二の腕・肩・腋

30歳代前半の、二の腕(上腕上部・下部)・肩・腋の脂肪吸引を受けたモニターさんです。腕は顔同様に、夏のシーズンは露出することが多い個所ですので、凸凹を作ったり、筋肉を浮き上がらせてしまっては、台無しになる個所ですので、採り過ぎは禁物です。
 


凸凹や採りすぎによる醜い形を作ることを防止するには、手術手技上のテクニックが必要であることはもちろんです。しかしながら、安定した結果を出すためには、医師一人一人のテクニックを研鑽することと同時に、器具や設備の上での進歩が不可欠です。そのことについては、当院では開院以来、オリジナル極細カニューレを使用することで、表面の凹凸に関する副作用を防止してきた実績があります。

脂肪吸引を論じる際に、カニューレという言葉は、一般的に雑誌やインターネット上に登場するようになりました。では、このカニューレの太さと言うものは、実際には一体どのようなものを指しているのでしょう? 

通常の、日本国内で医家向けに販売されている脂肪吸引用のカニューレは、ボディーの脂肪吸引用で最大の8㎜、顔面の脂肪吸引用で最小の直径3mmと言った具合に、その間のサイズとして1㎜刻みにサイズが存在します。そして、顔面の脂肪吸引用で直径3mm言うのが、最小のカニューレとなっています。この最小の3㎜のカニューレは顔面用ですので、ボディーに使用するにはその長さが短すぎます。したがって、一般的には直径4㎜のカニューレを以て、「細いカニューレ」と呼称しているのが一般的です。また、このときの直径と言うのは内径、つまりカニューレの内側の直径のことです。当然のことですが、カニューレには管の厚みが存在し、それが0.4㎜から0.5㎜あります。したがって、顔面用の3㎜のカニューレと言うのは、外径で言うと、約4㎜ということになります。
つまり、他院において「細いカニューレ」と言った場合には、ボディーの脂肪吸引の場合、一般的には内径で4㎜、外径だと5㎜のカニューレを使用していることになります。
このように、カニューレの太さは、美容外科の広告やサイト上では、一般的には内径で表示されているのが現状です。しかしながら、実際のカニューレの太さと、それに伴う皮膚の穴の大きさや脂肪吸引の安全性を論じるには、外径がキーポイントになってきます。 

そこで今から約20年前に、あるメーカーから、カニューレの肉厚が0.2㎜というカニューレが発売され、それがやがて「マイクロカニューレ(micro-cannula)」と呼ばれるようになっていきました。その発売の動機は、アメリカから上陸したツーメッセント・ライポサクション(Tumescent liposuction)を行うためです。ツーメッセント・ライポサクション(Tumescent liposuction)とは、皮下脂肪に止血剤や局所麻酔薬を含んだ生理食塩水であるところの、ツーメッセント液を大量に注射して皮下脂肪層を膨らましておいてから、脂肪吸引を行う方法のことです。通常の注射針では、このツーメッセント液を大量に効率よく皮下脂肪に注入することができず、非常に多くの時間と労力を必要としていました。そこで、注射針に代わる、ツーメッセント液を効率よく注入できるような器具として、カニューレの肉厚が0.2㎜というカニューレが開発されたのです。このカニューレは、当初の形態としては、その肉厚や太さを除いては、脂肪を吸引するカニューレと同じものでした。そして内径は1.6㎜、2㎜、2.5㎜、3㎜、3.5㎜の5種類です。外径にすると、それぞれ約2㎜、2.5㎜、3㎜、4㎜ということになります。これらのうち、内径1.6㎜と2㎜は顔面用、3㎜と3.5㎜がボディー用となります。

初期のマイクロカニューレ(micro-cannula)は、このように通常の脂肪吸引用のカニューレと形態上は同じものでした。そのため、このマイクロカニューレで脂肪吸引も行ってしまおうという美容整形・美容外科の医師たちがいました。そして、彼らは脂肪吸引の際にこのマイクロカニューレ(micro-cannula)を使用することを売りとして、ビジネスを拡大させていったのです。
しかしながら、このマイクロカニューレを使用する脂肪吸引の場合には、先端の形状(ホールパターン)が通常の脂肪吸引カニューレと同じであるため、手術時間が非常に長くかかってしまいます。したがって、患者さんが麻酔にかかってベッドで動かずにいる時間も長くなり、静脈血栓症の発症も増加する要素を増やしてしまいます。

