上口唇・マリオネットライン

40歳代半ばの、脂肪増殖注射で唇を厚くしたモニターさんです。下唇は厚くしたくないとのことで、その分はマリオネット・ラインに注射しました。術後は、顎に筋肉に力を入れなくても、自然に口を閉じることができるようになりました。

脂肪増殖注射 15万円

マリオネット・ラインとは、口角からアゴの側面に向かってできてくるシワの事です。マリオネットとは、人形劇で使われる操り人形のことで、口の動きを出すために、下唇と顎が、別の部品として取り付けられています。

写真は、術後1ヶ月目。こちらのモニターさんとしては、増殖はほぼ安定して、約80%の完成度の時点です。唇の中央のボリュームを出すことで、口を閉じやすくなったことと、唇の厚みによって、笑った時の歯茎の露出が緩和されています。マリオネット・ラインについては、頬のたるみも関係しているため、脂肪増殖注射で完璧な治療は不可能です。しかし、口周辺の脂肪の萎縮も、その原因の一つですので、消失は不可能ですが、浅くなるという改善は、可能です。

唇は、通常、赤い色をしている部分を、「くちびる」と呼んでいます。しかし、正確には、赤い色をしている部分を「赤唇」、その外側の皮膚の部分を「白唇」と言います。唇の構造は、粘膜や皮膚のすぐ下に薄い脂肪層があり、その奥に、口輪筋という筋肉があります。

赤唇と白唇

口輪筋の範囲を一般的に唇とするが、下唇については、表面からは、その正確な境界がわかりずらい。

この口輪筋の動きによって、唇は上下左右に動いたり、すぼめたり、開くなど、形をかえることができます。本来の意味での唇の厚さは、口の中の粘膜・脂肪層・口輪筋・皮下脂肪層を順に含んだ、これらの厚みの合計なのです。しかし一般的には、唇の厚さとは、正面から見た時の、赤唇の上下方向の幅です。この赤唇の上下方向の幅は、年齢とともに減少します。加齢・老化とともに、唇は薄くなるということです。これは逆に言えば、唇が薄いということは、老けて見えるということでもあります。また、上唇に関して言えば、加齢・老化とともに、正面から見ると、白唇の占める部分が多くなってきます。鼻の下が長くなるのです。すると、相対的に、赤唇はますます薄く見えてしまいます。そこで、若返りの一環として、「唇を厚く」と希望される方が、増加しています。

年齢による赤唇の菲薄化は、主に、皮下・粘膜下の脂肪組織の萎縮が原因です。勿論、唇の奥には、歯とそれを支える歯槽骨や歯茎があり、これら形によって、唇の厚さが厚く見えたり薄く見えたりする要素もあります。年齢に応じて、歯槽骨や歯茎が薄くなり後退すると、唇も薄く見えるようになります。そこで、唇を厚くするには、歯や歯茎・歯槽骨などの形を整えるという方法も考えられます。しかし、これらの構造は、物を噛んだりするときに、重要な働きを担っています。また、手術的な方法を採る以外には、簡単に形を整える方法が存在しないのも現実です。
そこで、粘膜下の脂肪を増加させる、この、脂肪増殖注射で、脂肪を増加させることで、唇を比較的簡単に厚くすることができます。脂肪を採ってきて注入するというものではないため、脂肪吸引手術は不要です。また、通常の脂肪注入は、吸収の分を見込んで、その分だけ多くの脂肪を注入する必要がありますが、この注射の場合、脂肪が増殖するため、多めの脂肪を注入する必要がありません。したがって、術後の腫れは、翌日になれば、目立つほどのものはありません。

唇に、脂肪増殖注射をするのではなく、従来は、脂肪注入をしていました。しかし、この部分は、脂肪の吸収が多い場所です。したがって、予定よりも多くの脂肪を注入する必要がありました。

特に、従来の、生着率の悪い脂肪注入の場合には尚更、多くの脂肪を注入して、所謂、大きくしすぎの状態を作っておくか、数回に分けての処置が必要でした。更に悪いことに、唇というのは、脂肪注入をして生着しても、不均等生着で変形したり、シコリが残りやすい場所です。理由としては、顔面の中では唇は、瞼の次によく動く箇所だからです。これは、脂肪の生着率が悪い理由と重なります。よく動く箇所と言っても、瞼のように上下方向だけでなく、上下・前後・左右に動きます。さらに、前歯の状態や、表情の癖などによって、その動きが、個人個人によって、千差万別であるということができます。よって、よく動く箇所と、あまり動かない箇所が、同じ唇の中でも混在する形となり、不均等生着の原因になります。

