。