足首

こちらのモニターさんの症例写真は、足首の脂肪吸引です。
足首の太さと言うのは、どうしてもハイヒールなどを履いたときには、特に気になるところのようです。実際、この部分が太いと、いわゆるゾウの脚のように、太くたくましい印象を与えてしまいます。これは、ふくらはぎを細くしたがる日本の女性だけの傾向かというと、そうでもないらしく、欧米においても、足首は細いほうがいいようです。ただし、ふくらはぎについては、欧米では太さがないとセクシーではないという評価になるようで、それぞれの美に対する文化の違いというものを実感します。しかし、欧米における足首の細さの重要性は、あくまでもふくらはぎの太さとのコントラストに依存するのに対して、日本においては、ふくらはぎも細く、足首も細く、といった具合に、脚そのものが細いうえで、さらに足首を細くしたいというもので、我々にとっては、欧米よりもさらに厳しい要求であるということができます。

足首の構造は、その太さの構成成分に関して、解剖学上、ほとんどがアキレス腱と骨であるということができます。したがって、皮下脂肪の厚みと言うのは、人体の他の部分である太ももなどに比べれば、非常に薄いということができます。そこで、この部分の脂肪吸引で効果を出そうとすれば、その手術デザインが重要になります。どういうことかと言うと、少ない脂肪を、メリハリをつけて吸引し、実際よりも足首を細く見せるようにするということです。つまり、取るべきところと取らざるべきところというものを分けて考え、残すべき脂肪はきちんと残すということです。

足首と言うと、ほとんどの方は踝(くるぶし)の部分を思い浮かべると思います。しかし、踝の部分は、皮下脂肪がほとんど存在しない部分です。したがって、足首の脂肪吸引と言うと、踝よりも上の部分、つまり、脛の下の部分の脂肪吸引と言うことになります。この部分は、前方には前脛骨筋、後方にはアキレス腱が存在し、皮下脂肪はそれらの周辺に存在します。その皮下脂肪を吸引するのが、足首の脂肪吸引と言うことになるのですが、そのうち、アキレス腱の両サイドと、足首前方外側について、しっかりと脂肪吸引することが、よりよい効果を出すためには大切なこととなります。ただし、アキレス腱の直上は、脂肪吸引を行うと拘縮(ひきつり)が強く発生し、歩行が困難になるため、その両サイドの部分を吸引します。また、前方の内側は、前脛骨筋の腱が足の親指のほうに伸びていくところです。したがって、この部分の脂肪吸引も、拘縮の発生によって、足首が上に曲がらなくなり、歩行時に脚を引き摺るようになってしまいます。したがって、足首の脂肪吸引においては、脂肪が少ないかわりに、術後の歩行に際しての障害を残さないようにするための注意点も多いということです。

このように術後の歩行障害を残さず、しかも効果的に足首の脂肪吸引を行えるためには、やはり器具の選択も重要な要素となります。前述した通り、足首の効果的な脂肪吸引を行うには、比較的狭い範囲の、少ない脂肪層を、正確に脂肪吸引する必要があります。脂肪層が少ないということは、その範囲もさることながら、その厚みも薄いということです。厚みの薄い脂肪層に対する脂肪吸引で、最も注意が必要なのが、凹凸の発生です。そこで、カニューレ(脂肪吸引管)の太さの違いが、大きく反映されます。脂肪層の厚みの無いふくらはぎに関しては、太ももや腹部よりも、より細いカニューレを使用する必要があり、顔面用に近いものが推奨されます。しかし現状として、一般的には、顔面用のカニューレでも直径が2.5㎜から3㎜です。そこで当院では、ふくらはぎに関しては、直径1.6㎜のカニューレを使用して、術後の仕上がりの段階での凹凸の発生を防ぐとともに、より正確な脂肪吸引を心がけています。

足首の脂肪吸引の際には、カニューレを挿入する穴をできるだけシワに隠すことを考えて、踝周辺に穴をあける形となります。
具体的には、アキレス腱の両側と足首前外方の、しわの中にカニューレを挿入する穴を開けるのが基本になります。しかし、それらの部分のみからのアプローチでは、踵(かかと)や足の甲が邪魔をして、足首の皮下脂肪層に対して十分な広さと適切な層での脂肪吸引が不可能です。そこで、しわの無いところに補助的な穴が必要になるのですが、その場合、その穴はできるだけ小さなものでないと、シワに隠れないため、目立つことになります。そこでやはり、直径の細いカニューレが有効になります。太さの太いカニューレを挿入する場合、メスによる皮膚の小さな切開が必要になります。そうすると、その穴は、どうしても直線状の形をとり、目立たないようにしようと思えば、しわの中に隠す必要があります。しかし当院の直径1.6㎜のカニューレの場合には、皮膚に穴を開ける際でも、メスによる切開は不要で、太めの注射針で十分です。したがって、その穴自体も、手術が終了してプロテクターを外すと、皮膚の弾力性によって縮小し、その後も、虫刺されなどの跡のように、丸く小さな跡となり、通常、最終的にはホントに目立たない状態になっていきます。このように、足首に対して十分な脂肪吸引効果を獲得するためには、カニューレの太さと言うのは、表面の凹凸を作らないようにすること以外にも、大切な要素であるということができます。