脂肪吸引による乳房縮小
20代前半のモニターさんです。幸いなことに、クーパー靭帯内部の乳腺組織による乳房肥大ではなく、皮下脂肪性の乳房肥大で、しかも皮膚の弾力性が充分だったため、将来の授乳のこともあり、バストになるべく傷をつけたくないという希望により、脂肪吸引によるバストの縮小を行いました。
傷はわからなくなり、乳房の重みによる猫背と肩こりも改善しました。斜めから見ると、脂肪吸引だけでもでこぼこなどは一切なく、非常にいい形になっていることがわかります。猫背の改善も観察できます。
表層脂肪吸引と乳腺切除による乳房縮小
慢性的な肩コリとそれから来る頭痛、猫背、満員電車での痴漢・・・それらに耐えきれず、手術を決心したモニターさんです。年齢は20歳。欧米人の巨乳とは違い、乳腺の大きさが主原因の乳房肥大です。したがって、脂肪吸引やその他の脂肪を除去する方法では、まったく無意味な手術となってしまいます。
提案した手術法は、従来の、いかり型の傷が残る、乳腺と皮膚を切除する手術法なのですが、乳輪の周囲とそこから下に伸びる垂直の傷跡は、どうしても受け入れられないということでした。そこで、縮小効果は落ちるものの、目立たない乳房下の傷だけから行える、この方法を提案して、手術を行いました。
術前のブラのカップはGカップで、術後はDカップと、3カップのサイズダウンに成功しています。満員電車での痴漢はどうなったかは知りませんが、そのほかの、肩こり・頭痛・猫背の症状は、軽快しました。
写真は順に、Gカップあった術前の状態・術後1ヶ月目・術後4カ月経過時となります。
術前の乳房の状態では、乳房には無数のストレッチマーク(妊娠線)があり、特に乳輪から鎖骨にかけては、その数が多いのが観察されました。これは、乳腺の発育に、皮膚が追いつかない状況が続いたことを、示しています。そして、その部分にストレッチマーク(妊娠線)が多いということは、乳房の重さもかなりなもので、それによって皮膚が伸ばされてしまっているということです。その場合、重さが少なくなっても、再び皮膚が元通りに縮むことはないと言うことでもあります。そんな状況で、脂肪吸引や乳腺切除だけを行って、乳房の体積だけを小さくすると、主に皮膚の余りが原因で、バストは垂れ下がり、乳頭が下を向いた、無残な形になってしまいます。
そこで、乳腺を一部切除して乳房を小さくするとともに、皮下には表層脂肪吸引を加え、皮膚が自然に縮むようにしました。表層脂肪吸引と言うのは、皮膚をちぢめる作用があります。
前述のように、内視鏡での手術の切開創は、乳房下のシワに沿った部分のみです。そこから、幅約6cmにわたって、頂点が乳頭のところに来るようにして、乳腺を扇形に切除しました。ちょうど、クリスマスケーキをカットする感じです。そして、残った部分の断端同士を縫合して、形を整えました。円盤の一部を扇形に切り取って、残りを繋いで、円錐を造る要領です。結果、下垂した乳房は、乳頭を頂点にして、前方に突き出した形に変化しました。その後、やはり内視鏡下で、形を整えた乳腺の裏側を、大胸筋の筋膜に縫合して、釣りあげて固定しました。これにより、鎖骨の下の部分の皮膚にかかる、乳腺の重量を大胸筋に分散させることになり、表層脂肪吸引での皮膚の縮みを、できるだけ多く発揮させることができます。また、乳腺が垂れ下がることの予防も、目的の一つです。
手術で切除した乳腺の写真。左胸のほうが大きかったため、乳腺の切除量も、やや多めです。
内視鏡を使用して、乳腺の底面を上に引き上げてますので、術後、しばらくの間は、表層脂肪吸引による皮膚の縮みが追いつかず、少し乳頭が下を向きます。1ヶ月目の写真で、乳頭が下を向いているのは、そのためです。しかしそれも、4ヶ月目の写真から分かる通り、皮膚が縮みはじめると、乳頭が前に向いた形に変化してきます。実際に、鎖骨の中心点から乳頭までの距離は、術後4カ月で、術前よりも約2cm短縮しています。
乳房の構造は、脂肪層の中に、単純に乳腺が浮いているのではありません。乳腺は、乳腺膜という、非常に薄い膜で取り囲ませています。その膜からは、クモの巣のように、クーパー靭帯が四方八方に伸びています。その終点は、下は肋間筋や大胸筋の筋膜、内側は頬骨付近の大胸筋の筋膜、外側は前鋸筋の筋膜、上は鎖骨付近の大胸筋の筋膜から広頚筋(首の皮膚直下の薄い膜状の筋肉)です。この靭帯は、薄い膜状の構造物で、通常の解剖学の教科書には、省略されて掲載されていません。手術中でも、肉眼で確認するのは困難なほどです。
乳房・バストが垂れ下がるのは、皮膚の伸びとともに、この靭帯の伸びが大きく影響しています。この靭帯を伸ばしてしまう原因としては、
1)急激な体重増加による脂肪層の増量
2)乳腺の巨大化による、支える重量の増加
3)運動不足
4)加齢・老化
などがあります。特に、乳腺の巨大化による重量増加は、上のほうの靭帯を伸ばしてしまいやすいため、乳腺が萎縮すると、乳頭が下を向いた、形の悪いバストになってしまいます。
乳房肥大の患者さんは、バストに左右差がある方が比較的多いのも特徴です。このモニターさんも、術前は左がかなり大きく、その状態で体のバランスをとっていたため、軽度の脊椎側弯症も発症していました。術後は未だその癖が抜けず、左肩を挙げてしまいます。しかし、術後1ヶ月目よりも4ヶ月目のほうが、左右の肩の高さが揃ってきているので、早晩、これも解決し、脊椎側弯症の症状も、軽快する見込みです。
写真は、摘出した乳腺と、術後4ヶ月目の傷跡です。テーピングの跡の赤みが、傷の周囲に残っていますが、これは2~3日で消失します。
医療広告限定解除要件
副作用・合併症:肥厚性瘢痕
費用:80万円~120万円