切開創が乳輪周囲のみのモニターさんです。年齢的には40代後半なのですが、皮膚の弾力性と伸展性が白人並みにある状態なのと、元々のバストの形が、この方式に適していたため、切開創を乳輪周囲のみに限定することができました。
乳房の縮小については、あまり多くの組織の切除をしていません。それは、乳房の体積そのものはそんなに大きくなく、ブラジャーのカップが、乳房の部分だけでフィットされており、カップの上方はかなり大きな隙間があったためです。バストを吊りあげた結果、乳房の体積が上のほうに来たため、バストの下部の体積は減少し、上部の体積が増加しました。その結果、ブラのカップは2カップ下がったのですが、術前にはかなりたくさん存在した、カップの上方の隙間が改善されました。
ブラジャーのカップについては、メーカーやブラジャーのタイプによって、その大きさとしての呼び方は様々です。たとえば、同じ人が様々なメーカーで様々なカップの大きさを着用したときに、あるメーカのブラジャーではBカップなのに、ほかのメーカーではCカップ、そして、同じメーカーのブラジャーにもかかわらず、あるタイプのものではCカップなのに、あるタイプではDカップ、などと言うことは、ざらにあります。つまり、同じ大きさのバストであっても、その形によって、カップの大きさは有に1から2カップ違うのが当たり前なのです。
こちらのモニターさんでは、術前に、バストの上のほうのボリュームが少ない場合には、特にその傾向が強く、実際の乳房体積以上に大きなカップサイズとなっていることが多い傾向にあります。その場合、乳房のつり上げで、バストの下のほうから上のほうにボリュームを変化させるだけで、カップサイズが1から2カップ変化します。実際には、1から2カップ、カップサイズな減少するのです。
乳輪だけから手術する、この方法は、以前にもお伝えした通り、手術の適応が限られています。まとめると、以下の2つの項目が大切になります。
1)皮膚が薄いこと
2)色白であること
そして、元々のバストの形も、重要な要素です。乳房の形を考えるときに、座った状態で、横からや正面からの形を考えがちです。もちろん、現状の、垂れ下がったり大きすぎたりといったことは、これらの方向からの形で判断します。しかし、この、乳輪周囲だけから手術が可能かどうかといった、手術適応の検討に関しては、そういうわけにはいきません。それは、この手術では、乳輪周囲の皮膚を切り取り、内側の切開線と外側の切開線を縫い合わせるため、これらの切開線の長さの差が少ないことが、手術適応を決定するために重要なことになるからです。したがって、この場合には、切開予定線を決定したら、一度、深くお辞儀をした状態になってもらいます。実際には、胸板を真下に向け、乳頭が一番低い位置にくるようにし、乳輪周囲の内側切開線と、外側の切開線の長さを比較してみるのです。その際、切開線同士の長さの差が少ない場合には、この手術のよい適応となるのです。具体的には、胸板を真下に向けたときに、バストが円錐形に近い状態になれば、この手術の適応と考えていいでしょう。