ふくらはぎ

20代女性のモニターさんです。ボトックスは200単位使用しています。また、内側だけでなく、外側にも注射しています。過去に脂肪吸引の手術経験があります。脂肪層は既に薄くなっているため、今回は筋肉を退縮させるためにボトックスの注射を行いました。症例写真は、術前と術後2ヶ月目の記録です。

ボトックス200単位20万円

こちらのモニターさんは、ボトックスを200単位使用しています。では、ボトックスは一度に何単位まで使用できるのかということですが、論文の上では、400単位とされています。これは、顔やその他の部分での、合計量です。
この使用料制限は、主に、ボトックスに対する耐性ができないようにとのことが、主目的となっています。ボトックスに耐性ができるとは、ボトックスを大量に注射することにより、ボトックスの成分であるボツリヌス・トキシンに対する抗体ができてしまって、効かなくなるということです。この抗体がつくられない量が、400単位です。
抗体ができて、耐性を獲得してしまった場合の対処ですが、ボトックスが体内からなくなり、抗体がなくなってしまうのを待つか、別の製品で対処する必要があります。別の製品と言っても、ボトックスの代わりになる製品なら何でもいいというわけではありません。現在、製品化されているのは、世界中でミオブロックという製品だけです。このミオブロックは、実質的には国内で入手不可能で、しかも効果の持続期間は、ボトックスの約半分から三分の一です。したがって、ボトックスで今後も治療を受けたい場合は、抗体がなくなってしまうのを待つというのが、現実的な選択肢と言えます。では、どのくらい待てばいいのでしょうか?一般的に、このような種類の抗体がほぼなくなるのは、6ヶ月とされています。したがって、抗体産生によって、耐性を獲得してしまって、ボトックスの効果がなくなったことが疑われる場合、最終のボトックス注射から、最低6ヶ月の間隔を置いて、治療を再開することです。しかしこの、抗体のできやすさやなくなりやすさというのは、当然のことながら個人差があるため、できれば1年の間隔を置いて、治療を再開するといいでしょう。
ボトックスを大量に注射した場合、この抗体産生(耐性獲得)以外に、問題はないのでしょうか?もちろん、どの薬剤でも、過量投与の副作用はつきものです。昔の話ですが、アメリカで、ボトックスの注射液の種類を間違って、単位数にすると数百万倍のボトックスを注射してしまうという事件がありました。患者さんは、治療当日に呼吸困難を主訴として、ERに担ぎ込まれました。大量のボトックスによって、呼吸をするための筋肉まで麻痺してしまったのです。もちろん、筋力の低下は全身的なもので、症状として一番重要なものとしての、呼吸筋麻痺です。これは、ボツリヌス菌による食中毒の症状と同じです。ただし、現在、国内で流通している、治療用の薬剤としてのボトックスには、このような高濃度のものは存在しませんので、呼吸筋麻痺は、心配いりません。