太もも・ヒップ

太ももとヒップに対して、脂肪吸引を施行したモニターさんの症例写真です。元々は、あまり太さの無い太ももなのですが、やはり年齢とともに変化してきた体型が気になっての、手術希望でした。

このような場合、ただ闇雲に患者さんの希望する部分の脂肪を除去するというのは、サイズはそれなりに小さくなるのですが、その結果として、良い形の太ももを作成できるというわけにはいきません。やはり、年齢による変化というものを考慮した皮下脂肪の除去が必要になってきます。つまり、年齢によって崩れてきた体型を、元の若い体型に戻すようなマインドを以て、手術のデザインを行うことがたいせつになるということです。

年齢による体型の変化というものには、一定の法則のようなものがあります。
それはかなり簡単なもので、脂肪組織の厚みが、相対的に下半身に多くなるということです。また、体重増加に伴って、下半身に皮下脂肪組織が多くなりやすく、上半身には脂肪組織がつきにくいということです。これらのことは、実際に、健康のためや美容のためにダイエットを行い、それが終了した後にリバウンドした体験のある方は、経験的に解っている場合が多く存在します。つまり、ダイエット中は上半身が痩せやすく、リバウンドは下半身から始まるというものです。つまり、下半身に近いところの太さが、年齢を感じさせる体型の原因にもなるということです。
このような、年齢とともに発生してくる下半身太りと言う症状についても、脂肪がつきやすいある一定の部分と言うのが存在します。
それらを太ももとヒップに限定して列挙していくと、ヒップの下半分、太もも外側の上方、太もも内側の上方、膝の内側となります。

ヒップの下半分については、ヒップの皮膚の余りによって皮下脂肪がそれにつれて下がってくるということは勿論、その他に、ヒップの筋肉、特に大殿筋のボリュームが失われてくることによって、ヒップの後ろ方向への張り出しが失われ、ヒップの体積自体は小さくはなるのですが、やはり皮下脂肪と皮膚の余りが発生するということができます。そして、この部分の脂肪組織が太ももの後ろまで大きく垂れ下がらずに、このヒップの下の部分で溜ったようにして増加するのは、ヒップと太ももの境目に、皮膚と筋膜をつなぐようにして、脂肪層の中にコラーゲンを主体とした繊維質が分布しているからです。この繊維が皮下脂肪組織のヒップから太ももの後ろ側への滑落を、ハンモックのようにして支えています。しかし、このヒップを支えるハンモック状の繊維も、加齢に伴ってゆるみが発生し、ヒップの垂れ下がりの増加に加担してくることになります。このようにして、ヒップに関しては、その下半分のボリュームが相対的に増加するとともに、いわゆる垂れ下がりが発生し、後ろ姿において脚を短く見せてしまうことにもなります。

太ももの外側の上方においても、やはり脂肪組織の滑落と、筋肉や骨格の働きが関係しています。
太ももの外側上方というのは、ちょうど、ヒップと太ももの間の部分の外側です。この部分には、年齢とともに皮下脂肪がつきやすく、しかも取れにくい部分となっています。この部分に、年齢とともに皮下脂肪増加しやすいのは、元々、若い時には、この部分の脂肪は、もっと上の部分、すなわちヒップの外側に存在した皮下脂肪組織だからです。この、ヒップの外側の皮下脂肪組織は、元々、股関節と骨盤を外力から守るために、分厚くなりやすい傾向を持つものです。しかし、この脂肪組織が、人間が二足直立歩行を始めたために、年齢とともにその支持組織であるところの、脂肪組織内のコラーゲンを主体とする繊維質や皮膚のタルミとともに、下に下がってくるのです。そして、太ももの外側上方を太くしてしまいます。さらにこのようなタルミによって、皮下脂肪組織が太ももの外側上方に移動することにより、ヒップの真横である股関節の部分からは皮下脂肪組織が減少し、逆に凹んできます。そうするとますます、太ももの外側上方は、この部分とのコントラストから、太く見えるようになってしまいます。このような状態を、欧米では俗に「乗馬ズボン変形(horse riding trousers deformity)」と言います。つまり、西洋の乗馬ズボンのように、太ももの外側が太くなって、横に張り出している状態を、そのものズバリと表現したものです。そして、元来、ヒップの大きさがあり、そこには当然のことながら皮下脂肪が分厚く乗っている西洋人女性の場合、このような太ももの外側への皮下脂肪の移動は、その皮膚の薄さと弾力性の無さと相俟って、顕著に出る傾向にあります。そして実際に、この部分の脂肪吸引を、ヒップと組み合わせて行う場合も多いようで、施設によっては、範囲的にヒップに含める形をとっているところもあるくらいです。日本人の場合には、さすがに欧米人のような大きな変形は来さないようですが、やはりこのような変形は発生してきます。つまり、脚線の変化というものです。

