二の腕の脂肪吸引を受けたモニターさんです。年齢的には20代の方ですが、ダイエットでも二の腕の脂肪だけが落ちないことを主訴に、当院を受診しました。
二の腕を細くしたい場合、二つの要素を考慮する必要があります。一つは腕の実寸での周径(腕の周りの太さ)で、もう一つは腕の幅とでもいうべきものです。
脂肪を除去することによって、腕の実寸での周径は細くすることができます。しかし、深部の脂肪だけを除去してしまうと、腕自体は細くはなるのですが、皮膚に付いている脂肪が重力で引っ張られることになり、垂れ下がる結果を生みます。そうすると、腕の周径は小さくなるのですが、「外見上の」腕の太さは変化がないと言った結果になってしまうことがあります。つまり、腕が細くなるというよりも、腕が「薄く」なるといった現象です。この場合には、外見上の結果としては、不満足な結果となってしまうこともあります。もちろん、深い層の脂肪を除去しただけでも、十分に効果を出すことができる場合は存在します。それは、脂肪がみっちりと詰まっていて、皮膚をしっかりと押し広げているような場合です。簡単に言うと、ゴム風船が中身の空気でパンパンに膨らんでいる状態です。このような状態は、ダイエットの後では非常に稀な状態ということができますので、今回のモニターさんの例では当てはまるものではありません。
また、凹凸を作ることを恐れて、深部の脂肪のみを脂肪吸引してこのような結果を残した場合には、自然な姿勢で腕を下した状態では、残った皮膚に近い層の脂肪が、腋の下の脂肪によって押し出され、皮膚を押し拡げます。すると、二つ目の要素である、腕の幅といったものに対して変化を感じることがありません。「二の腕の脂肪吸引を受けたのに、細くなっていない」と感じてしまう原因の多くが、この腕の幅に関する要素が原因です。そのような場合でも、実寸を計測してみると、腕の周径自体は細くなっているのが観察されます。したがって、二の腕の脂肪吸引を行う際には、深い脂肪層から浅い脂肪層まで、まんべんなく脂肪吸引することが大切になります。しかし、太いカニューレ(吸引管)で皮膚に近いところの脂肪を脂肪吸引すると、皮膚の表面が凸凹になりやすいというデメリットがあります。そこで、細い吸引管を使用するわけですが、一般的に「細い」と言われているカニューレの直径は、約3mmがいいところです。しかし、この3mmというカニューレの直径は、当院においては太い部類に属します。そして、直径3mmのカニューレを使用しての脂肪吸引では、皮膚に近い表層の脂肪吸引を行った場合には、凹凸を作ってしまう可能性がまだまだ大きいと言わざるを得ません。
では、どれくらいの太さのカニューレを使用すれば、凹凸を作らずに済むのでしょうか?それは、当院での経験上、最低でも2mmの直径でないといけないと思われます。2mm以下のカニューレを使用したからといって、凹凸を100%防止することはできませんが、そこはやはり執刀医の力量と情熱にかかってきます。また、カニューレの先端のホール・パターン(先端の穴の形や数・位置)によって、適切な種類のカニューレを適切な方法で使用する必要があります。つまり凸凹を防止するのは、カニューレの細さとホールパターンに、執刀医の技術・情熱を掛け合わせたものであるということです。
1990年代の初頭に、表層脂肪吸引(Superficial lipoplasty)というのが世界的に、特に欧米諸国と南米諸国で流行したことがあります。これの元になったのが、イタリアのガスパロッチ医師の発表した論文です。この論文の要旨は、皮膚の直下の脂肪を吸引することで、術後、皮膚のたるみが解消され、脂肪吸引そのものの効果もさらに強化されるといったものでした。そして、そのための専用のカニューレも同時に発表され、これが大西洋を渡って、南北アメリカ大陸で行われたのです。この、表層脂肪吸引と言う技術のコンセプトは、まさに、先述の皮膚に近い層の脂肪を除去するというものに近いものであると言えます。しかし、ガスパロッチ氏自身の手術は成功を収めていたのですが、南北アメリカでは、皮膚の壊死や皮膚の表面の凸凹などが多発し、たくさんの訴訟問題が発生しました。この、表層脂肪吸引と言うテクニックは、テクニックそのものが難しく、専用のカニューレで手術すれば、ある程度の技術があれば成功するといった性質のものではなかったのです。また、このカニューレの太さにも問題があり、直径で3mmのものでした。これでは、ガスパロッチ氏か、非常に熟練した医師でないと、使いこなすことができません。
このように、プラズマリポは皮膚の直下の脂肪を比較的簡単に溶解して、表層の脂肪が皮膚を引っ張り伸ばすという現象をなくすことができます。そしてさらに、皮膚を引き締める作用もあります。この作用についても、レーザーと違って光がファイバーの先端から周囲360度すべての方向に発振される構造が、大きく影響しています。
レーザーの場合には、光がファイバーの前方に向けて真っ直ぐにしか発振されません。そうすると、皮膚の裏側に照射されるエネルギーは、皮膚の方向にファイバーの先端を向けない限り、ほとんど存在しないと言っていいでしょう。レーザーは直進する性質のため、皮膚の方向にファイバーの先端を向けてしまうと、皮膚を突き通してしまうことがあります。また、かなりの手間をかけなければ、非常に狭い範囲でしか皮膚に対してレーザーが照射されず、さらに照射のむらができやすいと言えます。プラズマリポやレーザーで皮膚の直下の脂肪を溶解しようとすると、ファイバーの先端を皮膚に近づける必要があるのですが、まっすぐにしか発振しないレーザーの場合には、本当に正確に皮膚に対して平行な照射をしないと、やはり皮膚を焼いてしまうことになります。
このような、表層の脂肪を除去する場合に、非常に操作方法が難しいレーザーに対して、プラズマリポの場合には、光がファイバーの先端から周囲360度すべての方向に発振されて、拡散する構造であるため、操作が比較的容易です。まず、脂肪を溶解する際には、皮膚の方向に先端を向けることなく、皮膚に対して平行にファイバーを動かすだけで、皮膚の裏側にエネルギーが照射されます。それは、光が360度すべての方向に発振されることで、前方の脂肪層内に光が発振されると同時に、上方の皮膚の裏側に向けても光が発振されるからです。また、皮膚の直下の脂肪を溶解する際に、ファイバーの先端を皮膚に近づけた時、光が拡散する性質から、皮膚を焼いて穴が開いてしまうということがありません。
このように、プラズマリポは、レーザー機器と比較しても、操作が容易で効果が強いだけでなく、皮膚に対する安全性も高いということができます。
ダイエットをしてもなかなか細くならないという二の腕ですが、これを細くするためには、通常の脂肪吸引だけではなく、表層の脂肪を除去し、さらに皮膚を引き締めてやることが、より大きな効果を望む場合には大切なことです。したがって、二の腕を細くしたい場合には、深いところに通常の脂肪吸引を行い、浅い脂肪層は、細いカニューレで表層脂肪吸引を行い、脂肪を除去すると同時に皮膚を引き締めるというのが、ベストなコンビネーションであるということなのです。
医療広告限定解除要件
副作用・合併症:皮膚表面の凹凸
費用:50万円(腕・肩・腋を含みます)