表層脂肪吸引で、乳房縮小+吊り上げ

脂肪吸引・表層脂肪吸引で、乳房の縮小と吊り上げが可能です。効果は、従来の皮膚の切除を伴う手術に比べると、どうしても劣りますが、若い女性で、バスト自体には傷をつけたくないという希望があれば、良い適応だと思われます。  

目次

症例 その1 サイズダウンと吊り上げ
症例 その2 吊り上げ主体








表層脂肪吸引でバストの縮小と吊り上げ
その1

脂肪吸引・表層脂肪吸引で、乳房の縮小と吊り上げを行ったモニターさんです。左右差の修正もかねての手術です。未婚で出産経験もなく、当然、授乳経験もない状態の若い女性ですので、バスト自体には傷をつけたくないとのことで、本人の希望により、脂肪吸引・表層脂肪吸引での手術を選択しました。  

こちらのモニターさんの場合には、バストの構成成分が乳腺優位ではなく、皮下脂肪優位であったため、脂肪吸引で非常によく効果が出ました。術後は乳頭の位置が、向かって左側で約2cm、向かって右側は約3cm上昇しました。さらに、ブラのカップは向かって右側で約2カップ、向かって左が約3カップ小さくなり、長年苦しんでいた肩こりも軽快しました。カニューレの挿入口は、アンダーバストのシワに沿って左右各一か所と、乳輪周囲のモンゴメリー線の存在するところです。術後の写真上は、それらの挿入口がまったくわからない状態まで治癒しています。術後の写真は、手術日から数えて約3か月後に撮影したものです。このように、皮下脂肪優位な状態での乳房の縮小に関しては、乳腺の直接的な切除を行わず、脂肪吸引だけでも、効果が非常によく出るという特徴があります。

表層脂肪吸引の効果は、皮下脂肪を除去するという、バストのボリュームを減少させる効果だけではありません。確かに表層脂肪吸引は、その名の通り、脂肪吸引であり、皮下脂肪を除去する効果があります。しかしながら、表層脂肪吸引は、極細のカニューレで、皮膚直下の脂肪を吸引するため、皮膚を縮める作用があります。また、脂肪吸引がクーパー靭帯に作用した場合には、靭帯に刺激が加えられることで、やはり靭帯を強化して縮めることになります。これらのことは、靭帯や皮膚のコラーゲン繊維に刺激が作用し、それを作り替えるということです。この働きを、コラーゲンのリモデリングと呼びます。リモデリングされたコラーゲンは、弾力性を回復し、縮んだ状態になり、皮膚の場合には引締め効果、靭帯の場合には吊り上げ効果を発揮します。このような脂肪吸引・表層脂肪吸引をバストに作用させた場合、バストの皮下脂肪が吸引されて少なくなることで、そのサイズが小さくなるばかりか、乳腺を取り囲んで胸壁に固定しているクーパー靭帯に作用し、乳腺を上方向に吊り上げていく作用や、皮膚にも作用し、余って垂れ下がった皮膚を引き締めていく作用も発揮することになります。したがって、脂肪吸引を表層にまで施して、表層脂肪吸引を行うことは、脂肪を取り除いてバストのサイズを小さくするといった単なる脂肪吸引とは違って、脂肪を取り除くことはもちろん、乳腺を支える靭帯とバストの皮膚を縮めることによって、乳房(バスト)の吊り上げ効果も発揮できるということです。

バストの構造は、乳腺が脂肪の中に浮かんでいる構造になっています。そして乳腺は乳管によって乳頭と接続されていて、その他の部分はクーパー靭帯という靭帯組織が袋のような形になって、脂肪とともに取り囲み、周囲を筋肉に接続させています。そして、クーパー靭帯の外側にも内側にも脂肪組織が存在します。バストの大きさと言うのは、この、クーパー靭帯の外側と内側の脂肪組織と、乳腺の大きさの合計で決まります。バスト(乳房)が大きい場合には、当然のことながら、このクーパー靭帯の袋も大きくなっています。そこでバストが大きい場合には、このクーパー靭帯の袋が大きいことと、重力が下向きに加わることで、クーパー靭帯の中で、乳腺の入っている袋を筋肉に繋げている部分を伸ばしてしまう現象が発生します。これが、大きなバストを持った女性の胸が、垂れ下がりやすい原因です。そして逆もまた真なりで、垂れ下がったバストは、比較的大きいということもできます。つまり、下垂の全くない巨乳と言うのは、自然ではないということです。

大きなバストは垂れ下がりやすいというのは、このようにクーパー靭帯の伸びが原因の一つです。しかし、元々はあまり大きくなくても、垂れ下がってくる原因があります。
一つは肥満です。肥満することによって、クーパー靭帯の袋の中にある脂肪組織も大きくなります。そうすると、その袋を内部から慢性的に押し続けることになり、袋が伸びて大きくなります。さらに、バスト自体も重さが加わって来るため、クーパー靭帯の、袋と筋肉をつなげている部分も引き伸ばされてきます。
もう一つの原因は妊娠です。妊娠すると、乳腺が少しづつ大きくなり、授乳に対する準備が始まります。そのことは、やはり、肥満の時と同じように、クーパー靭帯の袋を大きくし、筋肉へのつながりの部分も重力によって引き伸ばす形となるのです。
これらの現象が発生した後、肥満の場合にはダイエットなどで体重を元に戻したときに、妊娠の場合には授乳が終了すると、以前の同じ体重の時や妊娠前よりもバストが垂れ下がってしまいます。妊娠・出産に伴うバストの垂れ下がりの防止策は、ブラジャーでしっかりと支えておくということ以外、なかなか現実的なものを提案することができないのですが、肥満については自己管理によって防止することができます。  

