太もも 内側・外側・前面・膝周辺

太ももの脂肪吸引を行った、30歳代前半のモニターさんです。今回は、予算の関係上、脂肪吸引を行うポイントを絞っての手術となりました。

手術のデザイン

少ない箇所で、より効果を出せるように工夫されたデザイン

脂肪組織は、脂肪だけで構成されているものではありません。脂肪細胞ひとつ取ってみても、大部分は中性脂肪で構成はされていますが、それと結びついて形を保っているたんぱく質や、核酸、各種アミノ酸などが、その中に存在します。脂肪のみに作用する器械では、確かに脂肪細胞を構成する大部分である中性脂肪と細胞膜には吸収され、これを溶解し、破壊することができます。しかし、それでは脂肪細胞の破壊にはなりますが、脂肪組織の十分な破壊にはつながりません。

細胞というのは、顕微鏡で見なければ見えないほどに小さなものです。脂肪細胞もその例外ではありません。したがって、脂肪細胞がただ単に集合しただけでは、その外見は液体でしかないのです。ところが、やわらかい脂肪組織でも、きちんと形を持った固体です。脂肪組織の中に、脂肪細胞のみしか存在しない場合には、このように形を持った個体にはならず、液体のままのはずですから、人間が立ち上がればふくらはぎや足の甲のほうへと流れていき、上半身はガリガリになります。また、脂肪吸引の際には、吸引しなくても、皮膚から細い注射針を刺せば、勝手に流れ出てしまうはずです。しかし、現実にはこれらのようなことはありません。それは、脂肪細胞の集まりである脂肪組織の構造が存在するからです。

では、脂肪組織の構造とは、どんなものでしょうか?一言で例えるなら、「ブドウの房」「ブドウの出荷」です。脂肪細胞をブドウの粒に例えてみると、わかりやすいと思います。ブドウの場合には、たくさんの実が一つの房についていますが、脂肪組織の場合には、脂肪細胞が5から8個で、一つの房を作っています。その房が、きちんと紙に巻かれてブドウが出荷されるときのように、たんぱく質やアミノ酸などでできた膜で包まれています。そして、それらが、再び5から8個集められて、小箱の中に入っているのです。さらに、その小箱が5から8個集まって、中箱の中に入っていて・・・・・、といった具合に、「5から8個集まって膜に包まれる」というのを、やはり5から8回繰り返して、初めて目に見える「脂肪の粒」になります。つまり、脂肪細胞を包んで房を形成したり、箱の代わりになっている「膜」の存在が、肉眼では見えない脂肪細胞の集まりである脂肪組織を、液体ではなく固体の状態にしているのです。

では、脂肪によく作用する機器で、脂肪細胞のみを破壊すると、どのようなことが起こるかということです。当然、「膜」が残ってしまいます。この「膜」ですが、実は脂肪組織の再生に重要な、脂肪組織由来幹細胞を含んでいます。脂肪組織由来幹細胞は、脂肪組織の中の「膜」に含まれているのですが、その中身は、脂肪が少なく、蛋白質やアミノ酸、核酸などが豊富に含まれています。そして、サイズ的には脂肪細胞よりもかなり小さく、血液の赤血球と同じくらいです。したがって、脂肪のみによく作用する機器では、これらの脂肪組織由来幹細胞の破壊は非常に難しく、せっかく除去した脂肪組織も再生しやすいと言うことになります。しかし、脂肪を良く溶かすとされる器機を使用しない、細いカニューレでの丹念な脂肪吸引の場合には、脂肪細胞や、それを包んでいる膜に含まれる脂肪組織由来幹細胞も、膜ごと手術中に体外に出すことができ、より大きな効果を望めるのです。