太もも・ヒップ・膝周り

20代歳代後半の女性のモニターさんです。術前は、いわゆる下半身〇〇の 状態で、腹部と上半身は細い体型でした。洋服のサイズは、シャツや上着はMで、パンツやスカートはLで、上半身と下半身では、サイズが一つ違うものでないと、合わない状態だったとのことです。そこで、ヒップと太ももの脂肪吸引を行いました。

術後は下半身がすっきりして、洋服のサイズの不均衡もなくなり、パンツやスカートもMを着用できるようになったとのことです。このような、体型の不均衡は、脂肪吸引の非常に良い適応となります。最近は、脂肪注入の性能が向上したため、体型の不均衡の修正のアルファとして、高生着率脂肪注入の豊胸手術を同時に行う方が、脂肪吸引単独の処置よりも多くなってきています。写真は、術前と術後3ヶ月以上経過したものです。術前は、かなり重症なセルライトを伴う、局所的な皮下脂肪の沈着が見られます。術後は、それが解消しています。一般的に、脂肪吸引はセルライトを悪化させるというのが、定説でした。そのために、術後のアフター・フォローとして、エンダモロジーやウルトラ・アクセントなどの機器を使用した、セルライトに対するマッサージ療法が推奨され、実際に行われています。当院の脂肪吸引では、セルライトが悪化することはありません。

脂肪吸引でセルライトが悪化する?

セルライトとは何か?

セルライトというのは、皮膚直下の脂肪層の厚みが増したのが原因です。そうすると、筋膜から皮膚へとつながっている繊維の伸びが追い付かず、繊維が皮膚を引き込んだ状態になります。この状態では、表面から見ると、皮膚が不規則に凸凹ているのが観察されます。これがハチの巣状に見えるため、ハチの巣の「部屋」=「セル」から、「セルライト」と言われるようになりました。寝た姿勢の時には、重力の関係で目立たなかったり、本当にポツポツとハチの巣状に見えるのですが、立った姿勢では、重力が働く方向が変わるため、しわのようになります。

脂肪吸引でセルライトが悪化

脂肪吸引でセルライトが悪化する原因は、手術で深い層の脂肪を取り除き、皮膚に近い浅い層の脂肪を残す方法を採るためです。これは、セルライトの原因である浅層の皮下脂肪層に全く手を付けず、そのままサイズダウンをしてしまうので、セルライトを造っている浅層の脂肪層は縦に長く伸びてしまい、皮膚の凹凸が深くなってしまうからです。また、サイズダウンによって、皮膚に引き込まれる余裕が増え、それがまた、皮下浅層の脂肪の形の変化と相俟って、セルライトを悪化させます。

セルライトの改善を目指す脂肪吸引

ところが、当院の脂肪吸引では、このセルライトの原因である、皮膚の直下の脂肪にまで、脂肪吸引を行います。これは、使用するカニューレ(吸引管)が細いために、可能なことです。一般的にボディーで使用されている、3㎜や4㎜のカニューレでは、凸凹を造ってしまうため、皮膚直下に関しては、当院では1.6㎜のカニューレを使用します。そうすると、セルライトの原因になっている脂肪を除去できますので、セルライトは悪化するどころか、その改善になります。この、細いカニューレで皮膚の直下の脂肪を吸引する方法を、Superficial liposuctionまたは、Superficial lipoplastyと言います。日本語訳だと、表層脂肪吸引ということです。

表層脂肪吸引とは?

表層脂肪吸引は、1990年代の中頃に、イタリアの美容外科医、ガスパロッチ氏によって提唱された方法で、当初は、脂肪吸引の術後に発生する皮膚のタルミに対する予防的な方法として発表されました。内容としては、先端が斜めにカットされた、竹槍のような3㎜のカニューレを使用して、皮膚と平行な動きになるように、脂肪を吸引していくものです。カニューレが皮膚と平行になるように、皮膚を助手と一緒にストレッチしながらの作業が、キーポイントとのことでした。そしてその後、2000年代に入って、アメリカや南米でも、この表層脂肪吸引が流行しました。しかしこの術式は、ガスパロッチ先生の原法がキッチリと踏襲されなかったため、南北両米大陸で、多くのトラブルを発生させました。具体的には、皮膚の壊死・凹凸・穿孔などです。中には、ガスパロッチ先生の考案したカニューレを外見の大まかなところだけ真似て、自分でカニューレを注文生産して使用し、トラブルを発生させたり、もっと効率の良いカニューレと称して、違うデザインのカニューレを作成して、それを他の医師に販売して、多くの患者さんの犠牲を強いた者もいました。そういったいきさつで、この、表層脂肪吸引は、あまり一般化せず、今日に至っています。

セルライトの治療と術後のタルミが防止できる、表層脂肪吸引

しかし、表層脂肪吸引の、タルミに対する効果はしっかりとしたものがあり、セルライトの治療効果もあります。そこで当院では、この表層脂肪吸引を踏襲して、それを径が細いカニューレで行うことで、セルライトの治療と、術後のタルミ防止に活用しています。カニューレの直径が細いため、凹凸を造らずに表層脂肪吸引が可能で、カニューレの材質に弾力性があることで穿孔や皮膚の壊死が防止できています。ただし、手術自体には、どうしても時間がかかってしまいます。しかし、手術時間が多少伸びても、安全性と、手術の結果に対する満足度には替えられないというのが、ポリシーです。

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