太ももの脂肪吸引

太ももの脂肪吸引を受けた、30歳代前半のモニターさんです。脂肪吸引の範囲は、太ももの前面・外側・内側と、膝の内側となります。術後の写真は、手術後約3ヶ月を経過したものです。

脂肪を取って、脚やお腹を細くする方法は、現在では、脂肪吸引のような外科的な手術の他に、当院では脂肪溶解注射があります。また、他院では、最近、収束超音波(皮膚の表面から当てた超音波を、一か所に収束させる)によるキャビテーションや、皮下脂肪を冷凍するものなどがあります。しかしながら、しっかりと効果を出す方法としては、脂肪吸引が最も有効な方法です。それは、一度に大量に皮下脂肪を除去することができるためです。これは、がんや心臓の病気などが、軽症のうちなら、薬やカテーテル、内視鏡などで治療できますが、重症になれば、手術が必要になるのと同じことです。したがって、脂肪がなくなる効果の順番で並べていくと、一番は脂肪吸引、2番目に当院の強力脂肪溶解注射となります。そして、その他の方法は、これらの方法よりもずっと効果が劣り、術後1年もすれば元に戻ってしまうことが多いようです。

脂肪吸引や強力脂肪溶解注射以外の、冷凍や収束超音波(キャビテーション)も、最近は脂肪細胞の破壊を達成しています。しかし、なぜ元に戻ってしまうのかということを、疑問に思うかもしれません。その理由としては、簡単に言えば人間の回復力、もっと専門的に言えば、人体の再生能力ということができます。この人体の再生能力と言うのは、元の状態に戻ろうとする力と言い換えることができます。けがや病気で、臓器がその量や機能を失うと、最初は、人体の予備能力を使って、それらを代償します。そして時間が経つにつれて、障害を受けた臓器が再生を始め、そしてその量や機能が元に戻ります。しかし、その再生能力にも限界があり、その限界を超えてしまうと、全く元の状態と言うわけにはいきません。これを皮下脂肪組織に当てはめると、脂肪吸引では脂肪組織の再生能力を大きく超えて脂肪組織を取ることで、後戻りを防げるということになります。強力脂肪溶解注射についても、同様です。一方、冷凍や収束超音波(キャビテーション) は、その効果が少ないため、脂肪組織の再生能力の範囲を超えることができず、元に戻ってしまうということです。

人体の再生能力で、重要な要素に、幹細胞と細胞外マトリックスの2つの要素があります。幹細胞とは、将来、脂肪細胞など、脂肪組織の中の細胞になる細胞です。細胞外マトリックスとは、幹細胞が脂肪細胞になって脂肪組織の再生を行う際の、「足場」となる構造です。細胞外マトリックスは、主に、コラーゲンやヒアルロン酸が、その主な成分です。脂肪組織を取りたい時に、そのあと戻りの原因である再生能力をできるだけなくすためには、これら、幹細胞と細胞外マトリックスが、除去、または破壊されていないといけないということができます。脂肪吸引は手術で脂肪組織を取り除くわけですから、手術した箇所の幹細胞も細胞外マトリックスも取り除かれます。強力脂肪溶解注射の場合には、殺細胞薬が入っているため、脂肪細胞と同時に、幹細胞も死滅します。しかし、冷凍や収束超音波(キャビテーション) では、その作用のターゲットは脂肪細胞だけです。さらに、その効果が少ないことから、脂肪組織の再生能力を超えることができず、再発(後戻り)を防ぐことができないのです。

このように、確実な効果がある脂肪吸引ですが、手術である限りは、合併症が皆無と言うわけにはいきません。脂肪吸引の手術手技自体は、そんなに難しいものではなく、カニューレという金属製の管を皮下脂肪層に挿入して、それを前後運動させれば、皮下脂肪組織を取ることはできます。しかし、合併症をできるだけ防止して、より安全性の高い手術手技は、単純なものではありません。実際に、これまでの脂肪吸引の重大な事故は、静脈血栓症や腹腔内穿刺など、かなり荒っぽい手術手技が原因と思われるものです。また、これらの、脂肪吸引に伴う事故については、脂肪吸引の件数が日本とは比べ物にならないほど多く、1回の吸引量も多いアメリカで、1990年代からその原因が調査され、防止するための様々な対策が、試行錯誤され、学会のガイドラインとして、発表されています。

ガイドラインの内容としては、

  • できるだけ細い直径のカニューレを使用すること。
  • 1回の手術での吸引量は、水分を除いた脂肪量で、4000㏄から5000㏄までとすること。
  • ウェット(ツーメッセント)メソッドを使うこと。

と、されています。

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副作用・合併症:肥厚性瘢痕
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