腕から肩、そして腋の一部まで脂肪吸引とともに表層脂肪吸引を受けた、30歳代のモニターさんです。皮膚のタイトニングが得られるという、表層脂肪吸引の特徴を発揮できた症例と思われます。
表層脂肪吸引は、カテゴリー上は脂肪吸引のなかの一つの方法です。脂肪層の中でも、皮膚に近い浅い層の脂肪を吸引するという意味です。しかしながら、表層脂肪吸引は、皮下脂肪層を吸引して減少させるという効果もさることながら、皮膚の引き締め効果を出して、術後のタルミの発生を予防したり、逆にたるみを取ったりすることができます。
年齢とともに太くなってくるという二の腕ですが、これが、皮膚のたるみによる、太く見えるようになってくるという現象の一端であるということは、結構、知られていないことです。
よくある話として、腕を挙げていると、その太さはさほど気にならないが、腕を体の両側に下ろし、気を付けの姿勢をとった時に、腕の太さが強調されるという現象が見られます。この現象は、腕を下したときに、側胸部によって腕の内側の脂肪や筋肉が前後に押し出されることによるものです。押し出すものは、当然ですが側胸部の肉です。この現象が、加齢とともに増強されてきます。しかし、少しおかしいと思われる向きもあるかもしれません。それは、年齢とともに、痩せるのは上半身から、太るのは下半身からということを、実体験上、よく知っているからでしょう。実際に、そのように上半身から痩せ、下半身から太るというのは、年齢とともに発生します。それなのに、どうして二の腕だけは、上半身にあるのに太くなってくるのか?人間の進化の過程から考えると、四足歩行というところから始まったとすれば、二の腕は前脚ということで、太ももなどの下半身から太るというのとは、あまり矛盾はなさそうです。しかしここで言いたいことは、腕の皮膚と脂肪を支える組織のたるみも、この、加齢とともに腕が太くなってくるという現象に、大きく関与しているということです。つまり、二の腕の皮下脂肪の量は、若い時とは変化していないか、あるいは減少しているにもかかわらず、それが皮膚のたるみや脂肪組織内のコラーゲン繊維の減少や脆弱化によって、側胸部の肉によって、前後に押し出されやすくなっているということです。これは即ち、二の腕が変形しやすくなったということで、その原因は、ひとえに皮膚のたるみが大きな原因であるということができます。
年齢とともに二の腕が太くなるという現象は、皮膚のたるみが大きな要素であることが理解できたかと思います。
そこで表層脂肪吸引なのですが、前述のとおり、表層脂肪吸引には効率よく皮膚に対する短縮作用が実現できるため、このような皮膚のたるみに起因する二の腕の太さに関しては、比較的良い結果を獲得することができます。また、これは脂肪吸引全般に言えることなのですが、脂肪組織の中には、脂肪吸引を行うことによって、コラーゲンが新生されます。この脂肪組織内のコラーゲンもまた、脂肪組織の変形を防ぎ、二の腕を太く見せるのに対し、予防的に作用します。弾力性を失った、フニャフニャした脂肪組織を、弾力性のあるしっかりした脂肪組織に変化させるというものです。つまり、脆弱になった建物に対して、「梁(はり)」を入れてやって補強するようなものです。
しかしながら、表層脂肪吸引の、皮膚を縮める作用や、脂肪組織に対して弾力性と硬度を与える効果というのにも、限界があります。つまり、大きなたるみに対しては、しっかりと効果が解り、そして大きな満足感を得るということが、不可能な場合があるということです。そのように大きなたるみが腕に発生している場合には、アームリフトという手術を行うことになります。アームリフトというのは、読んで字の如く、腕のリフトアップで、フェイスリフトの二の腕版と考えれば、ほぼ正解です。メスを使用して、伸びてしまった腕の皮膚を切除します。切開線は脇の下から、腕の内側を通って、肘にかけてです。このアームリフトは、アメリカではここ2、3年、急激な手術件数の増加のある、人気手術の一つとなっています。しかし、我が国日本では、どうしても市民権を得た手術とは言えないのが現状です。それは、二の腕のほぼ全長に及ぶ長い切開線と、それに伴う傷跡の問題があるからです。その傷跡の問題があるにもかかわらず、アームリフトがアメリカでは人気手術となっているのは、3つの理由があります。
一つ目は、人種による傷の目立たなさ。傷跡というのは、きれいに縫合された場合には、通常、体質などの個人差はありますが、術後半年くらいすれば、赤い色がなくなり、白くなります。それは、傷の組織がメラニン細胞を持っていないためです。その時に、白人の場合には、白い皮膚に白い傷が残るため、あまり目立つことはありません。しかし、黄色人種の場合には、肌色の皮膚に白い傷になるため、白人よりも目立ってしまうことが多いというわけです。
アームリフトがアメリカで人気のある手術となり、今や完全に市民権を得た理由の2つ目は、やはり体型の差です。一般的に、太るときの体型について大きく分けると、よく知られている通り、リンゴ型と洋ナシ型です。リンゴ型は上半身優位、洋ナシ型は下半身優位と言われていますが、実際は、リンゴ型は全身万遍なくと言ったほうがいいでしょう。アメリカ人を含む欧米人は、これらのうち、リンゴ型が多いとされています。その場合、上半身に位置する二の腕は、洋ナシ型よりも肥満の影響を受けやすく、皮下脂肪が付きやすく、腕が太くなります。そして、やはり健康のことを考慮するようになった際に、ダイエットなどで体重を落とすと、脂肪が付きやすかった分、脂肪の減量も大きく、その分、たるみも大きいというわけです。また、ここでも黄色人種と白人の皮膚の性質の差という要素の関与があります。白人の皮膚は、黄色人種の皮膚よりも薄く、弾力性に欠けるため、伸ばされてしまうと、そのあとの縮みが悪く、たるみとなってしまい易いのです。さらに、皮膚と同時に皮下脂肪も柔らかく、弾力性に欠ける傾向があります。実際に白人の脂肪吸引を行ってみると、日本人の平均的な皮下脂肪よりも、サクッサクッと言った感じで吸引できます。つまりこのことは、皮下脂肪において、脂肪細胞を集めている膜の構造が脆弱であるということで、脂肪組織内に存在するコラーゲンを主体とした繊維成分が脆弱であるということができます。したがって、脂肪組織自体も変形しやすく、皮膚も伸びやすく、そこに体重の減少に伴う脂肪組織の減量が伴えば、たるみも大きくなってしまうということです。
そして最後に、傷に対する日米における意識の差というものがあります。日本人の特性として、細かいところにまで、良く言えば気配りが行き届く。悪く言えば、細かいところにまで神経質なところがあります。よくあるのは、「そんなところ、誰も普段は見ていない」と言ったところまで、気にする傾向があるということです。顔などの場合、酷い場合には、鏡を顔から5㎝ほどにまで近づけて「この傷が」だとか、無理やり表情を作って「この痕が」とか言います。しかし、日常生活上、誰もそんなに近くには近づかず、さらに、そのような表情をすることがないにも拘らず、それが気になるのです。ちょっと精神病との境界領域のような感じで、極端な例を挙げましたが、日本人患者の傾向として、実際に存在することです。このような日本人には、たとえ細い傷であっても、肘付近にまで及ぶ長さの傷は、なかなか容認できるものではないでしょう。そこで、当院のアームリフトは、皮膚を縮める効果のある表層脂肪吸引を組み合わせ、傷を腕の半分のところまでに絞り、半そでシャツであれば隠れてしまう程度に抑えるようにしています。
医療広告限定解除要件
副作用・合併症:肥厚性瘢痕
費用・料金:50万円