頬前・ホウレイ線・口横

頬の前方とホウレイ線、及び口の横から頬の側面にかけて、脂肪増殖注射を行ったモニターさんの症例写真です。脂肪増殖注射と言うのは、皮下脂肪を増殖させるための薬剤を注射することで、注射した箇所の脂肪の厚みを増加させるものです。

したがって、脂肪注入とは違って、脂肪吸引を行って脂肪を採取する必要がありません。さらに、凸凹ができてしまうこともないのが、大きな利点として挙げられます。実際に行う処置は注射だけですので、脂肪注入のような手術とは違って、大きな腫れが長期に続くこともなく、ヒアルロン酸をしわに対して注入するのと同じ感覚で受けていただける、大変便利な技術です。また、幹細胞WPRPF幹細胞併用脂肪注入ではこのようなことはないのですが、通常の脂肪注入のように、術後、次第に注入した体積が減少していくこともないため、大量の注入物を注入して、膨らませすぎた状態を長期にわたって我慢する必要もありません。したがって、造形的に顔面の輪郭を変化させたい場合や、大きな若返り効果を狙う場合には、幹細胞WPRPF併用脂肪注入が適していて、逆に、顔面の軽度のへこみや、老化による脂肪の委縮が原因でできてしまった老け顔を、人知れず少しだけ改善したい場合については、この、脂肪増殖注射が適していると言えるでしょう。

脂肪増殖注射の手順については、PRPの手順とほぼ同じものです。注射液の成分と、それを注射する層(深さ)が違うだけです。手順としては、カウンセリングの後、事務手続きと洗顔を経て、採血と麻酔クリームの塗布を行います。採血の量は50㏄程度で、そこから成長因子を取り出します。採血した血液から成長因子を取り出し、それにさらに脂肪を増殖させる成長因子を添加する作業を行って、脂肪増殖注射の薬液を作成します。この作業に約30分を要しますので、その間、待合室などでお待ちいただきます。この待っている時間で、ちょうど、麻酔クリームが十分に浸み込み、注射時の痛みを抑えてくれるということになります。注射液の作成が終了したら、麻酔クリームを拭き取り、計画したデザインをマーキングしていきます。このマーキングに沿って薬液の注射を行っていきます。注射が終了したら、デザインのマーキングを落として、脂肪増殖注射の処置は終了します。

脂肪増殖注射の術後経過は、大きな腫れを伴うこともなく、比較的早期に社会復帰が可能です。脂肪増殖注射の術後経過は、注射直後には、注射液が皮下脂肪層に入っていくことになるため、その注射液の体積分は、膨らんだ状態になります。しかし、注射液の水分はすぐに吸収されるため、翌日には既に、腫れと言うよりもむくみ程度のものになっています。そしてしばらくちょうどいい状態が続くのですが、約1、2週間後には、一度、元の処置前の状態に戻ってしまいます。これは、注射液の液体成分(水分)が吸収されてしまい、成長因子の有効成分だけが、脂肪増殖注射を注射した箇所に残っているためです。そしてそこから約2か月かけて、ゆっくりと、脂肪増殖注射の効果としての、皮下脂肪の増殖が進行し、目的を達成していくのです。したがって、脂肪増殖注射の術後経過は、むくみ程度の腫れが収まってから一度元の状態に戻り、そこからゆっくりと効果を発揮します。一度元の状態に戻ったときに、慌てて追加注入などを行わないことが大切です。早期の追加注入は、脂肪の過剰増殖をもたらす可能性が高いためです。

顔面の皮下脂肪と言うのは、原則的に、年齢とともに減少していくと言われています。しかし、老化による顔面の変化は、皮下脂肪の減少だけではなく、筋肉や皮膚のたるみも発生してきます。そしてそれらが複雑に絡み合って、顔面の見かけを変化させてしまうのです。では、実際には、現象としてどういった変化が生じるのかと言うことになります。それは基本的には、顔面の鼻よりも上の部分は、皮下脂肪の減少がダイレクトに見えるようになり、いわゆる凹みとして認識されるようになります。そして鼻よりも下の部分は、たるみによって膨らんだようになると言うことです。つまり、顔面の輪郭的には、次第にしも膨れの状態に変化してくるということです。しかし、口元については、皮下脂肪の減少が比較的直接観察される箇所であり、唇は薄くなり、ホウレイ線も深くシャープに刻まれてきます。さらに、口角から顎にかけての、いわゆるマリオネットラインと言うシワも、その外側にある頬のたるみによる皮下脂肪の、見かけ上の厚みの増加と口元の皮下脂肪の減少とが相俟って、より深く刻まれるようになります。