また、よく動くということは、脂肪が生着しようとしているときにできてくる、細かな血管が、完成しないうちに引きちぎられてしまうということでもあります。これが、生着率が悪い原因と推測されます。そこで、この細かな血管が、できるだけ早く完成し、そこに脂肪を生着させるようにしたのが、当院の高生着率脂肪注入です。細かな血管が早期に構成されるとは、注入した脂肪に栄養や酸素などを運ぶ仕組みが素早く出来上がるということで、たとえよく動く箇所であっても、生着率が高いということができます。これが、高生着率脂肪注入で、唇に高い生着率を維持しながら、不均等生着による変形を防止できる理由です。

そこで、脂肪増殖注射なのですが、脂肪増殖注射は、脂肪組織を別の個所から持ってくるのではなく、もともとそこに存在する唇の皮下脂肪を増殖させるものです。したがって、生着という概念はなく、注射液を注射されたところの脂肪が増量されるので、変形とは無縁のものです。しかし、欠点としては、正確に唇の一部分だけを大きくすることが、困難であるということです。この点については、高生着率脂肪注入のほうが、格段に有利な点と言えます。

細かいことですが、上唇が年齢とともに痩せてくると、唇が細くなるばかりでなく、唇と皮膚の境界線がぼやけます。ぼやけるというよりも、シャープさを失うと言うべきでしょう。口紅を塗った時に、口紅の色が、皮膚のほう(白唇)に上がってくるという症状の原因の一つです。

若いときには、唇(赤唇)の縁が、シャープに尖っています。これが、年齢とともに、角度が鈍角になってきて、唇が薄く見え始めます。そして、この赤唇と白唇の境目の尖りがなくなり、白唇に縦シワが入り始めると、口紅の色が、このシワに沿って、上のほうに上がってくるのです。つまり、口紅の色を堰き止める堤防が低くなり、唇の動き(主にすぼめる動作)によって、それが時々決壊して、口紅が溝に流れ込むということです。これが重症になると、シワは唇の動きに関係なく、ずっとそこに存在するようになり、唇をすぼめたりしないのに、毛細管現象で、口紅の色が上がってくるようになります。

この、唇(赤唇)と皮膚(白唇)の境目が、年齢とともにシャープさを失ってくる。

 

唇(赤唇)と皮膚(白唇)の境目に沿って存在する隆起が、なくなって来ると、堤防が決壊したように、口紅が流れていく。

 

唇(赤唇)と皮膚(白唇)の境目に沿って存在する隆起が、なくなって来ると、堤防が決壊したように、口紅が流れていく。

このような現象は、年齢に応じて、唇の中身が減少することによって、生じます。そしてその唇の中身とは、口輪筋と皮下脂肪であり、特に皮下脂肪層の減少は、加齢現象として顔面全体に及んでいるうちの、一部であるということができます。さらに、脂肪増殖注射で、唇を厚くする際に、特にこの、唇と皮膚の境目を重視して、増殖するようにする理由でもあります。

年齢とともに出てくる顔面の変化は、たるみという風に表現され、一般的には、皮膚の下がりという意味合いで使用されます。その原因としては、皮膚が弾力性を失って、余りが生じると、理解されています。

もちろん、皮膚の余りは、タルミの重要な要素として存在するのですが、要素というよりも、むしろ現象と言ったほうが良いかもしれません。たるみの要素は、大きく分けると、皮膚そのものと、皮膚の下に分けることができます。そして、この皮膚のすぐ下にあるのが皮下脂肪で、皮下脂肪の年齢による変化は、皮膚同様に、表面に近いところにあるため、見逃すことのできない要素です。脂肪層のうち、特定の部分の脂肪が萎縮し、また、特定の部分に脂肪が沈着すると、皮膚の下がりとしてのたるみを強くしてしまいます。そしてまた、年齢によって変化した皮下脂肪の、そのような形自体が、たるんだ印象を出します。
基本的に、ホウレイ線やマリオネット・ラインの内側の、唇の周囲は、脂肪が萎縮してくる部分です。したがって、この部分の脂肪を増やしてやることは、タルミの改善とカモフラージュに、有効な手段でもあるわけです。反対に、ホウレイ線の外側や、マリオネットラインの外側は、脂肪が沈着してくるところですので、この部分は脂肪溶解注射や脂肪吸引で、脂肪を減らしてやるといいでしょう。

限定解除要件
副作用・合併症:成分に対するアレルギー(非常に稀)
費用:15万円