体重が増えることによって、バストの体積は増加し、バストは大きくなるのですが、その状態で喜んでいると、ダイエットで体重を絞った時に、肥満する前よりもバストが大きく垂れ下がってしまうという、大きなしっぺ返しを受けることになるということです。もし、健康体重を上回っていることで、健康のためにダイエット・減量をしなければいけない場合には、これはどうしてもそちらを優先するべきです。したがって、ダイエット後にバストが垂れ下がってしまったのであれば、この場合には、手術を受けることは、一つの選択肢になると思われます。その他の選択肢としては、高生着率脂肪注入やバストグロウで、乳房体積を増やしてやることも考慮するといいでしょう。この場合には、体重を増やさず、維持するだけで、体重が増えた時のようなバストサイズを獲得できるという利点があります。しかし、バストのサイズを変えないか、あるいは小さくしたい場合には、表層脂肪吸引がいい適応となります。







表層脂肪吸引でバストの縮小と吊り上げ
その2

表層脂肪吸引で、小規模なバストの縮小と吊り上げを行ったモニターさんです。左右差もできるだけ修正しました。

バストが下垂する原因は、いろいろな原因があります。まず、解剖学的に考えていくと、バストの構成要素全てに、その原因を求めることができます。バストの構成要素とは、体の表面から順に、皮膚、皮下脂肪、乳腺、乳腺下脂肪層、大胸筋、となります。そして、皮下脂肪層には、乳腺を取り囲むようにして、クーパー靭帯と言う靭帯が存在し、それが周囲の筋膜に向かって伸びています。バストの下垂に関しては、乳腺自体が下にさがっているタイプの場合には、このクーパー靭帯の緩みによる場合が多く見られます。また、乳腺の下がりがあまりない状態でも、下垂が見られるのは、やはり皮膚の余りが大きな要素であるということができます。これら、クーパー靭帯と皮膚の余りと言うのは、バストの下垂の原因として大きな2つの要素であるということができますが、それぞれが単独で下垂状態を作っているのではなく、実際には2つの要素が両方、ある程度の割合で関与している場合が多いということができます。

バストの下垂に関して、比較的多いケースとしては、授乳後の下垂というものがあります。授乳期の乳房は乳腺が大きくなり、同時にそれを取り囲むクーパー靭帯も引き延ばされます。その際、ある程度の引き延ばしであれば、靭帯は元の状態に復元します。しかし、その限度を超えてしまうと、復元することなく、伸びた状態のままになってしまいます。クーパー靭帯の役割は、乳腺を、筋肉の上にある筋膜に固定し、その形態を保つことですから、それが伸びてしまうと、乳腺が重力に抵抗できずに下垂します。簡単に例えると、サイズ的にちょうどいいブラジャーをしていた状態から、ブカブカのブラジャーに着替えた状態だと考えると、分かりやすいでしょう。

もうひとつ、比較的多いバストの下垂の原因は、激やせ後の下垂です。この場合には、皮下脂肪層の体積減少が、最も大きな原因です。肥満していた時に、乳房はその皮下脂肪層の体積を増加させ、大きくなります。授乳期の乳腺の肥大とは違って、この場合には、クーパー靭帯には大きな影響は及ぼしません。しかし、皮膚に対しては引っ張り伸ばす力が働き、その復元力の限界を超えると、皮膚は元に戻らず、バストの下垂が生じます。この皮膚の伸びという現象は、授乳の際にも発生します。また、激やせの場合には、ホルモンバランスを壊すことが多く、乳腺自体もやや小さくなる傾向があり、クーパー靭帯を通した、授乳後の状態と同じような下垂のメカニズムが、少しだけ働くこともあります。しかし、引き延ばされて限界を超えたクーパー靭帯ではないため、その影響は、授乳の際よりも限定的と言えま

3番目としては、巨乳の下垂です。これは、脂肪層なのか乳腺なのかはあまり関係なく、重力によるクーパー靭帯の伸びと皮膚の伸びが影響しています。大きなバストの場合には、その重力による影響で、乳首の位置が、平均よりも少し下に来る傾向があります。これは余談なのですが、グラビアで巨乳ヌード・アイドルの豊胸を見破るには、立っている状態や座っている状態での、この乳首の位置と言うのが、大きなポイントになります。したがって、左右差のあるバストの場合、大きいほうが下がるということができます。この場合には、ある程度のサイズダウンであれば、皮下脂肪に対する脂肪吸引や、その他の皮下脂肪除去の方法で、左右差を修正したり、または下垂を改善させることが可能です。もちろん、皮膚直下に脂肪吸引を行う表層脂肪吸引を併用すれば、より確実な効果を出すことができます。

このようにバストは、下垂の原因によって、その構成要素に与える影響がそれぞれ異なっています。まとめると、授乳後の場合はクーパー靭帯、激やせは皮膚、巨乳は重みによる牽引、ということです。そしてそれらに対し、もちろん限界はありますが、表層脂肪吸引は有効な治療法であるということができます。表層脂肪吸引は、皮膚直下に対して脂肪吸引という刺激を効率よく与えることができ、その張りを取り戻すように作用し、また、同じくコラーゲン線維を主成分とするクーパー靭帯に対しても、同様に働きます。そして、脂肪吸引の本来の作用である脂肪除去作用によって、バストの体積を減少させて、左右の大きさをほぼ揃えることもできます。

医療広告限定解除要件
副作用・合併症:左右差・肥厚性瘢痕
費用・料金:80万円