乳頭縮小術

目次

乳頭の下垂を修正
乳頭の左右差を修正
授乳の予定のある場合






乳頭の下垂

2人の子供を出産した後の、30代女性のモニターさんです。
出産・授乳を通して乳頭が大きくなり、授乳が終了すると、元の状態とは言わないまでも、大きさは大きさは小さくなったのですが、垂れ下ってしまったということです。大きさは特に問題なく、乳頭の垂れ下がりを修正を希望していました。

乳頭の垂れ下りは、改善しています。

こちらの写真でも、良く分かると思います。

手術方法は、まず、乳頭の下垂の原因である、根元の部分の皮膚を、一周、皮を剥くように切除しました。次に、長くなった乳管を折り畳むように縫合して、乳管を短縮しています。その後、乳輪のほうにある皮膚の断端と、乳頭側を縫合して、完成です。抜糸は一週間後。傷跡は、乳頭の根元に隠れ、引っ張ってみないと、表面からは見えません。






乳頭の左右差

乳頭の左右差のあるモニターさんです。右のみが大きく、左に揃えたいという希望でした。

このような、左右差のある症例では、なるべく両方を同じ大きさにするためには、手術前に行う麻酔を注射する前に、しっかりとマーキング(デザイン)をして、手術の計画を立てることが大切です。麻酔を注射してしまうと、乳頭が麻酔液で膨らんでしまって、正確な大きさが分からなくなってしまうからです。そうなると、たいていは、切り取りすぎになり、今度は反対側の乳頭が大きくなってしまいます。または、乳頭がほとんどなくなってしまうことさえあります。切除する量を決めるにあたっては、やはり経験がものをいう世界なのですが、初心者は、切除は少なめに決定するほうが無難です。人体の組織と言うものは、切除して小さくすることは比較的簡単なのですが、大きくしたり、再建することは、困難な場合が多いというのが、常識です。

乳頭の縮小術は、当院では比較的多い手術のうちの一つです。乳頭のサイズは、出産や授乳によって大きくなるばかりか、思春期のホルモン環境によっても、大きくなることがあります。出産や授乳によって大きくなるということは、裏を返せば、乳頭が大きいと、やはり年齢を感じさせてしまうという、厳しい現実があります。実際に、当院では、乳房・バストの若返りとしての位置づけで、この手術を希望される方が多いようです。

手術の方法は、高さ・直径・形などによって様々な方法があります。特に、これから授乳の機会が考えられるかどうかは、手術法の選択にとって、大きな要素となります。それは、乳頭は乳管(母乳を乳腺から外に分泌させる管)の集まりだからです。この乳管を塞いでしまっていいものかどうかは、これから授乳の機会があるかどうかによることは、容易にお分かりかと思います。乳頭縮小術の手術方法の選択に際しては、乳管を塞ぐかどうかということの他に、「どのような形にしたいか」または、現在、どういった形をしているかといったことも、考慮しなければなりません。
乳頭の高さを低くしたい場合、乳頭の根元の皮膚を、木の皮を剥くようにして、切除します。そして、残った先端の部分を、根元に押し下げるような形で、縫合します。
乳頭の直径を小さくしたい場合には、いろいろな方法があります。まず、乳頭の根元の直径が大きく、形が円形の場合には、ホールのケーキからショートケーキを切り出すようにして、一部を切除して、切除した部分を縫い縮めます。根元の直径が小さい場合には、乳頭の高さを低くする方法で、直径は十分に小さくなります。また、乳頭が楕円形になっている場合には、乳頭の中央部分を切除し、両方にできた半円形の乳頭を、中央で縫い合わせます。
乳頭の高さも直径も、両方を小さくしたい場合には、上記の手術法を組み合わせて行います。 






まだ授乳の予定がある場合

乳頭縮小のモニターさんです。20歳代の女性です。乳頭の大きさもさることながら、問題点としてはその高さにあり、それが下着に引っかかることがあるのが、モニターさん本人の悩みでした。  

手術法としては、乳頭の高さを減少させることを主目的とし、モニターさん自身が出産・授乳を未経験であることから、乳管の保存を考慮した方法を採用しました。具体的には、乳頭の根元の部分の皮膚を切除し、その中の乳管は保存したまま、乳頭の根元と先端に近い部分を縫合するものです。この手術法の利点は、乳管を保存できることと同時に、開放創がなく、すべての切開層を縫合してしまうため、傷の治癒が早く、しかも傷跡が乳頭の根元に隠れて、乳頭を引っ張ってみない限り、その存在がわかりにくいと言うことです。実際の術後の経過としては、1週間後の抜糸が終了すれば、傷跡はほとんどわからないといってもいいと考えられます。