このような、老化による顔面の皮下脂肪の変化は、様々な老化のサインを、より顕著に表面に表すようになる一つの要素と言うことができます。そこで、より若々しい顔面の状態を創出するには、どのようにすればいいかと言うことになります。それは、前述の、顔面における皮下脂肪の変化の逆パターンを行えばいいと言うことになります。額やこめかみ、さらに目の下(下瞼より下の部分)から頬の前方にかけては脂肪を増量し、頬の側面よりも下の部分で、フェイスラインにかけては、逆に皮下脂肪を減少させると言うことです。また、唇とその周辺については、やはり皮下脂肪を増やしてやることです。これらの処置を行うことで、皮下脂肪の付き方を、若々しく見えるように修正できることと、ある程度のリフト効果を獲得でき、ホウレイ線やマリオネットラインは勿論のこと、鼻の付け根に近いところから頬の側面にかけて入ってくる、いわゆる「ゴルゴ線」といわれる影も、薄くなります。

他の手術や処置と同じく、脂肪を増やすというときにも、それぞれの部位に見合った注意すべき事項と言うのが存在します。皮下脂肪と一言で言っても、その性質は、その存在する箇所や、患者さんの性別・年齢・個人差などの、様々な要素に影響を受けます。したがって、それらのことを念頭に置いて、処置を行うことが大切になります。そして、脂肪増殖注射の場合には、体の他所の部分から脂肪組織を持ってきて移植する脂肪注入とは違って、注射を行う部分に元から存在する脂肪組織を増殖させるものです。したがって、尚更、処置の前に元の脂肪の状態を把握しておくことが、より安定した結果を獲得するためには、大切なことになります。これは、脂肪増殖注射そのものの性質に関る点なのですが、基本的に、元々の皮下脂肪の体積が小さな箇所は増殖しにくく、皮下脂肪の体積が大きなところは増殖しやすいという原則に則って、治療効果の予測をすることが大切であると言うことです。

額やコメカミから皮下脂肪が減少すると、元々皮下脂肪層が薄く、筋肉層も薄い箇所であるため、骨格や血管が目立ってきます。そのような症状によって、額はごつごつとした外見になり、丸みや滑らかさを失います。また、コメカミは血管が目立ってくるとともに、陥没してきて、その下のほうの頬骨の張り出しや、額の骨との境目も目立ってきます。そこで、皮下脂肪を増やしてやることで、これらの症状を改善させることになるのですが、そこで注意すべきこととしては、もともと皮下脂肪が薄いところであるだけに、凸凹が目立ち易いということです。そこで脂肪増殖注射が非常に有用な技術と言えます。脂肪増殖注射は、理論的にも実際の臨床的にも、これまでの脂肪注入のような、仕上がりの凹凸を作ってしまうことがないためです。
脂肪注入の場合には、これは細胞を含む組織の注入と言うことになり、注入された組織は、注入した箇所から拡散することはなく、その部分のみに留まります。そうすると、注入手技によっては、不均等な注入脂肪組織の生着が発生し、凹凸を生じる形になります。また、脂肪注入は、注入手技そのものに際して、強い痛みを伴うため、局所麻酔を使用することになます。そしてその局所麻酔によって皮下脂肪組織の腫れが生じ、注入直後には麻酔の腫れが引いた状態での仕上がりの予測がつきにくくなります。つまり、手術中の不均等注入のチェックが困難と言うことになり、それがまた、脂肪注入による凹凸を発生させやすくします。脂肪注入で、凹凸を造らない注入手技と麻酔の方法というモノも存在しますが、一般的な方法では、以上のようなことから、脂肪注入では凹凸を作ってしまうリスクが比較的高いと言うことができます。
そのような脂肪注入と比較して、脂肪増殖注射の場合には、注射の薬液が、注射された皮下脂肪組織の中を適度に周辺まで浸透するため、術後はほぼ一様に皮下脂肪の増殖を観察することができます。また、注射の際の麻酔に関しても、皮膚の表面に麻酔クリームを塗布することで、局所麻酔の注射が不要ですから、不均等な薬液の注入も、処置中に修正しながら手技を施行できます。このように、もともと皮下脂肪層が薄いところに皮下脂肪を増やしたい場合には、脂肪注入よりも脂肪増殖注射のほうが、リスクが少ないと言うことができます。