このようなマイクロカニューレは、元々はツーメッセント液を注入するためのものですから、所期の目的を効率よく遂行できるように進化していきました。
マイクロカニューレの進化とは、先端の側面にあるホールパターン(液が放出される穴)と先端の形状です。具体的には、ホールパターンは小さな穴をいろいろな方向に数多く設置すること。そして先端の形状は、それまでの半球状の物から、先端が鈍ではあるがより細くなった弾丸型とすることなどです。これらの進化によって、ツーメッセント・ライポサクション(Tumescent liposuction)の際には、ツーメッセント液を万遍なく効率よく脂肪層に注入できるようになったのです。

そして一方、マイクロカニューレを脂肪の吸引に使用するグループは、マイクロカニューレを脂肪吸引に使用するカニューレとしても、進化させました。
その吸引用カニューレとしての進化の一応の完成形として、カリフォルニアの皮膚科医でツーメッセント・ライポサクション(Tumescent liposuction)の提唱者でもある、Dr. Jeffrey Kleinが発明した、Capistranoという形のカニューレです。このカニューレは先端付近のホールパターンが独特で、大きな穴が一つと、それよりも手前に小さな穴が多数、らせん状に配置されたものです。このカニューレのホールパターンは、数学者でもある発明者が、流体力学を駆使して設計したものです。これを使用すれば、従来のマイクロカニューレを使用した脂肪吸引とは違い、その手術時間を半分以下に短縮することができます。

また2000年代に入り、マイクロカニューレは脂肪を吸引するためのカニューレとして、別の面でも注目され始めることになります。 

それは、マイクロライポサクション(micro-liposuction)や、ランチタイムライポサクション(lunch time liposuction)と呼ばれる脂肪吸引が、アメリカの西海岸カリフォルニアや南部のフロリダで流行し始めたことによります。
マイクロライポサクション(micro-liposuction)とは、読んで字のごとく脂肪吸引量は少ないのですが、ボディーのカーブをより精密にデザインし、美しいボディーラインを創造する脂肪吸引のことです。
また、ランチタイムライポサクション(lunch time liposuction)とは、ランチタイム、つまり昼食時間の1時間以内に終了してしまう脂肪吸引のことで、やはりマイクロライポサクション(micro-liposuction)同様に脂肪の吸引量が少く、狭い範囲の脂肪吸引であると理解すれば正解です。
これらの脂肪吸引の場合には、その精密なデザイン性や手軽なイメージを現実化するために、より細いカニューレの使用が求められたのです。それが、マイクロカニューレ(micro-cannula)が注目され始めた理由でもあります。
このようにマイクロカニューレ(micro-cannula)は、ツーメッセント液の注入用としてだけではなく、脂肪吸引用のカニューレとしても注目され、普及してきました。
しかしながら従来のマイクロカニューレは、いかに細いと言っても、1.6㎜、2㎜、2.5㎜、3㎜、3.5㎜の5種類です。さらに、いかにマイクロライポサクションとして精密なデザインを行うと言っても、脂肪層が日本人とは比べ物にならないほど分厚いアメリカ人での話です。そこで、当院ではこれらを日本人用のサイズに改良し、さらに脂肪吸引する脂肪層の深さや場所によって、10種類以上の先端のホールパターンを準備しました。
具体的には、当院の極細カニューレは従来のマイクロカニューレよりもさらに細く、内径では0.8㎜、1.0㎜、1.2㎜、1.6㎜、2㎜となります。これらのうち、0.8㎜と1.0㎜は顔面用で、太さは、注射針と言ってもおかしくないくらいのものです。1.6㎜と2㎜はボディー用です。他院で使用されている通常の顔面用脂肪吸引カニューレが3㎜で、ボディー用脂肪吸引カニューレが4㎜と5㎜ですので、内径で見ても、太さは2分の1から3分の1です。これが外径になると、3分の1から4分の1になるのです。また、従来のマイクロカニューレとの比較においても、当院の極細カニューレは約半分の太さになっています。

医療広告限定解除要件
副作用・合併症:肥厚性瘢痕
費用・料金:肩・腋・上腕上部・上腕中部、全部で50万円