乳頭の大きさを小さくする方は、ほとんどが授乳経験のある方です。それは、妊娠・出産・授乳に関して、乳頭が大きく変化するためです。妊娠すると、胎盤から大量のホルモンが分泌されるようになり、それが乳腺を刺激し、乳腺が授乳に備えて大きくなり始めます。それと同時に乳管も刺激を受け、その出口付近の収束した部分である乳頭も大きくなります。これは、新生児が乳頭から母乳を吸いやすくするための準備ということができます。ちなみに、乳頭と乳輪の色が濃くなる(黒くなる)のも、このホルモンの影響です。そして、このような準備が終了し、出産すると、脳下垂体という脳の一部から、母乳を作って送り出すのを促進するホルモンの分泌が盛んになり、授乳可能になります。そして、授乳が終了しても、乳頭の色の変化や大きさについては元に戻ることなく、黒く大きくなったままになってしまうのです。

今後、妊娠・出産の予定のない方の場合には、乳頭の形態とその治癒過程の速さを重視して、乳管を塞いでしまう方法を行います。それは、乳管温存をすることで、乳頭の縮小効果が小さくなるか、あるいは手術自体が複雑になる傾向があるからです。簡単に言うと、大きな効果が望めなくなるか、傷が多くなるかということです。そこで当院では、今後において出産・授乳の予定のない方については、乳管の温存をお勧めしていません。そのほうが、効果も大きく、傷も目立たないからです。まさしく、「シンプル・イズ・ベスト」といった方針での治療を行います。その場合には、傷は乳頭の根元に隠れてほとんどわからなくなります。しかし、無理に乳管を残そうとして複雑な術式を採用すると、傷が隠れないところにまで出現し、決して美しい仕上がりということができなくなってしまいます。具体的には、乳頭の側面や上面に傷ができ、術後3ヶ月くらいの間はいいのですが、傷の色がなくなってくる術後半年目くらいになると、ピンクや茶色の乳頭に白い傷が目立ってくるようになるのです。商売のうまい美容外科医なら、そのときに、「じゃぁ、乳頭の色を薄くすれば目立たなくなります。」と言って、次の治療につなげて、再び収益を上げる方向に持っていくのでしょう。患者さんのほうも、出産や授乳によって、乳頭や乳輪の色が濃くなっていますから、乗り気になると言うわけです。

しかし、今後の予定として、妊娠・出産の予定のある方は、母乳による育児の有用性を考えると、乳管を温存する手術法を採用します。

その場合には、その乳管自体の太さや長さが、出産・授乳を終了した後の方と比較して、大きくないと言う特徴があります。また、乳管自体も弾力性があり、比較的中央にかたまって存在しています。そこで、出産・授乳を済ませた方々向けの手術のように、大きく乳頭を切除してしまう必要はなく、乳頭側面や根元の部分の処理をしっかりとやれば、十分に効果的な手術が可能であると言えます。具体的には、出産・授乳を済ませた方の場合には、乳頭の大きさが、男性の親指並みに大きくなっている方を見かけることがよくあるのですが、出産・授乳の未経験者の場合には、大きいと言っても、人差し指の先程度のもので、それを小指の先程度にしたいと言う希望が大半なのです。これらのことを考え合わせると、出産・授乳の未経験者に対する乳管を温存する手術の場合には、傷跡もさほど目立つことなく、きれいに仕上がると考えていただけると思います。

乳頭縮小を希望される患者さんの中には、アトピー性皮膚炎を患っていらっしゃる方が多く見えます。

アトピー性皮膚炎は、その名の通り、皮膚の炎症がその症状などの病態の主体をなしています。そして、その炎症のために、下着などによる乳頭への摩擦刺激を過剰に受ける形となり、乳頭の皮膚の炎症がますます悪化します。その乳頭の皮膚の炎症は、やがて皮下組織へと波及し、慢性化をはじめることで、そこに成長因子を含めた様々なサイトカインが集束し、乳頭を大きくしてしまう結果となります。さらに、大きくなった乳頭は、ますます摩擦刺激を受けやすくなり、それがさらに皮膚炎と皮下組織の炎症を惹起し、乳頭はさらに大きくなると言う悪循環を繰り返します。そこで、乳頭縮小術を受けることで、乳頭の高さを低くすると、この悪循環を断ち切ることができます。実はこのモニターさんは、アトピー性皮膚炎を患っていました。いろんな術式のある乳頭縮小術のうち、主にその高さを低くする方法で手術を受けることにより、摩擦刺激と乳頭の肥大化を繰り返す悪循環を断ち切ることができ、現在はかなり楽になったとの感想を頂いております。

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副作用・合併症:左右差・細菌感染
費用・料金:20万円