頬の場合も、そこから皮下脂肪層がなくなると、やはり老けた印象になってしまいます。そして頬の場合には、皮下脂肪層の減少は、同時にたるみの発生の元にもなっています。頬は元々、顔面の中では皮下脂肪層の厚い箇所です。そこから皮下脂肪層の厚みが減少すれば、いわば、膨らんだ風船の中身が抜けて、その外側が余るのと同じ現象が発生します。これが頬の、老化による皮下脂肪萎縮によって、たるみが発生するメカニズムです。勿論、たるみの原因はこれだけではなく、顔面の表情筋の弾力性喪失や、皮膚の伸びとやはり弾力性の喪失なども関与しているのですが、この、皮下脂肪層の減少・萎縮と言うのは、大きな原因の一つです。そしてこれを、脂肪増殖注射で治療することが可能です。ただし、頬の場合には、額やコメカミとは違って、元々皮下脂肪層が分厚く、それが委縮している状態のため、脂肪増殖注射には比較的良く反応する部位ではあります。しかし、やはり萎縮の度合いが大きく、範囲的にも広範囲にわたっているため、脂肪増殖注射の薬液の量は、比較的大量に必要になることが多いようです。

唇とその周辺に関しても、老化とともに皮下脂肪が減少していく傾向が観察されます。そのような唇とその周辺の皮下脂肪の減少は、唇そのものの菲薄化による唇自体のしわを発生させ、ホウレイ線を深くし、マリオネットラインを目立たせ、進行すると、唇周囲の縦ジワとなります。これらの症状を改善させるためには、唇そのものの皮下脂肪や粘膜下の脂肪ばかりではなく、その周辺の皮下脂肪も増やしてやる必要があります。つまり、唇を厚くするだけではなく、鼻と上唇の間の箇所と、下唇から顎の輪郭までの箇所(白口唇)への脂肪増殖が必要であると言うことです。これは、唇とその周辺の皮下脂肪を、まんべんなく増やしてやると言うことです。

唇と同時に、よく観察されるのは、ホウレイ線の延長部分のような、口元のしわです。このしわは、患者さんの言葉では、口横のしわという表現がなされることがよくあります。下方向へのホウレイ線の延長のように見えますが、正確には、違ったものです。ホウレイ線は、皮膚の溝状の凹み・唇の上の脂肪組織の萎縮・頬の前方の皮膚の余りと脂肪の下垂で構成されています。しかし、この、口元のしわと言うのは、皮膚の溝状の凹みであるとともに、口を取り囲む口輪筋と言う筋肉の端が、頬の筋肉に引っ張られるところが、皮膚の表面からはっきりと見えるようになり、それが皮膚の溝状の凹みという形になってしまったことによってできています。つまり、口元のしわと呼ばれる、この口角横のしわは、皮下脂肪の減少が原因であるということができます。

若々しい顔貌というのは、このように俯瞰的に考えると、その脂肪の付き方と言うものに大きく左右される面があるということができます。そして、若々しい顔つきと言うのは、一般的に、顔面の上部に肉付きが良く、下部はほっそりとすっきりしているというのが、原則です。そして、唇やその周辺には、一様に皮下脂肪が豊富で、骨格や歯並びをカモフラージュできている状態にあります。つまり、額・コメカミ・頬の上部・頬の前方(鼻の横・目の下の部分)・唇の周りに、皮下脂肪が豊富な状態が、若々しい顔つきと言うことができます。脂肪増殖注射や脂肪注入の手術に際しては、このような原則に則った注入部位の選択が必要なのは、言うまでもないことです。

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