リップリフト

30歳代前半のモニターさんです。鼻の下を短くし、同時に上唇を厚くする手術です。加齢とともに、唇は薄くなり、鼻の下は長くなってきます。加齢とともに、唇とその周辺の皮下脂肪層が薄くなり、唇が薄くなってくることと、鼻の下の皮膚が弾力性を失ったことによるものです。

フェイスリフトなどの手術や、レーザー類で若返りを図っても、この部分のみは、どうしても改善が困難です。また、上唇には縦にシワが入ってきます。特に、鼻の下のタテジワについては、従来、ヒアルロン酸やボトックスにて改善を図っていましたが、よく動くところであることから、効果がいまひとつの割に、どうしても違和感や再発が多く、効果の持続期間も限定的でした。
こちらの手術については、脂肪注入や脂肪増殖注射のように、今まで決め手に欠いていた、鼻の下から上唇に至る若返りを、効率よく行えるものとなります。鼻の下を短くできるばかりでなく、上唇のたてじわも、自然な形で除去することができます。問題点は傷なのですが、この傷は、小鼻の付け根と鼻の穴の中、および人中と鼻柱の境目に隠れ、ほとんど目立たなくなります。
こちらのモニターさんは、比較的若いのですが、鼻の下を短くすることを希望していました。術後の写真から、上唇のふっくらした感じと、鼻の下が短くなったのが、よく分かるかと思います。

こちらのモニターさんは、まだ比較的若い方なのですが、鼻下の短縮によって、顔面のバランスを整えるのを目的に、手術を受けました。 

切除幅は約9mmですが、少しの戻りと、切除幅の唇の厚みにまでの影響が少なくなるため、この切除幅で約5mm、上唇が厚くなっています。
他に、上唇を厚くする場合には、ヒアルロン酸の注入や、脂肪注入、真皮脂肪移植などの方法があります。しかしどの方法も、「ほぼこれくらいの厚みを持たせたい」という希望に沿うことは、非常に困難なのが現状です。ヒアルロン酸の注入に代表される、唇に何かを注射する方法は、唇をどのくらいふくらますことができるか、つまり、唇の粘膜の余裕がどのくらいあるかによって、限界があります。また、ヒアルロン酸の場合は、唇などの良く動くところは、吸収が早いという欠点があります。また、脂肪注入についても、成長因子を併用しないと、吸収される脂肪の割合が多いため、大きな変化を望むことができない場合があります。これらの方法に比べて、このリップリフトは、術前におおよその変化の度合いを調整できることと、効果が半永久的であるといった利点があります。

リップリフトは、その名前の通り「リフト」ですから、フェイスリフトと同じように、若返りの手術の一つでもあります。 

それは、加齢ともに変化する上唇の状態が関係しています。上唇は、加齢に伴って、次第に中の脂肪組織や筋肉組織が痩せてきて、薄くなっていきます。また、鼻の下から上唇にかけての部分(上唇に含める場合もある)は、やはり脂肪組織や筋肉組織が痩せてきます。さらに、この部分は皮膚の弾力性も失われ、皮膚が伸びた状態になります。このことが原因で、加齢に伴って、鼻の下は伸びて行きます。これらの変化は、鼻の下・唇の周辺・ホウレイ線の内側といった部分に囲まれるエリア全体に及びます。一言で言うと、唇の周り全て、中身がなくなった紙風船のようになって行くわけです。これらのことと、歯茎が痩せてくるのが組み合わさって、年齢とともに、鼻の下は長くなり、唇の周囲にはたてじわがたくさん出現します。
リップリフトは、脂肪注入やヒアルロン酸注入のような、中身を増やす方法ではありませんが、伸びて長くなった鼻の下の皮膚を切除し、上唇を引き上げることで、相対的に、中身が外側の皮膚に対して大きくなることになります。すると、薄くなった唇は厚く、唇周辺のたてじわは改善し、鼻の下は短くなります。

リフトと聞くと、やはりフェイスリフトの事を思い出し、傷の事が心配になるかもしてません。 

たしかに、フェイスリフトもこのリップリフトも、切開して皮膚を切除することになるます。したがって、傷が全くないというわけではありません。また、傷は一度できると、まったく跡形なくなくすということはできません。細く目立たなくすることは可能です。たしかに、昔のフェイスリフトは、耳の前をまっすぐに切開していたため、傷がどうしても目立つことになっていました。現在のフェイスリフトは、耳の縁に沿って切開したり、頭髪の中だけで切開したりするため、傷が非常に目立たなくなっています。同じように、リップリフトの場合も、旧式の、小鼻の上方から反対側の小鼻の上方まで、鼻の周囲をぐるりと切開したり、唇と皮膚の間に切開線を作るものではありません。現在、他院では、この鼻の周囲をぐるりと1周切開する方法を行っているようです。しかし、この方法だと、たくさんの皮膚を切除した場合、術後1カ月目くらいには、鼻の穴の下の部分の傷が、唇に近づいてきて、正面から丸見えになってしまいます。これを防ぐためには、鼻の下の皮膚の切開創に、ひと工夫必要です。
この手術の切開線は、基本的に、唇側が長く、鼻側が短くなる傾向にあります。

従来の手術の場合、これらの長さが違う切開線を、皮膚の弾力性を利用して、うまく合うように縫合していました。つまり、鼻側の切開線は長く引き延ばし、唇側を短く縮めながら縫合します。鼻の付け根のところの皮膚は、基本的に、立体的な鼻の組織に直結していますので、あまり伸びません。したがって、唇側を、波にならないように縫い縮めるわけです。波にならないようにとは言っても、皮膚の弾力性にも限界があります。そのため、鼻の下の皮膚の切除幅は、5mmくらいがいいところでした。しかも、人間の体は元に戻ろうとする性質があります。このように、無理をかけて縫合した傷は、しだいに唇側に引っ張られて、最終的に鼻の下に露出してしまいます。
そこで、当院では、この鼻の付け根のところの傷を、曲げたデザインにして、その長さを、唇側の切開線により近くなるように、工夫しました。それによって、鼻の下の傷は、下にさがって露出することも無くなり、また、皮膚の切除幅=リフトされる高さも、約10mmまでと、旧来の方法の2倍にできました。

限定解除要件
副作用・合併症:肥厚性瘢痕。切り取りすぎると、口を閉じにくくなる。
費用:30万円