太ももの内側に関しても、やはり上から下方向にかけて、皮下脂肪が下がってくるという現象がみられます。
20代の時には、この部分の上のほうが、両脚の間でくっついてしまうのが、悩みの場合が多いようです。しかし、このくっつくところが、年齢とともにもっと下のほうへと変化してきます。つまり、太ももの内側の皮下脂肪層の位置が、上から下へと下がってきて、太ももの上方ではなく、もう少し下の部分が太くなるのです。そしてこれは、後述しますが、膝の内側の皮下脂肪層へと繋がり、ちょうどドミノ倒しのようにして、膝の内側に皮下脂肪層によるふくらみを形成してしまうのです。このような現象を予防するには、若いうちから、太ももの内側にできるだけ皮下脂肪をつけないことと言うことになります。この部分には、内転筋群と言って、脚を閉じる時に使用する筋肉群があり、この筋肉を鍛えることで、その部分の皮下脂肪が分厚くなりにくいという性質があります。しかし、あくまでも若いうちから(思春期から)継続的に行っている状態でないといけません。それは、皮下脂肪細胞の数量というものは、思春期を過ぎるとほぼ決定されているからです。そして、それを継続させることが大切なのは、言うまでもありません。つまり、脚を閉じる運動、すなわち常に脚をきちんと閉じて揃えておくということが大切なのです。たまに、若い女性が電車の中で、膝を拡げて居眠りをしているのを見かけます。また、歩行しているのを見ても、ハイヒールを履いているにもかかわらず、脚をきちんと伸ばさず、踵とソールを同時に地面につけ、ドスドスと歩いているのを目にします。これらのような、美しくない脚の動きは、太ももの内側に力が入っておらず、その部分には皮下脂肪がつき放題になってしまうのです。そしてその皮下脂肪が、年齢とともに太ももの内側の脚線を崩していく元となります。
膝の内側の皮下脂肪については、やはり太ももを太く見せてしまうばかりか、脚線の老化を感じさせてしまう要素の一つとも言えるでしょう。 

膝のところは、元々皮下脂肪がつきにくいところです。こう言うと、膝の上や膝の内側に脂肪がついているのは、いったい何なんだということになりますが、これは、正確には、関節の周囲には付きにくいということです。なぜなら、関節は曲げ伸ばしするため、その周辺にはあまりたくさんの皮下脂肪が付着していては、機能的に問題があるためです。したがって、正確には、関節の曲げ伸ばしに邪魔になるとことには、皮下脂肪がつきにくいと言い換えるべきかもしれません。つまり、関節の曲がるところそのものには、皮下脂肪がつきにくいのですが、関節の周辺はしっかりと皮下脂肪が分厚くなるということです。
以上のことを踏まえて考えると、膝の内側に関しては、太ももの内側の上のほうからタルミによって下がってきた皮下脂肪が、膝の関節のところで堰き止められると考えられます。つまり、川の途中で流れがダムによって堰き止められて、上流の水位が上昇するというのと同じと考えれば、解りやすいと思われます。このようにして、年齢とともに崩れてくる脚線の一部である、膝内側の皮下脂肪の沈着が始まってきます。

このように、太ももの外上方、内側、膝の内側と言うのは、脚線と言うことを考えた時、年齢による変化が感じられやすいところであるということです。
逆に、これらの部分に皮下脂肪が少ないと、若々しい脚線と言うことになります。そして、脂肪吸引で太ももを細くするために皮下脂肪を除去する場合には、これらの部分の皮下脂肪を十分に除去することが、脚線の若返りとも言うべき効果を発揮するということです。さらに、20台など比較的まだ若いうちに、太ももの脂肪吸引を考える場合には、これらの部分を予防的にしっかりと脂肪吸引することで、年齢による脚線の崩れを防止できます。また、特に太ももの外上方は、ヒップを引き締まった形にするのに有効な部分です。そして、膝の内側については、スカートをはいた時には見える部分であり、この部分が細いことによって、太もも全体が細いような認識を受けることができます。つまり、太ももの外上方・膝の内側・太ももの内側というのは、太ももの皮下脂肪除去においては外せない部分であるということができるのです。

左から順に、術前・術後1週間・術後1カ月・術後3ヶ月

医療広告限定解除要件
副作用・合併症:肥厚性瘢痕
費用・料金:ヒップ+太もも全体(膝周囲含む)=80万円