口横の笑いシワ

口横にある笑いじわの治療に、WPRPFを使用した、40歳代前半のモニターさんです。この部分のシワは、従来、ヒアルロン酸の注射で治療されておりました。 しかし、ヒアルロン酸は、シワを盛り上げるものなので、笑った時にできるしわをこれで治療すると、無表情の状態や仰向けに寝たときなどに、線状の盛り上がりを作ってしまうことがありました。また、そのようなことを防ぐために、皮膚の浅い層に柔らかいヒアルロン酸を注射すると、内出血の血液と混じったヒアルロン酸が、紫色に変色し、皮膚の表面から透けて見えることもあります。また、柔らかいヒアルロン酸は、濃度が薄いため、すぐに元に戻ってしまうというデメリットもあります。そこで、WPRPFで、自然で長持ちする治療を行えば、ヒアルロン酸のデメリットを解消できるというわけです。

では、笑いじわなので、ボトックスでは治らないのか?という疑問が出てくるかもしれません。ボトックスは、基本的に、注射した場所の筋肉を麻痺させるものです。しっかりと麻痺するのは、通常の希釈濃度で0.1cc注射した場合、注射部位から直径1cmの範囲です。ある程度の効果を発揮するのは、直径2cmの範囲とされています。
そこで、この、口の横の笑いじわに、ボトックスを注射すると、どのようになるでしょう?この部分は、笑筋が口輪筋に付着している部分ですので、ボトックスは、この二つの筋肉に効いてしまいます。笑筋にボトックスが効くと、口を横に広げることができなくなります。そうすると、笑った時にも、口が横に拡がらないため、笑顔の要素の大きな一つである、口の表情が失われる結果となります。また、こちらのほうが重大なのですが、口輪筋の端にボトックスが効くと、口をしっかりと閉じることができません。そうなると、「飲み物が口からこぼれる」「食事の時に食べ物がボロボロとこぼれる」といった状態になります。
したがって、ヒアルロン酸による、不自然な皮膚の盛り上がり以上に、機能的な困難が出現しますので、この部分は、ボトックスは基本的に禁忌と考えたほうがいいでしょう。
WPRPFは、筋肉を麻痺させる作用はありませんので、目の下と並んで、この部分は非常に良い適応です。

「WPRPFの効果の持続は、どのくらいでしょうか?」という質問をうけることがよくあります。実際に、これも個人差があるので、一概に何とも言えないのですが、2年間は大丈夫なようです。実際に、私自身がWPRPFを右の目元だけに注射したのが、2008年5月9日で、2010年9月3日まで、明らかに右の目元のほうが、左に比べてシワが少ないので、足掛け3年の間、効果が持続していると言えます。
しかし、患者さんは、両側を処置しますので、比較するものが自分の手元にないため、効果の持続期間については、自己判断が難しいと思います。右のみ処置を受けた私自身の印象から判断するには、術後1年半目までが、効果のピークだったような気がします。そこからは、やはり効果がすこし減少してきている印象です。したがって、患者さんが自己判断する際には、処置後1年から1年半を過ぎると、効果が切れてきたと判断されるかもしれません。したがって、WPRPFの効果は3年くらいは持続するのですが、自己の加齢に抵抗して若々しい状況を、自分でもしっかりと感じている状態を保つには、1年ごとの処置がお勧めと言うことになります。

口の横の笑いじわに関しては、患者さん自身であまり気づいていないこともあります。それは、お化粧をするときに鏡を見ると、たいていの場合、笑って鏡を見ていないためです。また、このシワに気付くときは、大抵、お化粧を落とすときに、ファンデーションがシワの溝に沿って、くっきりと溜まっているのが目に入るときです。しかし、お化粧を落とす前に、しっかりと鏡を見ている人は少なく、お化粧がちゃんと落ちているかを、鏡で確認する人がほとんどだからです。
「ファンデーションがシワの溝に沿って、くっきりと溜まっている」と言うことは、お化粧で隠せないシワであるということでもあります。つまり、他人からは、しっかりと見えているにもかかわらず、自分では気づいていないという、まさに悲劇的な状況が発生しているのです。そういった状況は、私たち美容外科医にとっても、指摘していいものかどうか、非常に迷います。なぜかと言うと、患者さん本人が気にしていないシワを指摘すると、時として嫌われてしまうことがあるからです。だから、私は、ホウレイ線のWPRPFを希望してくる患者さんに、ちょっとだけサービスして、この部分にも注射をしたりします。

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副作用・合併症:注射成分に対するアレルギー
費用:8万円